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なんか避けられてる気がする件

 放課後のグラウンド。


 準備運動。

 恒一が顔を上げる。

 部長と、目が合う――

 はずだった。


 その瞬間。

 部長、くるりと一八〇度ターン。

「……?」

 恒一、止まる。

(今のは)

 少しだけ考える。


(風か?)

 納得しかける。

 数分後。

「部長」

 声をかける。

 部長、振り向く。

 目が合う。


 ――次の瞬間。

 一歩、下がる。

「……ああ」

 短く返す。

 そして。

 さらに半歩下がる。


「……」

 恒一、黙る。

(……距離、遠いな)

 少しだけ考える。

(……ああ)

 小さく、うなずく。

(気を遣ってるんだな)

 納得する。


(ああいうの、真面目な人ほど距離取るよな)

 さらにうなずく。

(なるほど)

 完全に理解した顔。


 少し離れた場所。

「……見たか今の」

 基樹がつぶやく。

「見た」

 彩音が即答する。

「完全に避けてるだろ」

「うん」

「なんであいつ納得してんの?」

「さあ」

 くすっと笑う。

「幸せそうだよね」

「どこがだよ」


 一方のひより。

 少し離れた場所で、見ている。

(……やっぱり)

 小さく思う。

(そういうこと、なんだ)

 目を伏せる。


 練習再開。

 恒一が走り出す。

 部長も走る。

 同じコース。

 ――だったのに。


 途中で。

 部長だけコース変更。

「……?」

 恒一、少しだけ横を見る。

(やっぱり)

 小さくうなずく。

(気を遣ってるな)

 納得が深まる。


 一方の部長。

(無理だ)

 小さくつぶやく。

(あれを受け取っておいて)

 距離を詰めるのは。

(軽すぎる)

 真面目すぎる結論。

 完全に距離を取る。


 その空気は。

 周囲にも伝わる。

「……なあ」

「ん?」

「部長と朝比奈ってさ」


「……そういう?」

「え、マジ?」

 ざわつき。

 広がる。


 一方の彩音。

 空を見上げる。

(……いいね)

(広がってきた)


(もう少し放置しよ)

 くすっと笑う。

 全部、見えている。


 グラウンド。

 恒一は、いつも通り走っていた。

(ちゃんと考えてる人だな)

 満足そうにうなずく。

 部長の背中を見ながら。

 完全に納得している。


 風が吹く。

 それぞれの理解は。

 全部。

 違う方向で、完成していた。


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