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救世のルファディア  作者: yato
第3章 混獣編
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活動拠点①

【救世の集い】というクランを立ち上げて数日後。


 「ふあ〜……」


 「こんな朝早くに起こされるなんて迷惑だわ」


 「冒険者ギルドからの招集なんて何事でしょうか?」


 「さあな。でもギルドマスター直々の招集だからな、断る訳にもいかないだろう」


 俺達はまだ早朝だと言うのに冒険者ギルドから【救世の集い】に緊急の要請があるとのことで向かうことにした。


 こんなに朝早くに招集するとは余程のことが起きたに違いない。


 急いで冒険者ギルドに到着すると、待機していた受付嬢のアリスさんがギルドマスターの執務室まで案内してくれる。


 「早朝だと言うのにすまないな」


 そこにはギルドマスターが深刻そうな表情で待っていた。


 「その様子だと大事な話のようですね?」


 「ああ。早速で悪いが【救世の集い】にC等級の指名依頼を受けて貰いたいんだ」


 「それはまた急ですね」


 「ああ、実態は一刻を争うんだ」


 指名依頼の内容はオルフィンから3日程の距離に位置するヨナの森にある汚染された湖の浄化及びその元凶となる魔物の討伐であった。


 魔物の名はダーティフロッグ。常に瘴気を放っている大型の蛙だ。


 こいつが住み着いたせいで湖は酷く汚染され、その影響によって徐々に森が瘴気に侵食されているらしい。


 このままでは森全体が瘴気に汚染されるのも時間の問題らしい。


 ダーティーフロッグが住み着いている湖があるヨナの森には希少な植物が生えており、このまま汚染させるわけにはいかない。


 そこで短時間でヨナの森まで辿り着くほどの脚力を持つグラニと浄化の光属性魔法を使うのに長けたユフィアがいる『救世の集い』に指名依頼が入ったと言うわけだ。


 それにダーティーフロッグはC等級魔物なので戦闘力が高い俺がいれば心強いというのもあるようだ。


 「今回は緊急かつ指名依頼だ。報酬は色をつけて支払おう」


 今回の指名依頼はことが重要だとなので何と1500000リルも出してくれるらしい。【救世の集い】の初仕事には相応しい依頼だな。


 「分かりました。『救世の集い』はこの指名依頼を受けます」


 「頼んだぞ、お前達!」


 こうして俺達【救世の集い】の初仕事が始まった。



 ◆◆



 グラニのお陰で1日でヨナの森に到着した俺達は、早速汚染されている湖へと向かうことにした。


 情報通りこの森には希少な薬草や果実が生えているようだ。この件が片付いたら幾つか採取しておこう。


 先に進むと樹や花等が瘴気によって汚染されているのを発見した。どうやらこの先にダーティーフロッグがいる湖があるようだな。


 「酷いわねこれは。みんなとても苦しんでいるわ」


 やはり木精霊であるアイビーにもこのような現状は喜ばしくないようだな。早いところ汚染の原因となるダーティーフロッグを討伐して浄化してあげないとな。


 「ここからは我々にも瘴気の影響がありそうですね」


 「うーん、何か不快な感じがするな」


 「瘴気の影響ね」


 俺には異常無効の加護があるから普段と同じように感じるが、ユフィア達はそうでもないので少し顔色が悪いな。


 「念の為に浄化の魔法をかけておきます。ピュリフィケーション」


 ユフィアが浄化の光属性魔法を発動する。すると清々しい爽快感を感じたように彼女達の表情が明るくなる。


 これなら先を進んでも問題ないな。


 そうして先に進むにつれて汚染の具合が酷くなっていき、そして遂に目的地である湖に到着した。


 「……酷いな、これは」


 汚染された湖は如何にも言える毒々しい紫色に染まっており、酷く漂う悪臭は嗅いでいるだけで気分が悪くなりなりそうだ。


 --警告。魔物がこちらに近づいています。


 そう思っていた時に危機感知が発動した。


 「来るぞみんな!」


 俺達は武器を構えて戦闘準備に入る。すると汚染された湖から何かが現れた。それは複数のの触手だった。


 「ダーティーフロッグじゃないなのか?」


 蛙でなく妙に生々しい複数の触手の出現に戸惑っていると、触手が素早い動きで俺達を襲ってくる。


 「はあっ!」


 レイヴェルを振るって触手の1本を斬り捨てると、まるで苦しむかのように他の触手がうねうねと動き、そして今度こそお目当ての魔物が湖から現れた。


 巨体で薄紫色の滑った皮膚、人を簡単に丸呑みに出来そうな大きな口、そして悪臭を漂わせるのは醜いヒキガエルのような姿をした魔物だった。


 名前: ダーティーフロッグ

 種族:両生種

 等級:C

 魔力:2000


 ダーティーフロッグ

 蛙型の魔物。身体から非常に害のある瘴気を放っており、皮膚から滲み出る体液は毒性がある。毒液を獲物に浴びせて弱らせてから伸縮自在の舌で絡めて捕食する。


 どうやらこいつが討伐目標で間違いないようだ。


 「ゲゴオオオオォォォォォッ!!」


 「おいおい、勘弁してくれよ……」


 姿や匂いもそうだが鳴き声まで酷いな、こいつは。あまりのキツさに女性陣がかなり引いている。


 それに先程俺達を襲った触手はダーティーフロッグの舌だったようだ。奴の口から複数の舌のうち一部が切断面されているのが見えた。


 「ゲゴオオォォッ!」


 ダーティーフロッグがこの巨体を大きく震わせた。すると奴から分泌していた毒の体液が降り注ぐ。


 「ユフィア!」


 「はい!聖護結果!」


 咄嗟にユフィアは俺達を覆うように結界を展開させ、雨のように降り注ぐ猛毒の体液から身を守る。


 「ゲゴオオォォッ!」


 そして今度はダーティーフロッグは身体を縮小させると、唐突に上空へと跳び上がった。


 「マジかよ……」


 思わず目を見開く。想像以上にダーティーフロッグの足は長かったようで、それによって絶大な跳躍力を持っているようだ。奴の巨体はあっという間に上空数十メートルの高さにまで上昇している。


 「俺達を押し潰す気か! 全員か回避しろ!」


 流石にあの巨体があれ程の高さから落下すれば凄まじい威力があるだろう。ユフィアの聖護結果でも受け止められる保証はない。


 ユフィアに結界を解除させて俺達はダーティーフロッグの落下地点を示す奴の影から逃れるように走った。


 どうにかダーティーフロッグの影の中から脱すると、紙一重の差で奴の巨体が地面へと激突する。それにより地響きが起こり、地面の砂塵が視界を遮る。


 すると、突然砂塵の中から触手--奴の舌が飛び出して来た。先程のように機敏な動きで俺に攻撃を繰り出してくる。


 「--ちっ!」


 舌打ちしながら俺はレイヴェルを振るって対処する。


 「今のうちに攻撃だ!」


「援護します! ライトアロー!」


 「十連矢射!」


 「リーフショット」


 「ブルルゥっ!」


 「クルルゥッ!」


 俺がダーティーフロッグの気を逸らしている間に、ユフィア達が奴を仕留めにかかる。


 「ゲゴオオオオォォォォォッ!?」


 流石のダーティーフロッグも為す術なく凄まじい総攻撃に受けることになる。


 するとダーティーフロッグに異変が起きる。奴は身体を僅かに膨らませると、あんぐりと口を開いた。


 「ゲゴオオオッ!!」


 「うおっ!?」


 それはダーティーフロッグの奥の手だったのかもしれない。何と奴は口から粘液のようなものを俺に吐きかけて来たのだ!


 やはりと言うべきか、その吐き出された粘液は毒のようで俺以外が触れた草花が一瞬にして汚染されていく。


 だが俺には毒等は効かないので問題はないのだが、ぬめぬめとした触感と悪臭が漂う粘液をぶち撒けられた俺としては内心穏やかではなかった。


 「汚いだろうが!」


 俺はダーティーフロッグへと攻撃を仕掛ける。既に虫の息となっていたが、怒りが頂点に達している俺には関係ない。何度もレイヴェルの穂先を突き刺していく。


 「終わりだ」


 そして最後に奴の眉間にとどめの一撃を繰り出す。


 「ゲゴオオオオォォォォォッ……!!」


 想像以上の粘り強かさを見せたダーティーフロッグだったが、遂に力尽きたのか断末魔の悲鳴を上げながら倒れた。


 これで汚染の原因であるダーティーフロッグは討伐出来た。あとは湖を浄化すれば依頼は完了だ。


 だがその前に、このベトベトになった装備を浄化して貰おう。万が一、彼女達に触れられたら一大事だからな。


 「すまないユフィア、俺に浄化魔法をかけてくれ」


 「畏まりました」


 俺はユフィアに頼んで俺に付着している毒を浄化して貰う。


 【毒蛇】のザギィの時といい、何だか猛毒を直接浴びせられることが多い気がするな。いくら異常無効の加護で毒が効かないとは言え、嫌なものは嫌だな。

 

 「終わりました。では次に湖の浄化を開始します」


 ユフィアが浄化魔法を発動すると、あれほど酷く汚染されていた湖が本来の美しさを取り戻していく。


 「湖の浄化、完了しました」


 「よし、一応汚染された森の一部も浄化しておこう。浄化が終わったら希少な薬草を採取してオルフィンへと帰還する」


 こうして【救世の集い】の初依頼は無事に完了するのだった。

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