12話 暴走から覚醒へと
修行が始まってから3日が経った。俺はいつも通り天照院の“天照”を避ける、斬る、打ち返す練習をしていた。俺が斬ったりしてると、天照院が毎回疑問の声を発する。マグリーと凛子も俺が言った修行を行っている。天照院もその二人と同じ感じだ。
「三人共、いつも通りの戦い方もいいが、相手の予想を上回る様な戦い方をすることも必要だぞ。」
「うん、でも、どうしたらいいの?」
「今から俺を相手に模擬戦をしてもらう。」
「模擬戦⁉︎」
「あぁ。三対一で俺を驚かす様な戦い方をすればいい。」
「三対一でも諒なら余裕で倒しちまうんじゃねぇか?」
「大丈夫、俺は攻撃を防ぐのとちょっとした攻撃を行うだけだ。」
「そうか、分かった。」
俺の説明を聞いた三人が納得し、武器を構える。
「んじゃ、始めるぞ?」
「あぁ。」
「うん。」
「えぇ。」
「よーい………ドン!」
俺のスタートの合図で三人が動き出す。天照院は俺に向かって“天照”を放つ。俺はそれを難なく避ける。だが………
「我の弓矢に熱き炎を!"火炎の嵐”!」
凛子が避けた先の俺の頭上から矢を雨のようにおとしてくる。俺は納刀した状態の“黒龍”で矢が当たらないように叩き落す。が、すぐにマグリーの攻撃が俺に襲ってくる。
「風の精霊よ、見えない刃となれ!“かまいたち”!」
マグリーが武器のトンファーを振るい、そこからかまいたちを発生させる。
「まだまだ………。」
俺はマグリーが放った“かまいたち”を跳ね返し、三人に当てる。普通なら避けれるが、俺が跳ね返した威力が強かったため、すごいスピードで三人に当たった。
「くっ、さすがだな。」
「ちょっとした連携は出来てるけど、やっぱりまだ仲間の技を活かすことは出来てないみたいだな。それに相手に自分の技を利用されたら駄目だぞ!」
「あぁ、悪い。」
「まぁ、別にこれからだしな。それよりも、お前ら二人、本当にGクラスか?」
「確かに、あの技はまぁまぁいい方の魔法よ?」
「俺達は魔力が低いんだ。あと、筆記テストがやばかった。」
「あー、それでか。マグリーはまだ、分かるけど凛子も悪かったんだな。」
俺は笑っていたが凛子は少し怒ったようだった。
「諒君ひどい………。」
「あーあ、凛子泣かした。」
「女の子を泣かせるなんて、最低ね。」
「わ、悪かった!」
俺は凛子の涙と、二人の言葉に折れてしまい素直に謝った。
「………………許す。」
「あ、ありがとう。」
ふぅ、なんとか落ち着いてくれた。
「あー、そうだ。言うの忘れてた。」
学院長が何か言おうとしていたのでそちらを向く。
「来週、六学院対抗の魔法大会が行われる。」
「魔法大会ですか?」
「あぁ、その大会にお前ら四人を推薦したから。」
「「えぇ!」」
「お、マジか!」
「当然ですわ」
俺は驚きよりも先に喜びが湧いてきた。けど、二人は納得していないようだ。
「ちょっ、学院長!諒ならまだ分かります!ですが、何故俺達なんすか⁉︎」
「そうですよ!何で⁉︎」
「修行の一環だ。因みに天照院は男女混合の団体戦と女子団体戦と個人戦に、花川は男女混合の団体戦と女子団体戦、グレイスは男女混合の団体戦と男子団体戦、内田は個人戦に出てもらう。」
「俺、一個だけですかー?」
「あぁ、そうだ。それに今回の男子の個人戦は強者揃いだぞ。マクレーン・マグダットこと“銀狼”のマクレーン。エデン・マグダットこと“金狼”のエデン。宮本武……“二刀流の侍”武。宮本武のライバル、佐々木次郎、別名“一刀流の侍”次郎。他にもいるが、今大会の優勝候補、月光院実、通称“月神”の実。因みに天照院は“太陽神”晴香だ。」
「や、やめてくださいよ、学院長!」
「まぁまぁ。内田を二つ名で表すとどんなんだろ?“異世界の侍”?」
「それも悪くないですが、俺の世界ではこの前にも言った通り、"黒龍”って呼ばれましたし。」
「おぉ、それもいいな!」
俺と学院長は高らかに笑うが三人は何故か元気がない。
「はぁ、学院長、この二人は大丈夫かもしれませんが俺達は「二人なら一週間あればかなり強くなると思うぜ。」」
俺はマグリーの言葉を遮って言った。マグリーはすぐさま言葉を返す。
「いやいやいや、一週間で何て無理だって。」
凛子もそれに続いて反論してくる。
「そうだよ!何の根拠があって「俺の修行についてこれば充分いけるぜ!」」
俺が放った言葉に二人はこの世の終わりみたいな顔をしていた。
「俺達、死なねぇよな?」
「わ、わかんないよ。」
「大丈夫だって!俺を信じろ!」
「その信じろが怖いんだよ!」
「大丈夫大丈夫、みっちり鍛えてやっから♪」
「「うわー………。」」
この二人の反応面白っ!
「内田………。お前は自分の事に集中しろ。」
「えー。」
「お前の意志は引き継いでやるから!」
「「————ビクッ!」」
学院長もSな所あんだな。
「じゃあ、お願いします。」
「おう、任せとけ!」
「「いやーーーー」」
訓練場に二人の叫び声が響いていた。
俺達の修行は順調に進んで行った。
☆★☆★☆★☆★
————六学院対抗の魔法大会まであと4日
事は俺達が模擬戦をしていた時に起きた。
「いい連携じゃん♪この前よりだいぶ良くなってる!」
「だろ!自主練とか、イメトレとかしてたんだぜ!」
「んじゃ、俺も少し本気出そうかな♪」
————キンッ!
俺の刀とマグリーのトンファーがぶつかり合う。
「!!!諒、その目どうした⁉︎」
「目?」
「何か黒目の形変わってんぞ⁉︎」
「え?」
「グレイス君変わって!」
「おう!」
「内田君、ちょっと見せて!」
「お、おう。」
何か俺の目が変らしい。
「これは………、龍の目?」
「ん?この感じ………。元の世界で、この世界に来る前に黒騎士と戦ったときとおんなじだ。俺が暴走した時と………。」
もしかして、気づかないうちに安定出来るようになっていたのか?
「内田君、その目とあと、そのドス黒いオーラの説明をしてもらうかしら?」
「オーラ?うわっ!何だこれ⁉︎」
「気付いてなかったの⁉︎」
「あぁ、とりあえずこの力…………、いい!」
「はぁ⁉︎」
マグリーが驚いた様な声を上げる。
「内田、とにかくその力を自由に操れるようにするか?」
「はい!」
「わかった。」
その時、俺の“中”で声が聞こえてきた。
“我の力を最大限まで、引き出せるようになれ、我が適用者よ”
「!!!誰だ!」
「どうした?」
“だが、その力を使えるようになっても、決して力に溺れるでないぞ”
「おい、お前一体なんだ⁉︎」
“我はお主の心の中に住んでいる力、黒龍だ”
「こく………りゅう?」
“我はお主の成長を見守っておるぞ”
「あっ、おい!ちょっと待て!」
「だ、大丈夫?諒君。」
「あぁ、とりあえず大丈夫だ。」
(けど、俺の中にいる黒龍………、そんなのいたのかよ。)
「何があったか知らないが、さっきのを操れるようにしないとな。」
「はい。」
気になることはあるけど、今はこの力を操れるようにしないとな。




