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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第九章 ファンタジー世界に馴染んだおっさん――ドラゴン骨で追放勇者とラーメン作る!弟子を取ったら部屋追い出される

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第百十五話 聖法国からの刺客

一方その頃、魔王国からシーバルト王国への出店セレモニーに向かった

ルナリア、ガルード、セシリアたちの商隊は、

人間の王国であるレオンハルト辺境伯領の境界へ到着しようとしていた。


「ルナリアさん、前方で聖法国の信徒が道を塞いでいます!」


斥候に出ていたセシリアが、愛獣のサンに乗って慌てた様子で戻ってきた。

元聖法国の聖騎士である彼女が見間違うはずもない、

明確な妨害行為の知らせだった。


「ルナリア様、いかがいたしましょう?」


ガルードはかねてよりこの事態を懸念していたかのように、

商売人らしい冷静なトーンで尋ねてきた。


「外交の妨害……? こちらは正式に魔王国の旗を掲げています。

少し離れた所に一度止めて、まずは使者を出しましょう」


ルナリアが凛とした声で状況を判断する。


「セシリア、お願いできますか?」


「はい、どのような了見か聞いてきます!」


セシリアを乗せたサンが、砂煙を上げて再び街道の先へと駆け戻っていく。

道を塞ぐ集団の前でサンを制動させると、

セシリアは騎士としての威厳を保ちつつ、穏やかに声を張り上げた。


「あなたたち、いかなる仔細があっての街道封鎖か?」


「「「「異端物を王国に持ち込むな!!」」」」


信徒たちから返ってきたのは、対話の余地もない剥き出しの敵意だった。


「まあまあ皆さん、お待ちください。私は聖法国司祭のジャコブと申します」


不穏な空気の中、狂乱する人々をかき分けて、

一際目立つ豪華な法衣を着込んだ僧侶が現れた。


「魔王国の皆さん。我々はあなた方の食べ物など必要としておりません。

早々にお帰り頂きたく存じます」


「「「「帰れぇー!!」」」」


司祭の言葉に呼応するように、信徒たちの罵声が響く。

セシリアは思わず眉をひそめた。


「待ってください、私は元聖法国の聖騎士です。

いつから聖法国の司祭は、根拠もなく人々を扇動するようになったのですか!!」


「はぁ? あなたが聖騎士?? そのような漆黒の禍々しい出で立ちをして、

誰があなたの言葉を信じるとお思いですか」


ジャコブは冷笑を浮かべ、セシリアの鎧を指差した。



「い、いや、これは……」


「さあ、皆さん! このような異端者は、聖王様に仇なす存在です。

この国から出て行っていただきましょう!」


「「「「聖王様に仇なす者は出ていけぇー!!」」」」


ジャコブの言葉が引き金となり、虚ろな目をした民衆が、

恐れも知らずに暗黒聖騎士に距離を詰めてくる。


「くっ、これは聖法国と同じ……」


セシリアが剣の柄に手をかけた、まさにその時だった。

後ろから、よく通る澄んだ厳しい声が街道に響き渡る。


馬車から降りたルナリアが、毅然とした足取りで進み出てきた。


「皆さん、あなた方はどこの国の民ですか!

私たちはこのシーバルト王国、国王陛下より正式なご依頼を受けて、

この地に立っています。

今のこの法を無視した状況を、ここの領主であられる

レオンハルト辺境伯様はどのように思われますでしょうか」


だが、ジャコブだけはニヤニヤとした下卑た笑みを浮かべながら

ルナリアへ近づいていく。


「おやおや、これはまたお美しいお嬢様のご登場ですねぇ。

どうですか、魔族といえども、私に飼……ゴホン、

私の庇護下に加われば、辛い思いはさせませんよ?」


その品性の欠片もない視線と物言いに、

ルナリアは一切の怯みもなく、冷徹に言い放った。


「帰れ! 出直してくるな!!」


「……っ!」


完璧に拒絶されたジャコブの顔が、怒りで醜く歪んだ。

彼は瞬時に法衣の懐から不気味な光を放つタリスマンを取り出すと、

それを天高く掲げた。


「我が主の導きあれ!!」


タリスマンから、脳を直接揺さぶるような不快な波動がブワリと広がる。


「シャットッ!!」


異変を察知したセシリアは、日頃の厳しい訓練で鍛えられた

無意識の反射行動で、メルの作った『柄』の呪文をすかさず唱えた。


その直後、ルナリアが糸の切れた人形のようにガクリと膝を突く。


「ルナリアさん!?」


セシリアは倒れ込む彼女の体を慌てて抱きとめ、すぐさまジャコブの方へと向き直る。

そこには、異常な光景が広がっていた。


ジャコブを含め、セシリアの周囲数名が、

白目をむいて地面に気を失い卒倒していたのだ。


(……間違いない。これは精神攻撃――『洗脳』だ……!)


セシリアの鎧に精神攻撃は無意味であった。

しかも、『(ツカ)』の効果によって状態異常は完全に打ち消され、

『タリスマン』が洗脳を行う魔道具であるという、

疑いようのない事実が明らかになった。


セシリアが聖法国の闇の技術と、八起とコウタロウがこれまで感じていた

『違和感』の正体に近づいた瞬間だった。

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