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沈黙と対峙

 噂は、止まらなかった。

「今度はさ、盗撮だって」

「え、マジで?」

「写真撮ってたらしいよ」


 ありもしない話が、形を持って広がっていく。

(……そこまで来るか)

 教室の中。

 視線が痛い。


 でも、俺は何も言わなかった。

(言い訳してどうする)

 証拠はない。

 証明もできない。


 そして。

(巴は、そういうの望まないだろ)

 逃げるみたいで。

 みっともなくて。

(男らしくない)

 そう思った。


「いや、さすがにそれは違うだろ」

 声を上げたのは、直樹と彩音だった。

「証拠あんのかよ」

「噂でしょ?」

 周りに向かって言う。


「でも見てたって人いるし」

  「怪しいのは事実じゃん」

 収まらない。

「抗議しろよ」

 直樹が俺を見る。

「このままじゃまずいって」

「……いい」

 短く答える。


「よくねえだろ!」

「いいんだよ」

 それ以上、言わない。

 直樹が言葉を失う。



 沈黙。

 その沈黙が――

 逆に、火をつけた。


「やっぱり怪しいじゃん」

  「何も言わないし」

「黒でしょ」

 笑い声が教室中に広がる。

(……まあ、そうなるか)


 わかっていた。

 でも。

(それでもいい)

 自分で選んだのだから受け止める。

 その、はずだった。






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