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救世のルファディア  作者: yato
第3章 混獣編
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活動拠点②

「では、【救世の集い】の初仕事が成功したことを祝って乾杯!」


 『乾杯!』


 俺達は風見鶏亭で【救世の集い】の初仕事を無事に完了させた祝宴を行なっていた。


 祝宴と言うことで普段の食事よりも豪華にしている。こんな時ぐらい美味しいものを食べたいよな。


 ちなみに今回は指名依頼の報酬にダーティーフロッグの素材、ヨナの森でしか採れない希少な薬草を売却して合計2500000リルを稼ぐことが出来た。


 さてと、俺もそろそろ料理を頂くとしようか。


 料理のメニューは薬草サラダ、シーフードスープ、唐揚げ、コンポート。


 しかもこの料理は今回の指名依頼で入手した素材で作られている。


 薬草サラダにはヨナの森で採れた希少な薬草を使用している。僅かに苦味があるが免疫力向上、消化促進等の効果があるようだ。


 シーフードスープは汚染されていた湖にいた魚を使用している。汚染されても尚魚達は生き残っていたようだ。当然ついでに浄化されているので食べても問題ない。


 唐揚げに使用されているのはダーティーフロッグの肉だ。きちんと解毒されているので安心して食べることが出来、鶏肉のような淡白な味が唐揚げに適していた。


 コンポートはヨナの森で採れる桃を使用している。僅かに砂糖を使用しているだけで、桃本来の甘みを生かしいる。食べると非常に瑞々しい。


 「素晴らしいお味ですね」


 「美味しい!」


 「これがあの蛙だなんて信じられないわ」


 どうやらみんなも美味しい料理に舌鼓を打っているようだな。良かった良かった。


 美味しい料理を堪能したいると、セレーナが話しかけてきた。


 「そう言えばルイ、ギルドマスターが言ってた件はどうするの?」


 「そうだな……」


 セレーナに聞かれて、俺は指名依頼を終えた後に言われたギルドマスターの言葉を思い出す。


 『そう言えば、お前達はまだ風見鶏亭で宿泊しているらしいな。クランを設立したからには拠点となる建物ぐらいないと箔がつかないだろう』


 確かにずっと宿屋で過ごすのは良くないか。俺や彼女達にも個人の空間は必要だろう。これを機にクランの拠点を探すのも良いかもしれない。


 それに、色々と臨時収入を得ている今の俺達なら拠点を得る為の資金もあるしな。ここはひとつ、腹を括るとするか。


 「よし、決めたぞ。俺達【救世の集い】の活動拠点となる家を買うぞ!」



 ◆◆



「なるほど、クランの拠点になる物件をお探しなのですね?」


 「はい、そうなんです」


 【救世の集い】の拠点となる建物を購入するべく、俺達はオルフィンで1番の商会であるゴードン商会へと訪れていた。


 対応してくれるのはゴードン商会の会長であるガンド=ゴードンさんの一人娘であるリリラさんだった。


 本当はガンドさんが直々に話を聞きたかったそうなのだが、どうしても外せない商談があるとのことなので副会長であるリリラさんがこうして話を聞いてくれることになった。


 本来ならしがない冒険者である俺達を相手にこれほど地位の人が直接話を聞いてくれることはないと思うのだが、とても懇意にしてくれているのだろう。


 「それで、何か希望等はありますか?」


 リリラさんが幾つもの書類が挟まったボードを手にそう問いかけてきた。


 「そうですね。今後もメンバーが増えるかもしれないので念の為にたくさん部屋がある物件がいいですね」


 別にこれ以上眷属を増やすつもりはないが、客人用とかで必要になるかもしれない。いやいや、本当にこれ以上眷属を増やすつもりはないぞ?


 「みんなは何か要望があるか?」


 当然ここはユフィア達も住むんだ。出来ることなら彼女達にも気に入って貰いたい。


 「そうですね、出来ればお風呂があれば嬉しいですね」


 なるほど。確かにそれは必要だな。風見鶏亭ではどうしてもお湯を使って身体を拭くことしか出来なかったからな。俺も毎日ゆっくり風呂に入りたいものだ。


 「はいはい、私は広い庭があるところがいいな!」


 「そうね。折角だから日当たりの良いところが良いわ」


 そういえばアイビーは果物や野菜を育てるのが趣味だったな。森を離れて趣味が思うように出来ていないのは可哀想だ。


 「もし可能ならこれらの条件が合う物件を紹介したくれませんか?」


 「分かりました。それでは幾つかの物件がありますので一緒に見に行きましょう」


 こうして俺達はリリラさんの案内で様々な物件を見て回ることになる。


  1件目。


 「ここはどうでしょうか? 建20年目の石造2階建ての建物です。古い建物ですが改修工事は済んでいますので住むには問題ありません。お値段は15000000リルです」


 確かに古そうな建物だがきちんと改修はしているようだな。部屋の数もそこそこあるし、こちらが要望した必要最低限の設備は整っており、少し狭いが庭も付いている。それに値段もなかなか良心的だ。


 「どう思う? 俺としてはなかなかの物件だと思うが?」


 念の為ユフィア達に確認してみる。


 「そうですね。確かに良い物件だと思うのですが……」


 「何だが視線が気になるな」


 「そうね。不愉快だわ」


 視線? 不愉快だって? 周囲を見てみるとガラの悪い男達が卑猥な目つきでユフィア達を見ていた。


 「この地区にある建物は殆どのクランが購入していて、とくにこの辺りは素行の悪いクランが多いんです」


 それは絶対に駄目だな。そんなところに住んでいたらユフィア達の身に何が起きるか分からない。危険過ぎる。


 「ここはなしでお願いします」


 2件目。


 「ここは建築5年目の木造平屋です。十分な部屋数とお望みの設備は全て備えております。お値段は24000000リルですが如何でしょうか?」


 「ふむ」


 ざっと中を見て回ってみても良い雰囲気だし内装も綺麗だ。キッチンに風呂等の設備も揃っているし、地下には収納スペースまであり、なかなか広い庭まである。


 「ここはやめておきます」


 俺はこの物件を断ることにした。


 1階建ての建物は道路や供用部からの視線が気になりやすく、空き巣に入られるリスクが非常に高い。それに周囲の建物によって日差しが遮られ、日当たりが悪くなることからこの物件は良くないと判断した。


 ユフィア達にもそのことを説明すると納得してくれた。


 「次の物件をお願いします」


 3件目。


 「ここなんてどうですか? 築5年でキッチンもお風呂も付いていて、広いお庭だってあります。それに何と家具まで付いています。お値段は40000000リルと少しお高くなりますが、どうでしょう?」


 確かにここは俺達が要望する全ての条件が揃っている物件のようだな。しかも家具付きか。多少値は張るが今の俺達に購入出来ない金額ではない。


 しかし、この物件には致命的な欠点があった。それは--


 「金ピカだな」


 そう、建物全体が金ピカなのだ。外装だけでなく内装まで全て金一色で統一されているのだ。しかも家具まで。


 「ここは昔、見栄っ張りな商人の方が建築され建物です。流石に全てを純金にするのは不可能だったので、その代わりとして全てが金メッキで覆われています」


 いやいや、見栄を張り過ぎるにも程があるだろう! どんなだけ悪趣味してるんだよその商人!


 「ちなみにその商人はどうなったんですか?」


 「商会は多額の借金を抱えて倒産してしまい、家主の方は夜逃げされて行方不明となっています……」


 しかも縁起が悪過ぎる!


 「次で」


 それから何件もお手頃な物件を見て回ったのだが、部屋が少なかったり、金額が高過ぎたり、デザインがあまりにも奇抜過ぎる等と言った理由でどれも却下となる。


 そもそもそれほど好条件の物件は既に多くのクランが買い取っているようだ。なので今までの物件しかないのだと言う。


 「やはりそう簡単に良い物件なんて見つからないよな」


 「そうですね、皆様のご要望する条件が合うのはこれで最後ですね」


 --嘘です。


 お、以前獲得した真偽看破の加護が発動したぞ。つまりまだ条件の合う物件があると言うことだな。

 

「リリラさん、何か俺達に隠し事していませんか?」


 「な、何がですか?」


 お、少し動揺しているな。もう少し揺さぶりをかけてみよう。


 「他にも物件はあるんですよね?」


 「あ、ありませんよ」


 --嘘です。


 また嘘をついた。もう一息。


 「残念ですが、俺には嘘を見抜くコツを知っていましてね。リリラさんが嘘をついているのは分かりますよ?」


 「……分かりました。こちらの物件はどうでしょうか?」


 俺が問い詰めにようやくリリラさんは根負けしたのか、 1枚の書類を渡してくる。


 築10年の大理石で造られた3階建ての屋敷。部屋の数は12部屋、非常に整った調理場や食堂、大浴場等は全て完備しており、地下は訓練場と倉庫、庭は非常に広くてしかもプールまで付いている。それに何と各部屋には家具が設置されている。建物の図面を見る限り奇抜でもなさそうだ。


 しかも値段は何と20000000リルという破格の値段だと!? 滅茶苦茶お得物件ではないか、これ!


 「これは良い物件ですね」


 「大きいお風呂に入ってみたいな!」


 「これだけ広い庭ならたくさんの植物を育てられるわね」


 どうやらユフィア達もこの物件を気に入ったようだ。


 しかし、これほど好条件の建物でこの良心的な値段ならとっくの昔に誰かが買収していても良い筈だ。


 それなのに未だに買い手が付かないのは明らかにおかしい。まさかとは思うが……。


 「リリラさん、もしかしてこの物件って……」


 「はい、実はその物件……出るんですよ」

 

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