表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才魔法具師は、スパダリに保護される  作者: 輝久実


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/50

次元遮断モード

翌朝。


エアコンが完璧な温度と湿度を維持し続ける最高に快適な寝室で、ルチアはゆっくりとまぶたを開けた。


「……ん……ふぁ……」


カーテンの隙間から差し込む柔らかい朝日に照らされ、ルチアの視界に跳び込んできたのは、相変わらず整いすぎているアルヴィンの寝顔だった。ルチアの腰に廻された腕は、寝ている間も緩むことなく、彼女を完全に抱き枕のようにホールドしている。


(……本当に、何事もなく王都に帰ってこられてよかったな)


国境の大結界の修復、老魔導師たちとの押し問答、そして何よりアルヴィン様からの過剰なまでの溺愛お仕置き。ここ数日の怒涛の展開を思い出し、ルチアはふふっと小さく微笑んだ。前世のエンジニアとしての知識が、この世界の人々を救い、そして大好きな人を助ける役に立ったのだと思うと、誇らしさと安堵が込み上げてくる。


と、その時。


カチッ……ピッ。


不意に、部屋の隅の魔導エアコンが、ルチアの作った『自動感知機能』とは異なる、見慣れない電子音を立てて点滅し始めた。


「……え?」


ルチアが目を丸くして注視すると、エアコンの側面に増設されていた小さな魔導液晶画面に、見覚えのないルーン文字プログラムがズラリと緊急表示されている。


『警告:外部からの高出力探知魔術を感知。自動防御シーケンス起動』


『公爵邸外囲結界と接続……「絶対障壁・次元遮断モード」を展開します』


「え、えええええっ!? ちょっと待って!?」


ルチアが叫ぶ間もなく、部屋全体がごく微かに揺れ、空気の密度がガラリと変わった。


壁や扉の隙間から、青白い幾何学模様の結界陣が幾重にも浮かび上がり、カシャン、カシャンと音を立てて物理的・魔術的なすべての「出口」を遮断していく。


「……ん、どうしたんだい、ルチア。朝からそんなに大きな声を出して」


騒ぎに気づいたアルヴィンが、アメジストの瞳をうっすらと開けた。寝起きの少し乱れたプラチナブロンドの髪と、はだけた胸元が妙にセクシーだが、ルチアにはそれどころではなかった。


「アルヴィン様! エアコンが! エアコンが勝手に『次元遮断モード』を発動させちゃいました!!」


「……ああ、それかい。昨日言っただろう? 外部から探知魔術を受けた瞬間、この部屋を隔離空間にするように術式を組み込んでおいたんだ」


アルヴィンは全く動じる様子もなく、むしろ満足そうにルチアの腰を抱き寄せ、その首筋に顔を埋めてすりすりとすり寄ってきた。


「ちょっと! 誰が探知魔術なんて使ったんですか!? マイルズ様ですか? それとも国王陛下……!?」


「だれでもいいさ。これで誰にも邪魔されず、君と一日中ここで過ごせる」


「良くありませんっ! 閉じ込められてます、私たち!!」


「きゅ~う(快適だから別にいいや、と言いたげにあくびをする)」


ベッドの足元では、シロちゃんが冷風に当たりながら完全にリラックスモードに入っていた。


ルチアの作った「前世の技術と魔法の融合エアコン」は、国家の危機を救ったどころか、過保護で独占欲の強い公爵様の手によって、ついに【世界で最も快適で、絶対に脱出不可能な甘々シェルター】へと進化を遂げてしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ