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先に伝える相手

 放課後の廊下を歩きながら、俺はふと思った。


(……言っとくか)

 今回の件と噂のこと。

 教室の空気。


 全部、助けられた。

(ちゃんと礼、言わないとな)

 振り返る。

 後ろには、直樹と彩音。


「なあ」

「ん?」

「今回のこと、ありがと」

 素直に言う。


 直樹が少しだけ眉を上げる。

「……は?」

 彩音も、ぽかんとする。

「いや、だから」

「心配してくれたし」

「止めてくれたし」

 言葉を並べる。


 でも。

「ちょっと待って」

 彩音が手を上げて止める。

「それ、順番違くない?」

「え?」


 直樹が、ため息をつく。

「俺らより先に言う相手、いるだろ」

 一瞬。

 言葉が止まる。

(……あ)


 浮かぶ。

 あの教室。

 あの声。

 あの視線。


 真田巴。

 助けを求めていないのに。

 真正面から来た人。


「……ああ」

 小さく、うなずく。

「そうだな」


 彩音が、少しだけ笑う。

「でしょ?」

「ちゃんと行ってきなよ」

 直樹も軽く手を振る。

「今ならまだいるだろ」


「……行ってくる」

 それだけ言って。

 俺は、走り出した。

 廊下を抜ける。

 階段を駆け下りる。

(……ちゃんと言う)


 伝える。

 さっき言えなかった分も。

 今度は。

(ちゃんと)


 足が、速くなる。

 向かう先は――

 グラウンド。


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