新たな発見
騎士は立ち上がる。
少女へもう一度だけ頷くと、
「では、私はこれで」
そう言って、外套を翻した。
人々の間を抜けていく背中は、先ほどまでの騒ぎが嘘だったかのように静かだった。
やがて人混みの向こうへ消えていく。
少女は、その背中をしばらく追っていた。
僕はそんな彼女を見てから、街の奥へと視線を向ける。
「行こうか」
「……うん」
今度の返事には、少しだけ迷いがなかった。
僕たちは再び歩き出す。
街の中心を越え、さらに奥へ。
人々の声が少しずつ遠ざかっていく。
代わりに——
遠くから、別の音が聞こえてきた。
カァン。
金属が石を打つ音。
カァン、カァン。
一度聞こえれば、それが途切れることはない。
歩くほどに、その音は大きくなっていく。
やがて建物の隙間から、山肌が見え始めた。
切り崩された岩壁。
積み上げられた鉱石。
道端には、大小さまざまな石が転がっている。
青いもの。
赤いもの。
紫がかったもの。
光を受けて、鈍く輝くものまである。
その間を、鉱夫たちが行き交っていた。
肩に道具を担ぐ者。
石を運ぶ者。
額の汗を拭いながら、坑道へ戻っていく者。
そして——
カァンッ!
また、音が響く。
つるはしが岩肌へ叩きつけられる。
火花が散る。
少女は足を止めた。
「……これが」
布の奥の顔が、音の方へ向く。
「石を掘る音?」
「ああ」
僕は頷く。
「この街じゃ、珍しくない音だ」
カァン。
カァン。
カァン。
無数のつるはしが重なり、
まるで巨大な鐘を街そのものが鳴らしているようだった。




