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ちゃんと聞いたら、ちょっと違った話
放課後のグラウンド。
「部長」
「……朝比奈」
少しだけ構える。
「この前の件なんですけど」
「……ああ」
「“どういうつもりですか”って聞いていいですか?」
「もう聞いてるだろそれは」
「もう一回ちゃんと」
「なんでだよ」
即ツッコミ。
だが。
「……いい」
受ける。
「俺としては」
「下級生との距離は慎重に考えるべきだと思っていた」
「なるほど」
即納得。
「だから距離を?」
「ああ」
「……」
一瞬、考える。
「でも俺は別に何もしてないです」
「それは知ってる」
「じゃあ大丈夫ですね」
「よくねえよ」
即否定。
「誤解される行動が問題なんだ」
「……」
「例えば?」
「手紙を仲介するな」
「……」
「あと」
「“ちゃんとしてる人ってすごい”とか不用意に言うな」
「……」
「それ誤解生むやつだ」
「なるほど」
深くうなずく。
「気をつけます」
「……頼む」
部長、疲れた顔。
(こいつ、自覚ないのが一番怖い)




