11話 修行の始まり
「おい、諒!ほんとにこの森に入るのか?」
「あぁ、強くなる為には入るしかないだろ?」
俺は今、迷いの森と言う場所の入り口にいる。この森はかなり危険らしく、ギルドの依頼を受けている人しか入らないらしい。
「けど、ここを1人で入るってかなり危ねぇぞ?」
「問題ない。なんならついてくるか?」
「いや、学校あるし。」
「そうか………。凛子は?」
「うーん、やめとくー。」
「分かった。んじゃ、いって————」
「こらー!何勝手に行こうとしてんの⁉︎」
「あぁ、学院長。」
「あぁ、じゃなくて!勝手に行くなんて許可しません!」
「じゃあ、行きます。それでは。」
「そう言う問題じゃない!」
「え?だって勝手に行ったらダメなんでしょ?だから今許可とったじゃないですか。」
「許可なんて出してない!」
そうだっけ?言えばよかったんじゃなかったんだ。
「とりあえず、許可は出せません。修行するなら私が用意します。」
「ほんとか⁉︎」
「えぇ。だから今はその傷を治しなさい。」
「わかりました。」
俺は仕方なく森に入ることを諦めた。てか、学院長性格変わりすぎじゃね?初めて会った時、あんなテンションだったかな?まぁ、いいか。
「学院長、その修行俺も参加していいですか?」
「私もー。」
「な、なに言ってんの⁉︎これは俺の問題だから別に参加しなくてもいいんだぞ?」
「いや、俺も何か手伝いたいし。それに俺の夢を叶えるチャンスだしな。」
「夢?」
「あぁ、まぁちょっとしたことだよ。」
気になるな、その夢。
「んじゃ、凛子は?」
「私も何か手伝いたい。それに、心配だし。」
「そうか………。分かった!よろしくな、二人とも!」
「三人でしょ。」
もう一人の声に驚く。声がする方を見ると天照院がいた。
「私も協力するわ。」
「ほんとか?」
「えぇ。貴方がどんな思いを持っているかは知らないけど、恐らくこの世界で黒騎士に敵うのは貴方ぐらいしかいないもの。」
「わかった。ありがとう。」
天照院は小さく頷く。俺は天照院に手を差しのばす。
「え?」
「握手だ。よろしく。」
天照院はそれに答えるかのように俺の手を握る。
「よろしく。」
案外いい奴なんだなと思いながら、俺は微笑む。
「ちょっと〜〜!私のこと忘れてない?」
「あぁ、学院長。いつからいたんですか?」
「ずっといたじゃん!」
「なぁ、学院長って多重人格なのか?」
「多重人格ではないわ。その場の空気で性格を変える人だけどね。」
「晴ちゃん、ちょっと酷くない?」
「ちょっ!学院長、その呼び方やめてくださいって言ったじゃないですか!」
「照れちゃってー、このこのー。」
「太陽の神よ我に力を「わー、ごめんごめん!」」
天照院、怖っ!学院長に容赦無く魔法放とうとしたぞ⁉︎
「天照院、学院長と知り合いなのか?」
「えぇ、まぁ。」
「そうか———ブフッ!」
学院長が言った“晴ちゃん”が頭によぎり、思わず吹き出してしまった。
「内田君………、今何で吹き出したのかしら?」
おっと、吹き出した理由を分かったのか?顔は笑ってるけど目がまったく笑ってないぞ?
「殺しますよ?」
「す、すいません。」
殺されることはないのだけど、天照院の殺気で、思わず謝ってしまった。
「あはははは!おめぇら夫婦みたいだな!」
あ、マグリーの奴、死んだな。
「貴方はたしか………。」
「マグリー・グレイスだ。よろしくな。」
「マグリー君ですか。よろしくお願いします。そして、さようなら。」
「え?ちょっ!うわっ!うわぁぁぁぁぁ!諒、ヘルっぶは!」
うわー、ボッコボコだよ。ドンマイだな。
「ちょっ!晴香ちゃん、ストップ!マグリー君、本当に死んじゃうから!あっ、私は花川凛子ね!よろしく。」
「え、えぇ。よろしく花川さん。」
「私も下の名前で呼ぶから晴香ちゃんも下の名前で呼んで!」
「分かったわ。り、凛子ちゃん。」
「うん!」
さすが凛子。フレンドリーだからすぐに友達できんだな。
「ま、また私の事忘れてる〜〜」
「「「「あ、忘れてた!」」」」
迷いの森の入り口で泣き叫ぶ学院長の声が響いていた。
☆★☆★☆★☆★
俺達は学院長に連れられて決闘場よりも少し大きめの訓練場にいた。
「ここは、強力な技や魔法を使ってもそれほど傷が付かないようになっている。さらに、バーチャルの敵を出すこともできる。」
そこは結構な技術があんだな。
「早速だが、内田。このモンスターを倒してみろ。」
「え?もしかしてこいつですか?」
「あぁ、竜だ。」
「ちょっ、学院長!それは危険じゃあ………。龍じゃないですけどそれでも命に関わりますよ?」
「その点は問題ない。一定のダメージを受けると自動的に終了する仕組みだ。ダメージもこの中では無効になる。」
「そうですか。」
「じゃあ、内田。お前の最強の技を見せてみろ!」
最強の技って言ったらあいつしかないな。よし!
「分かりました。」
諒は目の前の竜に向かって刀を構える。そして………。
「“黒龍一閃”」
—————ザンッ!ドガーンッ!
訓練場内に大きな衝撃と音が響く。
「「「「エ?リュウマップタツ?」」」」
「うん、真っ二つ。」
「「「「カベ、エグレテル?」」」」
「えぐれてる。」
四人は頭が真っ白になっている。
「学院長、あの壁ってあんな脆いんですか?」
「いや、そんなはずはない………と、思う。」
あー。完璧に自信なくなってるよ。
「てか、竜もあんな脆いの?」
「あれも、そんなはずはないと思う。」
「さっきの技って、黒騎士に放った技だよね?」
「あぁ、おんなじ強さでやったぞ。本気で。」
「えっーと、そんな技も黒騎士は止めたってこと?」
「まぁ、そうだな。」
「うん、これ格違う!」
「よし、お前、怖い。」
「いや、何で怖いんだよ⁉︎俺、何もしてねーじゃん!」
「ご、ご………。」
「ん?天照院?どうした?」
「ご、ご、ごめんなさい!」
「え?いや、何で謝んの⁉︎」
「が、学院長?」
「内田諒様、何なりとお申し付けください。」
あ、学院長壊れた。
「学院長ー!しっかりしてください!」
「え?あ、あぁ!大丈夫だ。」
「ふぅ、よかった。皆は?」
「わ、私はだいじょぶ!」
「“う”が抜けてるぞ?」
「おう!俺は丈夫!」
「何が丈夫何だ⁉︎天照院は⁉︎」
「な、何でも致しますから、どうか命だけは。」
「何もしねーよ⁉︎安心して!命もとらないから!」
このあと、何度か同じやりとりをして、今日の訓練は終わった。てか、俺が竜斬っただけなんだけどな?
凛子とマグリーは寮に戻り、天照院は自宅へと帰って行った。俺は街を探索したかったので、そのまま街に出た。
途中、虐められている男の子を助けたのはまた、別の話しである。




