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なんか違うけど、とりあえず痛かった件

 放課後 真田道場。


 木の床に、足音が響く。

 乾いた音、竹刀がぶつかる。

「……」

 真田巴は、構えている。

 少しだけ、呼吸が荒い。


(……なんか)

 さっきの会話が、頭に残る。

『ひよりがさ』

『真田のこと好きなんじゃないかって』

「……」

(……知らない)

 知らないはずなのに。

 少しだけ、気になる。


「真田」

 声に顔を上げる。

 朝比奈恒一。

「……なに?」

「組むか」

 いつも通り。


「……いいけど」

 短く返し、向かい合う。

 構える。

 静かな間。


「……そういえば」

 恒一が言う。

「ひよりの件」

「……」

 一瞬で間がズレる。

「どう思う?」


「……なにが?」

「いや」

「好きな相手が、お前で」

「……は?」

 完全に止まる。


「……違う」

 短く言う。

「そうか?」

 恒一、首をかしげる。

「後輩の面倒見いいし」

「ちゃんとしてるし」

「……」

(なんでそうなる)


「ひよりも」

「そういうとこ見てるんだろ」

「……」


 何かが、切れる。

「応援してるぞ」

「……」

 速い踏み込み。

 バシンッ!!

「……っ!」

 面に、直撃。

「……おい」

「今の」

「……」

 返事はない。


 もう一度、来る。

 速く重い。

 そして連続で。

 打つ。

 打つ。

 打つ。

「……ちょっ!」

 受けきれない。

 体勢が崩れる。

 一本、決まる。


 沈黙。

「……」

 巴は、竹刀を下ろす。

「……」

 何も言わない。

 面を外し、そのまま、背を向ける。

「……終わり」

 それだけ言って、離れる。


「……おい」

 恒一が声をかける。

 振り向かない。

「……なんだ今の」


「……」

 返事はない。

 足音だけが遠ざかる。

 少しして、恒一は、その場に座る。


「……」

 少しだけ、息を吐く。

「……怒ってたか?」

 誰もいないのに、つぶやく。

「……わからん」

 頭を軽くかく。

「……」


「……なんかまずかったか」

 小さく、つぶやく。

 でも、答えは出ない。

 そのまま、竹刀を持ち直す。

 ズレは、そのままだった。


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