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キミダヨリから。  作者: ヒダマリ
ハジマリのヒ
1/5

0.ワタシダヨリから

冴えないアラーム音で目を覚ました。

部屋にチチチ…という音が響く。

アラームを止めようとスマホを開くと、友達から何件か通知が来ていた。

内容を開くと、ある知らないサイトのリンクが「これどう?」というメッセージと共に送られてきた。

不審に思いつつも、リンクをタップし、サイトを開いてみると、スマホから大音量で音楽と共に音がして、驚いてスマホを投げてしまった。


『じゃっじゃじゃーん!驚いた?驚いたよね!』


賑やかなBGMと共にスマホから発せられる可愛らしい声。

スマホには、嬉しそうに笑って口から八重歯が見えている、赤い瞳の金髪のハーフツインの女の子がいた。


『このメッセージを開いたってことは、君は森桐(もりきり)高校に興味があるってことだね!』


もりきり…?なんだろう、その学校。初めて聞いた名前だ。


『目の前の君!高校は部活で汗を流して、友達と沢山遊んで、甘酸っぱい恋をしたいよね!』


『そんな君にピッタリな高校!それが森桐高校ってわけさ!』


ふふん、とドヤ顔で人差し指を突き出す女の子。

音量を下げようにもいくらボタンを押しても下がらない。まさかの電源も切れず内心パニック状態。


(買ったばかりなのに壊れた?変なサイトに飛んじゃったから?)


不安になりつつ、画面を見つめていた。金髪の女の子と目が合っている。


『冴えない中学校生活はもう終わり!みんなで高校デビューしようじゃないの!』


腰に両手を当てて得意げに宣言する女の子。


『見た目、持ち物は学科によって異なるよ!なんと部活は100種類!学科は全部で10!入学金完全援助!そして受験方法は面接だけ!?フフン、こんな高校見たことないでしょ〜?』


前髪をいじりながらふわふわとスマホの中を自由に飛び回る女の子。


『あ、けど〜見た目や持ち物は学科によって異なるから気をつけてね〜?』


ニヤニヤと笑いながらこちらをみる女の子。


『この学校に来て損など存在しない!創立4年目!森桐高校!』


満面の笑顔で手を広げる女の子。


『ワタシからのオタヨリだよ!是非みんな森桐高校に来てね!』


それを言い終わると、ぷつりと急に画面が真っ黒になった。


「あれ?」


画面をタップしてもつかない。やっぱり壊れたかと思ったが、電源ボタンを押したら電源がついた。あ、大丈夫そうだ。

このサイトを送ってきた友達にメッセージを送る。


『なにこれ?』


すると、すぐに返信が来る。


『このサイト面白いよね。チミナ、アンタどこの高校行くか迷ってたでしょ?アタシと一緒にここの高校行かない?』

『別にいいけど…なんか結構建てられたばかりの高校なんだね。』

『創立4年目らしい。創立4年目であらゆる部活を強豪校にしてるし、アンタの部活の先輩達もここ行ってるんじゃないの?』

『そういえば、先輩達がそんなことをいってたような。』

『じゃあ一緒にこの高校行こうよ』

『倍率高そう。』

『まぁね。毎年募集定員は500人もいるんだけど、応募する人は3000人にも及ぶらしい。』

『そうなると、取り柄もなにもない私が入れるかどうか。』

『吹奏楽部部長、管楽器ソロコンテスト全国大会優勝、全国ポスター、絵画コンクール金賞、読書感想文全国金賞とか他にも色々取ってるくせになにいってんの。』


といって怒ってるスタンプを送ってくるナズナ。


『それだけで十分じゃん。』


私はそのメッセージを既読無視して、スマホを閉じた。


(十分、ねぇ…)


記憶が蘇る。完璧、完璧、完璧と狂うほど言い聞かされたあの頃を。

起き上がってベッドから出る。外は大雨で7時なのにまだ薄暗い。

季節は梅雨なので、洗濯物は部屋に干されている。


「いたっ」


足元をよく見ず、乾燥機に小指をぶつけてしまった。


「〜〜〜〜っ」


声にならない声が出る。そっと小指を撫でた。

部屋で着替えて、ドアを開けて、リビングへ向かう。

リビングの机には、一通の手紙があった。


“世界一可愛い妹、チミナへ。冷蔵庫に朝ご飯つくって入れて置いておいたからチンして食べてね。大好き♡世界一可愛い妹を愛してる姉、チミカより。”


そんな文を読んで、思わずふっと息が漏れる。ただシスコンはウザいので紙を握る潰す。その紙を懐に入れると、私は冷蔵庫に向かった。


外では、カエルの鳴き声と雨の音が二人で楽しく演奏をしているような気がした。

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