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相変わらずよく分からない話

 放課後の校舎裏。自販機の前。


「……意味が分からない」

 真田巴が、開口一番そう言った。

「どの部分」

 前田千夜が聞く。

「全部」

 即答だった。


「……」

 千夜は無言で缶を開ける。

 プシッ、と小さな音。

「……朝、話しかけてきた」

「うん」

「避けてたみたいで悪かったって言われた」

「うん」

「嫌われたくなかっただけらしい」

「……うん」

 そこまでは、まだ分かる。


「そのあと指輪渡そうとしてきた」

「……指輪?」

 千夜の手が止まった。

「そうだ」

「突然?」

「突然」

「……」

 千夜は黙る。


 数秒黙る。

「……それで受け取る人いるの?」

「知らん」

 巴も真顔だった。

「距離縮める方法らしい」

「距離の詰め方がおかしい」

 全くの即答だった。


 巴が深くため息を吐く。

「いや、でも」

「前よりはマシだった」

「……」

 千夜が少し目を細める。


 巴は明らかに顔が赤かった。

 前みたいな苦しそうな感じではなかった。

「嫌われてはないんじゃない?」

 千夜が静かに言う。

「……」

 巴は少し黙る。


 嫌われたくない。

 その言葉を思い出す。

 顔が少し熱くなる。

「……」


 やっぱり。

「よく分からん」

 結局そこに戻る。

 千夜が少し笑った。

「朝比奈って」


「普通にすると、多分普通なんだと思う」

「……?」


「でも」

 缶を傾ける。

「考え始めると変になる」

「……」

 巴は少し考える。


 嫌われたくない。

 だから距離を取る。

 距離を縮めたい。

 だから指輪。

「……変だな」

「変」

 即答だった。


 巴が、少しだけ笑う。

 本当に少しだけ。

「……でも」


「前よりは、ちゃんと話した」

「うん」

「……それは良かった」

 千夜は静かにうなずいた。

 押さない。

 決めない。

 でも、それくらいは言ってもいい気がした。


 夕方の風が、少しだけ柔らかかった。

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