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恋愛台帳、時代ズレにつき修正不能  作者: サザルト
第3章 真白な頁に名前が灯る編

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第202話 新しい練習メニュー

■グラウンド


 放課後。


 陸上部では、昨日渡された新しい練習メニューを試すことになった。


「今日は全部やるわけじゃない。まずは短距離と基礎体力の部分だけ確認する」


 佐藤がメニュー表を持ちながら説明する。


 その声はいつも通りだったが、時々、腹のあたりを気にしていた。


「佐藤、大丈夫か?」


 恒一が尋ねる。


「ああ。問題ない」


「そうか」


 恒一は素直に頷いた。


 少し離れた場所にいた巴が、二人を見ている。


 佐藤はその視線に気づくと、わずかに姿勢を正した。


「では、始めるぞ」


 一年生たちが一斉に返事をする。


 最初は短い距離を何本か走り、フォームを確認する内容だった。


 ひよりは真剣な顔でスタート位置に立つ。


「白石、最初から飛ばしすぎるな」


「はい!」


 返事だけは立派だった。


 だが、走り出した直後から全力だった。


「飛ばしすぎだと言っただろ」


「すみません!」


 戻ってきたひよりは、息を切らしながら頭を下げる。


「次は抑えろ」


「はい!」


「本当に分かってるか?」


「分かっています!」


 佐藤は少し不安そうな顔をした。


 その後ろで、恒一はメニュー表を確認する。


「思ったより悪くないな」


「ああ」


 巴も一年生たちの動きを見ながら頷いた。


「ただ、休憩をもう少し長くした方がいい。これでは後半に形が崩れる」


「そうか」


「それと、一年には本数が多い」


「分かった。佐藤に伝える」


 恒一が答えると、巴は一瞬だけ黙った。


「……今度は普通に伝えて」


「普通に?」


「大切な話とは言わなくていい」


「分かった」


 恒一には理由がよく分からなかったが、巴がそう言うなら従うことにした。


 練習が進むにつれて、一年生たちの声は少しずつ小さくなっていく。


「あと二本だ!」


 佐藤が声を上げる。


「まだ二本もあるんですか?」


 ひよりが珍しく弱い声を出した。


「新しいメニューだからな」


「新しくない方がよかったです……」


 それでも、ひよりはスタート位置へ戻っていく。


 恒一はその姿を見ながら、小さく頷いた。


 昨日の大切な話は、無事に形になったらしい。


 少なくとも、恒一はそう思っていた。


 一方、佐藤はまた腹を押さえながら、隣にいる巴をちらりと見る。


「真田」


「何?」


「昨日、俺は何が悪かったんだ?」


 巴は答えなかった。


 ただ、静かに佐藤を見た。


 巴に見られた瞬間、佐藤は反射的に腹を押さえた。


「……いや。やっぱりいい」


 佐藤はすぐに前を向いた。

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