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やってみた結果

 放課後のグラウンド。

 練習の合間。


 ひよりは、少し離れた場所で立っていた。

(……やる)

 小さく決意する。

 昼の会話。

 思い出す。


「遅いです」

「ちゃんとして下さい」

(年上っぽく)

(強めに)

 深呼吸。

 恒一が、こちらに歩いてくる。


「朝比奈先輩」

 声をかける。

「ん?」

 一歩、近づく。

(ここで)

 口を開く。

「……遅いです」

「?」

 少し間。

「……え?」

 ひより、焦る。

(違う)

(もう少し)

「ちゃんと……して下さい」

「……」


 風が吹く。

 恒一が、少しだけ考える。

(……)

(言えるようになってきたな)

(前より、ちゃんと)

 ゆっくり、うなずく。

「頑張ってるな!」

「……え?」

「いいと思う」

 真面目に言う。


「ちゃんとして下さい、って」

「言えるようになったのは」

「成長だろ」

「……」

 ひより、固まる。


(違う)

(そうじゃない)

 でも。

 言葉が出ない。


「無理しなくていいけどな」

 さらに言う。

「そのままでいいと思う」

 優しい。

 でも、全部ズレている。


「……はい」

 ひより、小さくうなずく。

(どうしよう)

 少しだけ、困る。

 少し離れた場所。


「……なにあれ」

 基樹がつぶやく。

「実践してる」

 彩音が即答する。


「え、あれで?」

「うん」

 くすっと笑う。

「ちゃんと失敗してる」

「だな……」

 基樹、少しだけ引く。


 グラウンド。

 ひよりは、まだ立っていた。

(……もう一回?)

 考える。


「……」

 やめる。

 少しだけ、顔を伏せる。

 その横で。

 恒一は、満足そうにうなずいていた。

(ちゃんとやろうとしてるな)

 完全に納得している。


 風が吹く。

 努力は。

 少しだけ。

 違う方向に、進んでいた。


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