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救世のルファディア  作者: yato
第3章 混獣編
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仕事①

 屋敷を購入して数日後。


 俺はギルドマスターに呼ばれて冒険者ギルドに向かっていた。何やら受けても貰いたい依頼があるとのことだ。


 「おうルイ。よく来てくれたな」


 「お久しぶりですルイ殿」


 冒険者ギルドの執務室に入るとそこにはギルドマスター、そしてゴードン商会のガンドさんが既にいた。もしかして今回の依頼はゴールン商会に関わりがあるのだろうか?


 「お久しぶりですガンドさん。それで今回はどう言った御用ですか?」


 「はい。実はルイ殿に指名依頼を出したいのです」


 ガンドさんの俺に出した指名依頼の内容は商品を隣国のビーストス獣人国にへと運ぶことだった。


 本来なら大量の荷馬車に冒険者を雇って向かわせるのだが、今回は俺だけが選ばれることになった。


 俺なら空間収納で幾らでも物資を収納することが出来て破損することもない。更に俺にはどんな馬よりも速く走れるグラニがいるので最速で商品をビーストス獣人国に運搬ことが出来る。


 これ以上の適任者はいないだろう。


 「今回は商品も多いので3000000リルで如何でしょうか?」


 商品の運搬で3000000リルなら悪くないな。


 それに何かあれば手に入れたばかりの座標転移を使えばすぐに屋敷へと戻ることが出来るので問題はない。


 「分かりました。この依頼を受けます」


 「そうですか、それは助かります!」


 俺が指名依頼を受諾すると、ガンドさんが嬉しげに俺の手を握ってくる。


 「では改めまして、詳しい内容をご説明させて貰います」


 今回運搬するのはオルフィン産の農産物だった。


 本来なら肉等は冷凍保存する必要があるのだが、俺の空間収納は例え生物ですあっても時間が経過しないので腐ることはない。なので新鮮な状態まま運搬することになった。


 それに空間収納に収納しておけば肉の匂いに釣られて魔物に襲われることはないので心配はない。


 そして農産物はビーストス獣人国の南西に位置するターンスと言う街にあるゴールン商会の支店に運搬するようだ。グラニの全力疾走なら2日もあれば行ける距離だ。


 「では明日の朝、ゴードン商会の倉庫に来てください。お待ちしておりますので」


 「分かりました」


 こうしてギルドマスターの立ち合いのもと、俺はゴードン商会からの指名依頼を正式に受けることになった。


 早速屋敷に戻ってゴールン商会からの指名依頼を受けたことをユフィア達に話した。


 この指名依頼はグラニを全力で駆けさせるつもりなので馬車はない。なので今回は俺とユフィアだけでビーストス獣人国に行くことになった。


 ルミナは屋敷に残って家事をすると言っており、セレーナには羨ましがられたがその代わりとして俺が不在の間でも依頼を受けても良いと言ったら了承してくれた。当然アイビーも監査役としてついていくそうだ。


 そうと決まれば、明日に備えて今日はゆっくり休むとしよう。



 ◆◆



  翌朝。


 俺はユフィアとグラニを連れてゴールン商会の倉庫へと赴く。するとそこにはガンドさんがいた。


 「おはようございますガンドさん」


 「おはようございます」


 「おはようございます。お待ちしておりました」


 ガンドさんに挨拶すると、早速倉庫内へと案内される。


 倉庫内には多種多様の商品が保管されており、その中に今回運搬する農産物が置いてあった。


 ガンドさんが言うには牛50頭分はあるようだ。これ程の大量の肉を見るのは初めてだ。凄い量だな。


 「では収納させて貰いますね」


 そう言って俺は農産物を空間収納で収納していく。


 「では行って来ます」


 「お気をつけて」


 ガンドさんに見送られながら、俺達はオルフィンを発つ。


 グラニの全速力はまるで車のようだった。おまけにグラニの体力は普通の馬の比ではないので、ほぼ休むことなく走り続けられる。


 そろそろお昼になるので昼食の為に休憩を取ることにする。昼食はルミナ特製の弁当なので楽しみだ。


 「ん? 何だあれは?」


 何処から手頃な場所がないか探していると、それを見つけた。


 どうやら冒険者達が魔物に襲われているようだ。


 「ん? あいつらはもしかして……」


 よく見ると魔物に襲われている冒険者の中には知った顔があった。エリオとクードだった。パーティーでも組んでいるのか、戦士と剣士のような格好をした男2人もいる。どうやら2人とも怪我をっているようだ。


 エリオ達が戦っている魔物は大型犬程のサイズがある兎の群れだった。黄色の毛皮に覆われていて額には螺旋状の角が生えているのが特徴的だ。


 名前: アルミラージ

 種族:魔獣種

 等級:C

 魔力:2000


 アルミラージ

 兎型の魔物。可愛い見た目とは裏腹に非常に獰猛な性格をしている。【一角兎】と呼ばれており、敵と認識した存在は額の角を使って襲いかかる。角と毛皮と肉は売却出来る。


 C等級魔物のアルミラージが20羽に対してエリオ達の方は4人でその内の1人は怪我をしている。


 これではエリオ達の方が不利だ。このまま戦闘が長引けば全滅してしまうだろう。実際エリオ達はアルミラージに苦戦している様子だった。


 「彼らを助ける。グラニ、奴らに突入だ!」


 このままあいつらを見捨てるわけにはいかないので、グラニにアルミラージの群れに突っ込ませる。


 「ヒヒィーン!!」


 『キュキュウッ!?』


 グラニの嘶きと共に放たれる風の刃によって3羽のアルミラージの首が飛ぶ。


 「ようエリオ、クード、大丈夫か?」


 「ルイさん!?」


 「どうしてお前がここに!?」


 俺の姿を見てエリオとクードが驚いた表情を見せる。


 「説明は後だ。まずはあいつらを何とかするぞ」


 俺はレイヴェルを取り出して穂先をアルミラージへと向けて構える。


 そして一瞬で3羽目、4羽目のアルミラージを仕留める。


 『キュキュウッ!!』


 すると仲間を倒されたことで激怒したのか残りのアルミラージ達がその鋭い角をこちらに向けながら迫ってくる。


 「僕達も戦いますよ! ウィンドボール!」


 「オイラも行くぜ!」


 俺に続いてエリオもクードも参戦する。エリオが魔法で支援して、クードがとどめを刺す。この連携で 1羽ずつだがアルミラージを確実に仕留めて行った。


 『キュキュキュウゥゥゥゥッ!!』


 瞬く間に数が半分以上まで減ると、流石に敵わないと判断したのかまさに脱兎の如く逃げて行った。


 「ユフィア、そこの2人を治療してあげてくれ」


 「分かりました」

 

 そう言ってユフィアは負傷している冒険者2人の治療を始める。


 「ルイ様、治療終わりました」


 どうやら負傷者2人の治療が終わったようだ。ユフィアが微笑むと何故か治療を受けていた冒険者2人は勿論、エリオとクードまで頬を赤らめている。こんな美少女を見れば大抵の男はこうなるか。


 「ユフィア、この2人は仲のいい冒険者のエリオとクードだ」


 「初めまして。私はユフィアと申します」


 「は、初めまして。【魔犬の遠吠え】のリーダーを務めるエリオです」


 「サブリーダーのクードだ、よろしくな!」


 「君達のお陰でメンバーが1人も欠けることがなくて良かったよ」


 「ありがとな」


 挨拶を済ませると、エリオ達は改まって礼を言ってくる。


 「どう致しまして。それで、どうしてこんなことになったんだ?」


 「それはだな……」


 事情を聞いてみると、エリオ達は【魔犬の遠吠え】と言うクランを設立したようだ。そしてその記念すべき初依頼を達成した後にアルミラージの群れに襲われたそうだ。


 ちなみに戦士はマーナス、剣士はリックと言う名前でつい最近D等級に昇格したようだ。何度かパーティーを組んでいて【魔犬の遠野え】に入ったらしい。


 「ルイ達も依頼か?」


 「ああ。ゴードン商会からの依頼で物資をビーストス獣人国に届けることになってな」


 「あのゴールン商会から直々の依頼を請け負うなんて、余程信頼されているんだね」


 「まあ、色々あってな」


 積もる話をしながら共に昼食を取ると、俺達は【魔犬の遠吠え】と別れてビーストス獣人国へと向かう。


 それ以降は魔物と遭遇することなく進むことが出来たので、実に順調に進めた。


 日が暮れてきたので今日の移動はここまでにしておこう。


 「いくぞユフィア、グラニ」


 「はい」


 「ブルルゥ」


 「座標転移」


 2つ目の座標をこの場所に設置すると、俺達は 1つ目の座標があるオルフィンの屋敷へと転移する。


 どうやら無事に成功したようで、一瞬で見覚えのある屋敷の庭に転移出来た。


 グラニを厩舎まで連れていき、好物である人参を食べさせると俺とユフィア屋敷に入る。


 「おかえりなさいませ。大浴場の準備はもう出来ていますので、ごゆっくりおくつろぎ下さい」


 流石はルミナだ。ゆっくり風呂に入って今日の疲れを癒すとしよう。


 入浴を終えて、夕食を食べる。


 今日の夕食は白身魚のムニエルとサラダ、スープか。


 まずは白身魚のムニエルから口にする。


 最初に感じられるのはやはり芳醇なバターの香りだろう。そして白身魚に小麦粉をまぶしてからバターで焼いているからなのか、旨味を逃さずにしっかりとした食感が味わえる。


 そして次はサラダだ。


 野菜は全て庭でアイビーが育てた野菜を使っている。色鮮やかで瑞々しくて程よい食感、何よりも素材だけでも充分美味しくのだが、そんな野菜にルミナ特製の液体調味料が組み合わさることで旨みが増す。


 最後はスープだ。


 これはミネストローネだな。トマトをベースに作られた濃厚な旨味と程よい酸味があるスープには色々な種類の野菜が入っているので、これだけでも充分食べ応えがあるな。


 夕食を食べ終えたら、自室に戻って武器や防具の手入れ、読みかけの小説の続きを読む等をして眠りについた。



 ◆◆



 翌朝。


 朝食を食べ終えて、俺達は再び2つ目の座標がある場所からの移動を再開する。


 昨日までと違って魔物と出くわすこともなかったので、無事にビーストス獣人国のターンスへと到着した。


 手続きを終えて街に入ると、そこに広がる光景に目を奪われてしまう。


 「獣人族だらけだな」


 「獣人族が治る国ですからね」


 流石は獣人族の街と言ったところか。ここには多種多様な獣人族がいる。それにターンスは他国との交易が盛んな街だからか、人間族やドワーフ族等も多いな。


 街の人々に道を尋ねがらゴードン商会の支店へ赴く。やはり本店よりは小さいが、それでも他の建物よりは一回りも大きいのは流石だと思う。


 店内に入ると、従業員と思われる獣人達が忙しそうに働いていた。


 「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 すると兎人種の女従業員さんが丁寧に出迎えてくれた。流石は支店でも従業員の対応はきちんとしているようだ。


 「どうも。自分は冒険者のルイと申します。実はゴールン商会のガンド=ゴールン会頭から物資の運搬を任されて来ました。これが受領書となります」


 俺はガンドさんから渡されていた受領書を見せると、女従業員さんは俺達に少し待つようにと伝えてその場から離れる。


 しばらくすると、熊人の大柄な男性が来た。彼はこの支店の店長でベルドさんと言う名前のようだ。


 俺達は倉庫へと案内されると、空いているスペースに今回運んできた物資を出す。突然大量の農産物が出現してベルドさんは少し驚いていたが、事前にガンドさんから話は聞いていたようなのでそこまで大事になることはなかった。


 「会頭から話は聞いてはいたが、素晴らしい加護をお待ちのようだ。羨ましい限りです」

 

 「ありがとうございます。では受領書にサインをお願いします」


 「はい、これで良いでしょうか?」


 無事にサインを貰い、ゴードン商会からの指名依頼は無事に完了した。

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