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天才魔法具師は、スパダリに保護される  作者: 輝久実


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永遠の契約

青く澄み渡る大空のもと、王都の大聖堂は色とりどりの花々と祝砲の音に包まれていた。


『公爵家当主アルヴィン・フォン・ヴァルハイト』と『国家賢者ルチア・フォスター』の世紀の婚礼。


国の危機を救った英雄であり、今や庶民の暮らしを劇的に変えた「ポータブルクーラーの生みの親」でもあるルチアの祝宴に、国王をはじめ国内外から高貴な賓客が集まっていた。


「……はぁ……緊張で心臓が口から出そうです……っ」


控室で大鏡の前に立つルチアは、何度も深呼吸を繰り返していた。


純白のシルクに繊細なレースが施されたウエディングドレス。プラチナブロンドの髪には、ダイヤモンドと氷晶石で作られたティアラが輝いている。


そしてドレスの内側には、ルチアがこの日のために徹夜で組み上げた【ドレス内蔵型・超軽量マイクロクーラー】が完璧に稼働しており、重厚な衣装の熱気を感じさせない極上の清涼感を保っていた。


「緊張する必要などどこにもないさ。我が愛しき花嫁」


静かにドアが開き、純白のタキシードに身を包んだアルヴィンが入ってきた。


仕立ての良い衣装が彼の整いすぎた容姿をさらに引き立て、アメジストの瞳は眩しいものを見るように細められている。


「アルヴィン様……! わ、私、変じゃないですか……?」


「変なものか。……あまりの美しさに、今すぐこの大聖堂ごと『絶対障壁』で封鎖して、誰の目にも触れさせたくないくらいだよ」


アルヴィンはルチアの元へ歩み寄ると、白いグローブで覆われた手を取り、その甲にそっと優しく唇を落とした。


「きゅ~う❤」


ドレスの長い裾の影からは、特製の小さな純白リボンを首に巻いたシロちゃんがひょっこりと顔を出し、二人の門出を祝福するように愛らしく鳴いた。


大聖堂の重厚な扉が開くと、一斉に降り注ぐ歓声と万雷の拍手。


ステンドグラスから差し込む光の中、白絨毯をゆっくりと進む二人。


壇上に立ち、大司教による誓いの言葉が響き渡る。


「……アルヴィン・フォン・ヴァルハイト。汝はルチア・フォスターを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、富める時も貧しい時も、愛し、尊び、守り抜くことを誓いますか?」


「誓います。この魂と魔力のすべてを懸けて、生涯彼女を愛し、守り続けることを」


アルヴィンの迷いのない言葉に、参列した貴族たちから溜息が漏れる。


「ルチア・フォスター。汝はアルヴィン・フォン・ヴァルハイトを夫とし――」


「誓います! この世界で、アルヴィン様と一緒にたくさんの技術を作り、ずっとお傍で支え続けることを!」


ルチアのハキハキとした力強い返事に、会場全体が温かい笑顔に包まれた。


「――では、誓いの口づけを」


アルヴィンがゆっくりとルチアのベールを上げると、彼女の赤くなった頬を優しく包み込んだ。


「……愛しているよ、ルチア。もう誰にも、君を渡さない」


「私も……愛しています、アルヴィン様」


重ね合わされた唇。


その瞬間、二人が交わした『絶対不可侵』の婚姻誓約が眩い青銀色の光となって大聖堂を包み込み、誓いの風とともに何千もの氷晶の花びらが美しく舞い散った。


ルチアの作ったマイクロクーラーの爽やかな冷気と、アルヴィンの底なしの情熱。


前世の技術と異世界の魔法が結びつけた二人の愛は、最高に甘く、どこまでも涼やかな未来へと紡がれていくのだった。

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