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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第九章 ファンタジー世界に馴染んだおっさん――ドラゴン骨で追放勇者とラーメン作る!弟子を取ったら部屋追い出される

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第百二話 難しいことは後回し

屋台の片付けを一段落させた後、俺たちは自分たちの

晩飯の支度に取りかかることにした。


ザワールから分けてもらった大蛇の肉。

こんな得体の知れないものを食うのは、

もちろん初めての経験だ。


まずは試しに肉を薄く削ぎ、直火で炙ってみる。

立ち上る匂いは少しばかり生臭いが、

しっかりと火を通せばそこまで気にならない程度にはなった。


軽く塩を振り、口の中に放り込む。


「……筋肉質な弾力だな。味は……老成鶏に近いか。

だが、いかんせん硬てぇな。これ、このままじゃ

食えたもんじゃねえぞ。叩くか」


俺は咀嚼しながら、次の段取りを頭の中で組み立てた。


「コウタロウ、悪いが先にお湯を沸かしておいてくれ。

俺は何か合わせる野菜がないか、商人たちのところへ行ってくる」


「了解です、師匠!」


コウタロウに火の番を任せ、俺は再び広場へと足を向ける。


焚き火を囲んで酒を飲んでいる商人たちの輪へ近づき、声をかけた。


「すみません、夜分に。

もし余裕があれば、何か野菜を分けてもらえませんか」


「ん? お、ラーメンの旦那じゃないか。何か入りようかい?」


一人の商人が顔を上げた。


「自分たちの晩飯を忘れててね。これから作るところなんですよ」


「ハハハ! あんな旨いもんを作る人が、自分の飯は後回しかい。

いいだろう、ならあっちの少年を訪ねてみな。

採れた野菜を近隣で売ってる奴なんだが、

今日は売れ残りが多いってボヤいてたからな。

買えるだけ買ってやってくれ」


紹介された場所へ向かうと、そこには一台の小さな荷車と、

その傍らに座り込む少年がいた。

年齢はコウタロウと同じか、あるいは少し下くらいだろうか。


「こんばんは。野菜があれば購入したいんだが、いいかな?」


声をかけると、少年は弾かれたように顔を上げる。


「えっ、本当ですか!お願いします、買ってください!

余ってるんで、おまけしますから!」


必死な面持ちで少年が差し出した荷車の中身を見て、

俺は思わず目を見張った。


(おいおい、ニンニク、ニラ、長ネギ??キャベツじゃねえか。

……お宝の山だな、こりゃ)


「この、キャベッツァは少し傷んでるんで、タダでいいですよ!」


「おいおい少年、商売でタダはダメだ。この程度の傷みなら、

外側の葉を取っちまえば中身は大丈夫だろ。

これ全部もらうよ。

俺の荷車まで運んでもらっていいか?」


「えっ、全部!? はい!!すぐにお届けします!」


少年はパッと表情を輝かせ、勢いよく荷車を引き始めた。

少し離れた場所で見ていた、先ほどの紹介してくれた商人が、

こちらを見て親指を立てている。


(この世界にも同じサインがあるんだな)


俺も無言で親指を立て返し、少年の後を追った。


軽トラのところまで戻ると、

コウタロウが不思議そうな顔で出迎える。


「コウタロウ、すまん。メニュー変更だ。手伝ってくれ」


「はい、師匠。何をやりますか?」


「まず、この少年に金を払ってやってくれ。

荷車の野菜は全て買い取る」


「えっ、全部ですか?」


「ああ。少年、値引きは無しだぞ。しっかり正規の金額を取れよ」


俺の言葉に、少年は戸惑ったようにコウタロウの顔を見上げた。


「……本当に、いいんですか?」


「うん。ちゃんと全部買うよ。

師匠の言う通りにしないと、後で怒られるからね」


コウタロウはニッと笑顔を少年に向けた。

その眼差しは、どこか優しい。


「そういえば君。

さっき、うちに食べに来なかったよね。食事はもう済ませたの?」


少年は気まずそうに、ただ苦笑いを浮かべる。

それを察したコウタロウが、少年の名前を尋ねた。


「ねえ君、名前なんて言うの?」


「……アルフレッド。アルで、いいです」


「師匠! アルも一緒に食べていいですか?」


俺は無言で片手を挙げて見せた。


「じゃあ、行こう!」


コウタロウは少年の顔が聖法国での自分と重なり、

手を差し伸べてくれた八起の姿を思い出して、

自然と声を掛けていた。


「よし、じゃあ二人に手伝ってもらうぞ。

まず、ニンニク、ニラ、長ネギ、キャベツを細かく刻んでくれ」


「その間に俺は皮を作る」


「了解です! ……師匠、もしかしてこれって」


餃子(ぎょうざ)……!」


コウタロウの声に力がこもる。


「――おう、大当たりだ、コウタロウ」


「刻み終わったら、塩を適量入れて混ぜてくれ」


俺は予備の小麦粉に塩と猪脂を適量入れ、よく混ぜる。

ここで久々の登場、肩こりが治る棒!もとい思った形に歪める棒!

こいつで叩けばすぐだろ。

俺は棒で小麦粉の塊を叩き出す。無駄な力を入れずとも、

ほんの数分で滑らかな白い塊へと変化していた。


「次は大蛇の肉を叩いて刻む」


俺がナイフと棒で肉を徹底的に叩き、ミンチ状にしていく。

そこへ、野菜の処理を終えたコウタロウが声をかけてきた。


「師匠、次どうすればいいですか?」


「野菜は水出てきたか?出てきてたら絞って水気切ってくれ。

あとは野菜、肉、塩、醤油、香油入れて混ぜる、ひたすら混ぜる」


「わかりました!」


コウタロウとアルが力を合わせて具を練り上げていく。


「皮伸ばすから具を包んでくれ。包み方はこう持って、

片手の親指と人差し指で引っ張りながら

折りたたんでいく。二人ともできるか?」


手本を見せると、アルが不器用そうに手を動かした。


「ブサイクでもいいからな。包めれば十分だ」


「師匠、焼きはどうします?」


「今回は鉄板ないからな、茹で餃子だ」


沸騰した寸胴に、包み終えた餃子を次々と放り込んでいく。

やがて、ぷっくりと膨らんだ餃子が湯の表面に浮かんできた。


「茹で上がったら醤油で食べる。

アルだっけ、いくらでもあるから沢山食えよ」


「はい……! ありがとうございます!」


ハフハフと熱い餃子を頬張り、アルの顔に一気に血色が戻っていく。

大蛇の肉の弾力と香味野菜の旨味が、

特製の皮の中で絶妙なスープとなって溢れ出ていた。


目の前で美味そうに飯を食うガキの笑顔だけは、

偽りのない確かな現実だ。

今は目の前にあるものを信じて進もうと、俺は心に決めるのだった。


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