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同じ場所で

 グラウンド、夕方の光の中。


 俺は、ラインの内側に立っていた。

(……入ったんだな)

 昨日まで外から見ていた場所。

 今は、同じ側にいる。

 それだけで、少しだけ不思議だった。


 準備運動をしていると。

「朝比奈」

 振り向く。


 真田巴。


 同じ場所にいるから、当たり前だけど近い。その距離が、昨日までとは違う。


「合格したんだ」

「ああ」

「ちゃんと届いたね」

 軽く言う。

「まあな」

 短く返す。


 でも、内心は少しだけ嬉しい。

 巴が、少しだけこちらを見る。

「これで同じだね」

「……何が?」

「同じ場所」

 一瞬、言葉が詰まる。


(……ああ)

 そうか。

 外から見てるだけじゃない。

 今は――

「……そうだな」

 小さくうなずく。


 巴がくすっと笑う。

「でもさ」

 腕を軽く組む。

「まだ全然遅いけど」

「知ってる」


 巴が少しだけ目を細める。

「いいね」

「その感じ」

 短い評価。


 でも、ちゃんと見ている。

「これからだね」

 ぽつりと言う。

「……ああ」

 迷いなく返す。


 そのまま巴は軽く手を振って、持ち場に戻っていく。

 その背中を見ながら。

(近づいたな)

 ほんの少し。

 でも確実に距離が、変わっていた。


 そして気持ちを整える。

 同じ場所に立っただけ。

 まだ何も始まっていない。

 でも、ようやくスタートラインだ。



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