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救世のルファディア  作者: yato
第3章 混獣編
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ビーストス獣人国②

 俺達はグリルド伯爵に会う為にエモールドへと向かっていた。


 前回受けたゴードン商会の指名依頼の時にターンス付近で第2座標を設置しているので、そこから向かうことにした。


 今回はセレーナとアイビーも連れており、ルミナは屋敷で待機させている。何かあれば念話を使うように伝えているので大丈夫だろう。


 エモールドはビーストス獣人国の北東に位置しているので、ターンスとは反対だ。たとえ全力疾走のグラニでも1週間はかかる程の距離だ。


 それでも俺には座標転移があるので夕方になれば屋敷に帰ることが出来るので、充分気が楽だ。


 昼はエモールドに向かい、夜になると屋敷に戻る。それを繰り返しながら着実に進んでいると、それは起きた。


 --警告。大勢の盗賊がこちらに近づいています。


 俺の危機感知が発動し、さらに広域探索の加護も発動させると、どうやらどこかの商隊が30人程の盗賊に追いかけられている状態のようだ。しかも盗賊達は全員馬に乗っているようで、商隊は逃げきれないでいた。


 商隊は真っ直ぐこちらの方に向かってきているので、このままでは鉢合わせになるな。


 俺は場所を街道の脇に馬車を止めて指示を出す。


 「盗賊がこちらに近づいている。全員戦闘態勢に入れ」


 俺の言葉と同時に、数台の馬車で作られた商隊がどんどんこちらへと近づいてくる。


 商隊の最後尾には護衛として雇われている男2人が必死で矢を盗賊達に目掛けて放っている。しかし盗賊達の方が数や装備が上だ。頑丈そうな盾や鎧によって弾かれてしまう。


 「貴方達! 盗賊が来ています、急いで逃げて下さい!」


 すると先頭の馬車を操る狸人の男が大声で叫ぶ。格好からして、おそらくこの商隊のリーダーと思われる。


 「俺達は冒険者だ。盗賊は俺達に任せてさっさと逃げろ!」


 「だが盗賊の数が多い! アンタらだけではやられるぞ!」


 「気にするな。いいからさっさと行け!」


 「……ええい、くそっ! 分かった、ありがとよ!!」


 俺達の横を走り抜けるながら商人は感謝の言葉を俺達に告げながら、そのまま過ぎ去っていく。


 「おいお前ら、止まれぇぇぇぇぇぇぇっ!」


 馬車のすぐ後ろまで迫ったいた盗賊団の先頭を走っている豹人の男が手綱を引いて馬を止めるとように指示をする。すると後に続く多種多様の獣人族の盗賊達全員も手綱を引いて馬を止める。


 「ほう、こいつはかなりの上玉だな。これ程の女達はそうそうお目にかかれるものではないぞ。それに連れているその馬もバトルホースか? 商隊よりもこっちの方が金になりそうだな」


 豹人の盗賊は文字通り獣欲にまみれた眼でユフィア達へと視線を向ける。どうやらこいつが盗賊達の頭目のようだ。


 「エルフもいますよ、兄貴」


 その横にいる猫人の男が声を掛ける。おそらく頭目の側近と思われる。そしてこいつや他の盗賊達も頭目と同じような反応している。


 「だがその前に色々と楽しむのも良いかもな!」


 「へへっ、俺達にも回して下さいよ、お頭」


 『………………』


 盗賊達の会話を聞き、ユフィア達は不愉快そうに眉を顰める。


 「大人しく武器を捨てて降伏しな。そうすれば命だけは助けてやるよ! まさかこの【悪豹】のジャガノス様に盾突こうと思わないよな?」


 「ほう、それ二つ名なのか?」


 二つ名がある程の盗賊ならおそらく懸賞金が懸けられている筈だ。一応こいつのステータスを見せて貰うとしよう。


 名前:ジャガノス

 種族:獣人族(豹人)

 適性:土属性

 魔力:4000

 魔法: ストーンショット(小)・ストーンウォール(中)

 加護:なし

 賞金:3500000リル


 名前:モドザ

 種族:獣人族(猫人)

 適性:火属性

 魔力:1000

 魔法: なし

 加護:なし

 賞金:2000000リル


やはり賞金首だった。しかもその側近もなかなかの賞金が掛けられている。ならば仕留めないわけにはいかないな。


 それに新しい武器のお披露目に相応しい相手だしな。

 

 俺は即座に空間収納からストレイダーを取り出すと、そのまま余裕の笑みを浮かべているジャガノスに目掛けて突きを放つ。


 「は?」


 伸びたストレイダーの穂先で額を貫かれたジャガノスは間の抜けた声を発しながらそのまま地面に倒れ込む。


 『え?』


 一瞬の出来事だったので、何が起きたのか理解出来なかったのだろう。地面に倒れたまま動かないジャガノスを見つめたまま、盗賊達は硬直している。


 そしてようやく頭目の死を認識したようで、側近と思われる男がそのまま悲鳴を上げようとする。


 「がふっ!?」


 しかし側近が上げたのは悲鳴ではなく、血飛沫だった。


 ストレイダーの穂先が今度は側近の喉を貫いたのだ。


 喉を貫かれた激痛と息苦しさで悶える側近。穂先を引き抜くと、盛大に血を噴出させて周囲を赤く染め上げながら息絶えた。


 ふむ、やはりこの魔槍はなかなか便利だ。伸縮自在の加護により間合いの範囲が広まるだけでなく、伸縮する速度が非常に速い。これは使い方次第でかなり使い勝手が良いぞ。


 「ひ、ひぃっ!? 化け物だ!!」


 頭目だ副頭目が一瞬で物言わぬ屍となったことで、残された盗賊達は一種の混乱状態に陥ることになる。


 そして俺には勝てないと即座に判断したようで、我先にと逃亡を図ろうとする。しかし、そんなことは許さない。


 「ヒヒィーン!!」


 「ぎゃああああああああっ!?」


 高い嘶きと共にグラニから放たれる風の刃が盗賊達を切り刻んでいく。


 「逃さないよ! 十連矢射!」


 たとえグラニの放つ風の刃から逃れられたとしても、そこからセレーナが放つ魔力の矢によって全身を射抜いていき、あっという間に盗賊団は数人のみ残して壊滅する。


 盗賊を数名残したのはこいつらの拠点を聞き出す為だ。


 もしかしたら誘拐されている人がいるかもしれない。もしそうなら助ける必要がある。それに盗賊なら当然拠点には今まで略奪してきたお宝もある筈だ。それを回収しないのはあまりにも勿体ない。


 尋問をする前に、残された盗賊達を縄で拘束していると、1台の馬車がこちらに近づいてくる。


 「おーい、大丈夫かー!?」


 背後から聞こえてくる声に振り向くと、近づいて来ているのは先程すれ違った狸人の商人だった。


 「いやはや、貴方達が心配になって戻って来てみれば無事に盗賊達を退治したようで何よりです」


 どうやら俺達のことが心配で戻って来てくれたようだ。普通なら何も言わないでそのまま逃げると思われるが、この商人はなかなか善良な人なのだろうな。


 商人の名前はトルさんと言い、エモールドでの商売を終えて故郷に帰還していたところをジャガノスが率いる盗賊団に追いかけられていたそうだ。


 ここに来てエモールドという言葉が出るとはな。これも領主であるグリルドと何か関係でもあるのだろうか?


 考えても仕方がない。取り敢えずこの盗賊達の拠点を聞き出すことが先決だな。


 「おい、お前達の拠点が何処にあるのか教えろ。教えないとどうなるか、分かるよな?」


 「ひぃっ……」


 レイヴェルの穂先を向けて少し脅すと、すんなり観念したこいつらは拠点の場所を話し始めた。


 どうやら拠点はここからそう遠くない場所にあるようで、今まで盗んできた品物や誘拐して来た女性が何人もいるそうだ。


 盗賊達が全てを話し終えたのでもう役目は終わりだ。そのまま始末しようとすると、トルさんに止められた。どうやらこの盗賊達を奴隷として買い取りたいようだ。


 別にこいつらには懸賞金が懸けられていないので俺は了承した。出来れば拠点にいる盗賊達も捕らえて欲しいとのことだ。


 その後、俺達は盗賊達から聞き出したジャガノスの拠点へと襲撃した。


 拠点には数人の盗賊が見張りとしていたが、難なく捕えることが出来たので問題はなく、無事に人質の救出とお宝の回収に成功した。


 人質である女性や子供は全員無事だ。最近誘拐されたようで暴行も受けていないようなので目立った外傷はないようなので安心した。


 そして盗賊達の宝だがなかなかの量だ。殆どが装飾品の類でとても高価そうな物ばかりだった。


 拠点で捕らえた盗賊は当然トルさんに引き渡し、人質達も任せることにした。彼の故郷はここから半日の距離にあるようなので、その方が安全だろう。


 そしてジャガノス達に掛けられている懸賞金や盗品についてはアニマロスに行けば良いとトルさんに言われた。


 アニマロスにはビーストス獣人国唯一の冒険者ギルド支部があり、そこでなら懸賞金や盗品の確認をして貰えるそうだ。


 アニマロスはここらか2日程の距離にあり、俺達が目指すエモールドの途中にあるので丁度いいな。


 先程捕らえた盗賊と拠点の盗賊達はトルさんに売ることにした。それと何頭か逃げたが残った馬も合わせると5000000リルになった。

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