2話
「ここが先代の魔王城か!テンション上がるなぁ!」
「何言ってるんですか!今は魔王様の物ですよ。」
――しばらく探し歩いた後、カレロフはバエラディーン大陸東部であるエランドン州のウインリーズ城にシーザーを案内していた。
シーザー曰く「知ってたなら最初から教えてくれれば良かったのに!」とぼやいていた。
エランドン州は大陸東部の大部分であり、カレロフを筆頭にした悪魔族が支配している――つまり魔王一派最後の――州であった。
ちなみにバエラディーン大陸は五つの州に別れており、東部がエランドン、南部がスロウ、西部がドライレン、北部がランスコー、最後に中央がテドームである。ただ、東部と北部だけで全体の6割を占めており、最大の州はエランドンである。
「フフフ…我が領地はでかいな!」
「何笑ってるんですか。魔王様の仕事はいっぱいありますからね?」
「あー…カレロフ。雑務は任せる。」
「…魔王様の責任を取る発言はどこいったんですか?」
「めんどくさい…」
――そう!この魔王、極度のめんどくさがりなのである!
「わかりました…雑務はやりますとも!雑務は。」
「任せた!」
「そんな元気に言われても…それで、世界征服するためになんですけど、何するつもりなんですか?」
「めんどくさいなぁ(そうだなぁ、とりあえず仲間を集めるために領地を広げようか。)」
「本音と建前逆になってますよ」
「そうか?どっちも本音だからいいだろ?」
「はぁ…そうですか。では南部の人狼族を従えるのが1番楽ですよ。」
「そうか!1番楽ならそれにしよう!」
「…それでは悪魔族全体に招集をかけておきます。魔王様は前線で指揮をお願いします。」
「えー…」
「えーじゃありませんよ!」
そんなこんなで簡単に方針が決まってしまったが、内心このちょろい魔王大丈夫だろうかと思いつつ準備を始めるカレロフママ(悪魔)であった。
――一方その頃――
「魔王がこのエバラディーンに帰ってきたらしい。」
「なんだと?我々を放っておいた癖に、今更何をするつもりだ?」
「なんでもここを攻めてくるらしいぞ!」
「「なんだって!?」」
「降伏はないよな…」
「当たり前だ!今まで放置されてたんだぞ!」
「だが負けたらどうなるんだ…?」
「「うーむ…」」
――人狼達は夜更けになるまで大騒ぎしていた――
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