↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/85

16 エアロマシン

「かっけぇええーっ!」


 先日、冒険者らしいコートを貰った時に同じような発言をしていたが、目の前の機械もあの時と同じくらい男心を擽るものなのでしょうがない。


「だろぉ! 俺達ガレージ・キングのエアロマシンは、見た目だけじゃなく馬力もあんだぜ!」


 エアロマシン。

 どうやらここが風の都と呼ばれているのは、このマシンに由来する所も多少あるらしい。

 この地域は崖下から常時溢れ出る大量の風魔力が特徴的で、それを取り込み空を縦横無尽に飛び回る機械……それがエアロマシンのようだ。

 ただ、エアロマシンは膨大な風魔力を常に取り込み続けなければ上手く操作出来ないらしく、せいぜいリーアス周辺迄しか使えないのがネックとの事。


 我が冒険が終わるその時まで乗れないのは少し残念だが、それを引いて尚このマシンへの搭乗には心踊らせていた。


「そうだな……あんた方、早速だが乗ってみるかい? まずはあっしの操縦で、この街をぐるりと一周、ってのは」

「いいんですか! 乗ろうよタクマ!」

「お、おう!」


 珍しく年相応に目を輝かせるユズリ。

 彼女は城内に配属される程の騎士なのだから、相当なエリートだと考えられる。そんな彼女のこのような姿を見せられては、俺も頷くしかない。

 どちらにしろ、何度も思うが俺も興味は津々なのだ。……出会いが少年のマシンに激突さえされてなければ、本当に何の躊躇いもなかっただろうが。


「おし、じゃあ早速ウチの自慢機に乗ってくれぃ! おい、バック。余計なことせず留守番してろよ?」

「わぁってるよ、親方」


 どうやら少年の名は前向きそうなのにバックと言うようだ。

 まぁ、この世界の本来の言語ではまた別の意味なのだろうが、多くの作品と同じでこの世界も“なんか日本語が通じる”現象が起きてる為確認は難しい。


 と、頭では脱線しつつ小型飛行機みたいな空色に輝く機体に乗り込む。


「おし、二人とも確りと留め具はつけたな? 行くぜぇ……!」


 どこかジェットコースターの天辺に居るような感覚がしたが……そんなことは無いと思いたい。

 遊園地の絶叫アトラクションが大の苦手である俺としては……。

 という思考を途切れさせるように、親方の低い声が雄叫びの様に発した。


「出撃ィイイッ!」


 いや、どこにだよ。というツッコミごとぶっ飛ばすように、猛加速したマシンは直線上に発射され滑走路を駆ける。

 滑走路を抜けた瞬間、がくっと機体が空気に沈むが、猛々しいエンジン音と共に立ち直した。


「飛んでるーっ!」


 殆ど機械音に掻き消されながらも、ユズリがそう叫んだ。

 俺はというと……。


「ひぎゃぁあああああああああっ!」


 落下してた時と同じくらい叫びを上げた。

 なんというか……内臓がGに持ってかれる感覚が昔何故か乗ってしまったジェットコースターを彷彿とさせる。

 しかも常に落下の恐怖がまとわりついてしまい、ユズリ程楽しめない。


 だが、折角ならばせめて景色くらい見ておこう

 そう思った俺は、風に煽られながらも何とか目を開いた。


「うわぁ……!」


 そこには、夕焼けに照らされた街や森が淡く輝く、形容し難い程の大パノラマが広がっていた。


「綺麗……」


 ぽつりと呟いたユズリの一言が何故かくっきりと聞こえ、俺は思った。

 この光景は……多くの意味で忘れられない思い出になるだろう、と。


「さぁ! こっから回って行くぜ、落っこちんなよ!」


 親方にちょっと怖い事を言われつつも、俺はその風を受け微笑んだ。

 風に乗るのも、悪くないかもな。

 そんなことを想いながら。

こんばんは。タクマと同じくジェットコースターが大の苦手な作者です。

この話を読んで風になりたいと思った方は、高評価とブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。