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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第二章 予算ゼロから始める食糧改革! 男子のロマン・ゴーレム改が農地をゆく!

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第十話 ガウラ出番だぞ!

「よし、行くぞガウラ。現場直行だ」


「わふっ! なんだか知らんが任せとけ!」


八起は、破れた枕から集めた大豆を袋に詰めた。

ガウラを伴い、足早に城外の畑へと向かう。


本来、大豆は一度水でふやかすのが定石だ。

十分に吸水させてから、苗を作るのが基本である。


だが、ここは地脈の魔力が溢れる異世界だった。

ギガントの耕運により、土壌は劇的に変化している。


八起は、過去の経験則から直播きを選択した。

まずは半分の量を植え、様子を見る判断を下す。


環境の違う現場では、教科書通りが正解とは限らない。

「とりあえず試す」という柔軟さが重要だった。


「ガウラ、空いたスペースに指で穴を開けていけ、

深さは指の第一関節。間隔は三〇センチだ、

いいか、現場の基本は正確な墨出しだぞ」


「こうか? これくらい、朝飯前だ!」


ガウラは鋭い爪を使い、地面に穴を穿っていく。

人狼の混血である彼女の身体能力は凄まじい。

単純作業において、最高の効率を発揮していた。


八起はその跡を追い、一粒ずつ丁寧に豆を落とす。

手際よく土を被せ、作業を進めていった。


しかし、作業開始から数分が経った頃。

ふと振り返った八起は、目を疑う光景に直面する。


ダチョウを一回り大きくしたような巨鳥の群れ。

極彩色の羽を纏った彼らが、畑を掘り返していた。

植えたばかりの大豆を、次々と貪り食っている。


「……あ、こら! せっかく植えた種を食うな!」


八起の怒声にも、鳥たちは図太かった。

首を傾げて眺めるだけで、逃げる気配すらない。

「おかわりはまだか」とでも言いたげだった。


丹精込めた現場を荒らされるのは我慢ならない。

八起が拳を握りしめた時、別の考えが浮かんだ。


(待てよ……。これだけデカい鳥だ産む卵も、

相当なサイズのはずじゃねぇか?)


(キョ)ジャガの炭水化物。

大豆のタンパク質。

そこに卵の脂質が加われば、栄養は完璧だった。


害鳥をただ追い払うのは、非効率的でしかない。

トラブルを資源に変えてこそ、一流の職人だ。


八起は視線を上げ、ガウラに声をかけた。


「ガウラ。お前、あの鳥の巣を探せるか?

匂いを辿って、卵を持ってきてほしいんだ」


「卵? よゆーだ! あんなデカブツの匂い、

見失う方が難しいぞ! ボス、ここで待ってろ!」


ドォォン、と地面を蹴る凄まじい音が響く。

ガウラは弾丸の如き勢いで、藪の奥へ消えた。


それからしばらくして、元気な声が響き渡る。


「ボス、あったぞー! 大収穫だ!」


両脇にラグビーボール大の卵を抱えたガウラ。

なんと、巨大な卵を四つも持ち帰ってきた。


「これ、食べるのか? 食べるのか??

それとも、今すぐ食べるのか!?」


期待に満ちた瞳で、尻尾を激しく振り回す。

彼女の頭は、巨大目玉焼きで一杯のようだ。

しかし、八起は冷静に首を振った。


「いや、今は食べない。すぐ無くなっちまうだろ」


「……えぇっ!? おあずけかよ! こんなにデカいのに!」


耳をヘニャリと寝かせ、絶望する狼娘。

そんな彼女に対し、八起は不敵な笑みを浮かべた。


「いいか。ただ焼くより、もっといいものがある

この卵と、豆から取れる『油』を合わせるんだ、

頬っぺたが落ちるような、最高のご馳走ができる」


「……もっと、いいものか?!」


八起の言葉に、ガウラの口からヨダレが溢れた。

野生の勘が、美味なるものを察知したらしい。

その瞳は、純粋な欲望でギラギラと輝いていた。


「わかった! そのためなら、何でもするぞ!

油だな!? 油を持ってくればいいんだな!?」


「気が早い。豆が育つまで待たなきゃならん、

そもそも油なんて、この城のどこにあるんだ?」


「油のある所なら知ってるぞ!

ルナリアの奴が『びようのため』とか何とか言って、

自分の部屋にたくさん持ってるぞ!」


「……美容ねぇ。あいつ、油塗りたくってんのか」


生真面目な秘書官が、自室でオイルを使う光景。

八起の脳裏に、妙なイメージが浮かび上がった。


食用か美容用かは、現時点では分からない。

だが、使えるなら現場の資材として調達するまでだ。


「よし。じゃあ、まずはこの卵を運ぶぞ。

割らないように。油の交渉は、その後だ」


巨大な卵を抱えた、作業着姿のおじさん。

ヨダレを拭いながら、鼻息を荒くする狼娘。


魔王国の食糧改革に、確かな光が差し込んでいた。


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