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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
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ロミオとジュリエットと赤金の家・後編

「その話、詳しく聞かせてください。」

 思わず、カイが飛び込む。

「おおう。カイ君。」

 と、アカネの母が微笑んだ。

「はじめまして。水沼カイと申します。この度、自分を助けていただき、ありがとうございます。」

 テレビ電話の向こうのアカネの母に、頭を下げ、感謝を述べる。

「初めから分かっていたよ。君が立ち聞きしている事は。タキと君のお父さんの事も聞いたのだろう。」

「-。申し訳ございません。立ち聞きなんて、その―」

「自分から出て来てくれて助かったよ。でなければ、タキかアカネに首根っこ掴ませて、無理やり引き込まなければならなかったからねって―」

 アカネはその時、そそくさと風呂に向かってしまっていた。

「アカネめ。やはり、まだカイを嫌うか。」

「仕方ないでしょう。立ち聞きしていた、自分に原因があります。後で謝ります。」

「誠実だな。」 

 と、アカネの母は笑った。

「まぁいい。君に話したいことだったからな。私の家と、君の家の事な。」

「はて?」

 カイ、首を傾げる。

「私は、三宅町の石油会社の社長をしている。その石油会社だが、元は私の元旦那の物だった。」

(だからどうした?)

 とカイ。

「アカネから聞いているだろう?旦那は浮気して出て行ったって。」

「ええ。」

「私が、叩き出したからな。だが、旦那は私が旦那を愛さなかったからだと言って非難されないよう、防波堤を築いたんだよ。」

「-?」

「浮気は確かにその兆しはあった。そして、どうして浮気したのか、私には理解できる。私と旦那は、愛し合っての結婚ではなかったのだよ。」

「まさか―」

「君の父と母のパターンだ。政略結婚で、強制的に結婚させられた。」

「-。」

「旦那は石油会社を経営し、私はその秘書となったのだが、やがて旦那は、私の親類共からのイビリを受けるようになってな。結婚させといてなんだと、思ったのだろう。会社経営をまるっきり放り出しそうになっていた。そんな時、私が励ますのが筋だって、死んだバカ親に言われたんだが、私も、見ていられなくなってね。だから、私の方から叩き出したのだよ。その時、旦那は私に批判が行かないよう、浮気を装ったんだ。そして、私もそれに乗って、浮気者ってレッテルを貼ったんだ。そして、旦那の置き土産は、旦那の経営していた石油会社の経営権。私の家は、浮気者の家とは縁を切ると、旦那の家との縁を切り、詫びとして旦那の家から譲渡された石油会社を、今私が経営し、アカネと君を養っているとこういうわけだ。」

「まるで、将棋かチェスか、見事なやり方です。」

「そう。でも、誤算があった。アカネって言うね。」

「えっ?」

「アカネが今のあんな堅物になってしまったのは、私が、旦那の事を批判する演技を真に受けてしまい、人を信用できなくなってしまったんだ。そこで、タキの相手で、水沼音也の息子である君に白羽の矢を立てたってわけだ。」

 理由を聞かされたカイ。

 赤金の家と、自分の生まれた家の事を知った。

 しかし、だからといって、カイはありのままで生きたいと思った。

 そして、アカネの母も「それがいいだろう」と言った。

「でもな、条件を飲まないよりも、許せないことをしたら、分かっているだろう。」

 と、釘を刺された。

 それがどういうことなのか、カイは考えるも、分からなかった。


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