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救世のルファディア  作者: yato
第3章 混獣編
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引越し①

屋敷を購入した俺達はさっそく引越しの準備を始めることにした。


 まずは新生活に必要な物の買い出しだな。家具や食器等の類は既に揃っているので、衣服や装飾品を買うとしよう。


 だがその前に、風見鶏亭に行って女将さんに引越しをする挨拶だけはしておかないとな。それにもうすぐお昼だからな、折角だから昼食を食べてから買い物に行くとしよう。


 まず俺達は風見鶏亭へと向かうことにした。


 「こうして歩くなんて久しぶりです」


 風見鶏亭に向かう途中、ルミナは懐かしそうに歩きながらそう呟いた。


 どうやら女資産家が亡くなってしばらく屋敷から出ていなかったようだ。こうして買い出しに行けるのが嬉しいようだ。


 ちなみにルミナは自分が妖精族であることがバレないように不可視化の加護で羽を透明にしているので、誰がどう見てもただのメイドにしか見えない。


 「おやおや、もうお帰りかい」

 

 風見鶏亭に到着すると、酒場のカウンターから女将さんが顔を出す。


 「それで家は見つかったのかい?」


 「はい。とても良い物件がありましたので今日からそこで暮らすつもりです」


 「そうかい、アンタ達の門出は喜ばしいことだけど寂しくてなるね……」


 女将さんにはこのオルフィンに来てからずっとお世話になっていたからな。こちらも少し寂しい気分になる。


 「別にこのオルフィンを去る訳ではないので、時々顔を見せに来ますよ」


 「ははは、それは楽しみだね。よーし、アタシからのお祝いだ。昼食を食べていきな。腕によりをかけて作るからさ、それまでに部屋の整理を済ませておいで」


 そう言って女将さんは調理場へと向かう。これは昼食が楽しみだな。


 俺達は部屋の荷物を片付けていき、終わった頃にはちょうど女将さんの料理が完成したようだ。


 料理は『ナルチェス』という鍋に大きめに切られた牛肉と複数の野菜を入れている鍋料理だった。色はとても赤く辛そうだな。


 お椀に入れられた具とスープを匙で掬い、そのまま口へと運ぶ。


 「美味い!」


 辛いと思っていたが全然そうではない。寧ろ上品な味わいとコクがある。地球で言うビーフシチューに近い味だった。


 野菜はスープをたっぷりと含んだ蕩けるように柔らかく、肉はしっかりと煮込まれているからかほろほろと口の中で溶けていく。


 流石は女将さんが腕によりをかけて作ってくれた料理だ。文句の付けようがない程の美味しさだ。


 「とても美味しいです」


 「おいひー!」


 「なかなかやるじゃない……」


 どうやらユフィア達も満足してしているようだな。


 「………………」


 だが、ルミナだけ反応が違うな。何故かふるふると肩を震わせている。


 「美味しいです! 女将さん、是非わたくしを貴女の弟子にして下さい!」


 どうやら女将さんの作る料理の味に感銘を受けたのか、ルミナがまさかの弟子入りを志願し始めた。


 「わたくし、メイドとして必要な技術は極めてきたつもりでしたが、まさかこれ程まで美味しい料理がこの世にあるなんて、まだまだ未熟者だと実感しました。どうか貴女の料理の技術をわたくしに伝授して下さい!」


 鬼気迫るルミナの迫力に女将さんは一瞬だけ呆気に取られたような顔をするが、すぐに小さく微笑む。


 「アタシの指導は甘くないよ? それでもついてこられるかい?」


 「はい! 頑張ります!」


 どうやらあっさりと弟子入りが決まったようだ。こうしてここな新たな師弟関係が生まれたのだった。



 ◆◆



風見鶏亭で昼食を食べ終えた俺達は市場でへと向かう。


 ちなみにルミナはさっそく女将さんのところで猛特訓している。今日の夕飯はとても楽しみだな。


 俺達は市場で色々と買い物をする。


 まずは衣服だ。勿論、戦闘用ではなく私生活用の衣服だ。シャツやワンピース、スカート、ズボン、様々な種類の衣服をみんなに選ばせて買っていく。どれも似合っているぞ。


 次はそれぞれが欲しい物を購入していく。


 「ねえねえルイ、あれなんてどうかな?」


 「セレーナ、これ以上部屋には置けないだろう」


 セレーナは珍しい物なら何でも興味があるようだな。しかも何だこの銅像は? 人の顔を持つ魚のようだが、これを可愛いと言えるセレーナのセンスが疑われる。


 「この野菜の種と--そっちの種も貰うわ」


 「へい、毎度あり」


 アイビーは様々な種類の野菜や果物の種を購入していた。おそらく庭で育てる為のものだろう。木精霊であるアイビーが育てるのだから新鮮なものが採れるだろう。


 「ありがとうございます、ルイ様。これで毎日女神様にお祈りが出来ます」


 ユフィアには家庭祭壇を購入した。女神様を信仰する彼女としてはちゃんとした設備を用意して日々の祈りを女神様に捧げたいらしい。


 俺はそこまで欲しい物はないが、強いて言うなら小説等には興味があるので、色々なジャンルの本を何冊か購入しておく。


 あとはルミナに頼まれていた食材を購入すれば買い物は終わりだ。


  屋敷に帰ると一足先にルミナが戻っていたようで、丁寧に出迎えてくれた。


 「お帰りなさいませ」


 「ただいま。これ頼まれていた食材だ」

 

 俺は頼まれていた食材をルミナに渡す。


 「ありがとうございます。これから夕食の準備を致しますのでそれまでお待ち下さい」


 「分かった。それまでには荷物の整理を済ませておくよ」


 とは言うものの、荷物は空間収納にしまっているからそれぞれの部屋に出すだけでなんだけどな。


 さて、それでは部屋決めをするとしようか。


 「みんなはどの部屋がいいんだ?」


 「アタシは3階の部屋がいいわ」


 アイビーが希望したのは3階の部屋だった。どうやら部屋にも植物を育ててたいらしく、少しでも日当たりが良い部屋がお望みのようだ。


 「じゃあ、私は姉さんの隣の部屋にする! 長目も良さそうだからね!」


 セレーナはアイビーの隣の部屋を希望する。やはり姉妹として共に育ったからなのか、近い部屋の方が落ち着くようだ。


 「わたくしは既に部屋は決まっています」


 ルミナはこの屋敷に来てからずっと同じ部屋を使っているようだ。ちなみに彼女の部屋は2階でセレーナの部屋の真下らしい。


 「私は出来ればルイ様の隣の部屋がいいです」


 ユフィアの希望は俺の部屋の隣か。ならば先に俺の部屋を決めた方が良いな。


 「ご主人様には3階の奥部屋が良いと思われます」


 ルミナによるとその部屋は他の部屋よりも広いようだ。安全性も兼ねて俺の部屋はそこに決まった。


 そしてユフィアは俺の部屋に1番近い部屋になった。


 流石にグラニは屋敷に入ることが出来ないので、庭にある大きな厩舎があるのでそこで過ごして貰う。


 厩舎にしてはとても豪華なのでグラニも大変満足している。


 それぞれの部屋が決まったところで、俺はユフィア達が購入した物をそれぞれの部屋に配置していく。


 購入した物を空間収納で出すだけだったので、部屋の整理にはそれほど時間は掛からなかった。

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