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救世のルファディア  作者: yato
第3章 混獣編
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ビーストス獣人国③

 道中で盗賊に襲われるというアクシデントがあって2日後。


 俺達は獣都アニマロスへと立ち寄っていた。獣都の周りは魔物や盗賊等から備えるために城壁で囲まれており、その中央には大きな城が見える。


 城門の前で手続きをする。グラニの威圧に兵士の獣人が顔を引き攣らせていたが、きちんと従魔の首輪を付けているので無事に入場を許可された。


 それにビーストス獣人国の首都なだけあって多種多様の獣人族で賑わっている。ここでは獣人族が多いので、人間族やエルフ族である俺達は少し目立つようだ。


 「ねえねえルイ、私観光したいな!」


 目を輝かせながらせがんでくるセレーナだが、今回の目標は冒険者ギルドアニマロス支部で盗賊の討伐を報告及び賞金の受け取りだ。


 「観光はエモールドでの件が片付いてからだ」


 「はーい」


 少し残念そうにするセレーナを他所に、俺達は冒険ギルドアニマロス支部へと赴く。


 場所はメイン通りにあったので直ぐに分かった。石造りの2階建ての建物でオルフィンの冒険者ギルドよりは小さいが、翼のような看板はどうやら全国共通のようだ。


 両開きの扉を開けて中に入る。


 建物の中では多くの獣人族の冒険者が依頼を受けていたり、酒場で食事や酒を飲んでいたりしているが、俺達が入ると全員がこちらに集中する。やはり他種族の俺達がここにいるのが珍しいのだろう。


 そんな物珍しい視線を受けつつ、俺達は正面にある受付カウンターへ行く。


 「いらっしゃいませ、今日はどのようなご用件でしょうか?」


 そこには白いブラウスに茶色のブラウスを来た牛人の女性が対応してくれた。


 す、凄い巨乳だ。牛人の女性は発育が良いとは聞いてはいたが、ここまでとは思わなかった。間違いなくユフィアよりも大きいだろう。


 「ルイ様?」


 ユフィアから圧が感じられる。微笑んでいるのにとても怖い。ごめんなさい。


 気を取り直して、賞金首であるジャガノス達を討伐したことと、盗品の確認に来たことを報告する。


 「まさか【悪豹】のジャガノスとその側近であるモノザを討伐されるとは……それを証明するものはありますか?」


 「はい、これです」


 俺は空間収納からジャガノスと側近の死体を取り出して見せる。突然死体が出現するだけでなく、その死体がジャガノスと側近のものだと分かると、受付嬢さんだけでなく周囲の冒険者達も心底驚いた表情を見せる。


 「しょ、少々お待ち下さい!」


 受付嬢さんが慌てて奥へ引っ込むと、直ぐに戻って来た。その横には羊人の男性を連れている。


 「初めまして。私はこの冒険者ギルドアニマロス支部の支部長を務めさせて頂いているメイソン=コールと申します」


 どうやらここの責任者のようだ。知的そうな雰囲気な人だな。


 「初めまして。オルフィンで冒険者をさせて貰っているルイです」


 互いに軽い挨拶をすると、メイソン支部長が並べられたジャガノスと側近の顔をまじまじと見ると、小さく頷く。


 「B等級賞金首である【悪豹】のジャガノス、そしてその側近であるC等級賞金首のモドザのもので間違いありませんね。調査として彼らと遭遇した経緯をお聞かせ下さい」


 「分かりました」


 俺はジャガノス率いる盗賊団と遭遇して成り行きで討伐したこと経緯を話すと、拠点で見つけた盗品について調べて貰うように言う。


 「分かりました。では別の部屋で盗品の確認を致しますので、お手数ですがこちらにどうぞ」


 俺達はメイソン支部長に別室へと案内される。指示に従いジャガノスが盗んだと思われる盗品を全て出すと、数名のギルド職員が盗品を 1つずつ確認していく。


 そして待つこと1時間。


 「お待たせしました。今回の見つけられた盗品の中に依頼の対象にされている物は 1つになります」


 相手はとある貴族の男性で、依頼の対象は娘の誕生日プレゼントに送る筈だった豪華な装飾品。どうやら娘の為に特注で作られた物のようなので、報酬金は何と10000000リルとかなり高額だった。


 「お待たせしました。どうぞお受け取り下さい」


 俺はメイソン支部長からジャガノス達の懸賞金と報酬金を受け取る。残った装飾品はオルフィンに帰還した時にゴールン商会にでも売却することにしよう。


 「それにしてもオルフィンからこのアニマロスに来るとは、観光か何かですか?」


 「いえ、ちょっとエモールドに用がありましてね。たまたま盗賊を退治したのでこの冒険者ギルドアニマロス支部に報告する為に寄っただけです」


 「ほう、エモールドですか。ちなみにどういった用で?」


 「はい、実は以前からエモールドにあるダンジョンに興味がありましてね」


 事前に調べたところ、エモールドにはダンジョンがあるようで、それによって繁栄しているそうだ。


 こう言っておけば、怪しまれる心配はないだろう。


 「そうですか。なるほど、これも何かの縁かもしれませんね……」


 顎に手を置きながらメイソン支部長が何か考え事をしている。


 「実はルイさん達に頼みたいことがあります。少し話をよろしいでしょうか?」


 「何でしょうか?」


 「はい、実はエモールドの領主であるグリルド伯爵のことなのですが……」


 どうやらグリルド伯爵には黒い噂があるらしい。


 曰く、多くの盗賊や暗殺者を配下にして邪魔者を密かに始末している。


 曰く、魔物を集めて怪しげな実験をしている。


 と、色々な噂あるようだ。


 当然、獣都から派遣される監査官が何度も派遣されているのだが、どうやら隠蔽工作に長けているようで、いずれも証拠はなし。なので咎めることも出来ない状態のようだ。


 そこで国は冒険者ギルドから優秀な冒険者を潜入させてグリルド伯爵の悪行の証拠を見つけることを依頼した。


 そこで丁度良い時に現れたのが俺達だった。


 冒険者ギルドが調べたところによると、どうやら俺が壊滅させたジャガノスが率いていた盗賊団とグリルドは親密な間柄だったようだ。


 そんな連中を殲滅した俺達がエモールドに行けば、向こうから何かしらの行動を仕掛けて来るとメイソン支部長は判断したようだ。


 「つまり、俺達に囮になれと?」


 「大変申しあげにくのですが、そうです……」


 はっきりとそう言われると良い気分ではないな。


 「勿論、それなりの報酬はお約束します。そして貴方方にはA等級冒険者を護衛に付かせますので」


 ふむ、囮役にさせられるのは正直面白くないが、これはグリルドに近づけるチャンスかもしれない。それに何かあれば座標転移で直ぐにオルフィンに転移すれば良いので大丈夫だろう。


 「分かりました。お受けします」


 「おお、それは助かります! お2人共、どうぞ中へ」


 「おうよ!」


 「失礼します」


 メイソン支部長に呼ばれて男と女の冒険者2人が部屋に入ってきた。


 まずは男の冒険者。年齢は20代後半だろうか。燃えるように赤い獅子のような髪と瞳、そして鍛え抜かれた肉体は歴戦の猛者を感じさせる。両手には赤い籠手を装備しているのでおそらくは接近戦を得意としているのだろう。


 次に女の冒険者。年齢は20代前半と思われる美人だ。虎の耳と尻尾、そして雪のように真っ白な長髪がとても特徴的だ。服装からして魔法使いだろうか、手には人丈の高さはある杖を持っている。


 「俺の名前はレオ。【赤獅子】の二つ名を持つA等級冒険者だ」


 「B等級冒険者で【白虎】のレビィです。レオさんと同行を共にさせて頂いています」


 どうやら2人とも俺よりも等級がうえのようだ。せっかくなので2人のステータスを見せて貰おう。


 まずはレオと名乗る男の方から。


 名前:レオルドス=ヴァンダイン

 種族:獣人族(獅子人)

 適性:火属性

 魔力:2000

 魔法: なし

 加護:獅子奮迅


 獅子奮迅

 自身の身体能力を上げる。


 流石はA等級冒険者と言ったところか。S等級冒険者に近いステータスをしているな。しかし苗字があるということはこの男は貴族か何かなのだろうか。それも偽名まで使っている。複雑な事情があるのだろうか。


 念の為にもう1人の女冒険者のステータスも見てみよう。


 名前:レービィア=ナタレイ

 種族:獣人族(虎人)

 適性:氷属性

 魔力:8000

 魔法: アイスアロー(小) アイスウォール(中) アイシクル (中)

 加護:なし


 この女冒険者はB等級でありながらA等級に匹敵するする程の魔力の持ち主のようで、扱える魔法も多い。そしてこの人も偽名を使っているようだな。


 「【救世の集い】のリーダーを務めさせて貰っているルイです。そしてこちらがクランメンバーの者達です」


 「ユフィアと申します」


 「セレーナだよ!」


 「アイビーよ」


 軽い自己紹介を済ませると、レオさんがまじまじと俺を見てくる。何かあったのだようか?


 「ふむ、なかなかの手練れのようだな。よし、実力を測る為に一つ俺と手合わせを願おうか」


 「……………はい?」

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