3話
――人狼達が焦っている頃、魔王城では――
「準備は出来たかーい?」
「まだ5分しか経ってませんが出来ると思いますか?」
「質問に質問で返すなと――」
「うるさい!黙って待ってなさい!」
「っ…はい…」
「よろしい。」
暇だからとシーザーが怒らせた悪魔は地震雷火事カレロフと言われるほど悪魔一怖い男であった。
ここは魔王の執務室であるはずだが、なぜか魔王が座るべき場所にその姿はなく、代わりに殺気立った黒髪のイケメンが座っているのだ。
そんなカレロフの前に正座している方が魔王というのは、他の者から見ると――二人きりなので他に悪魔はいないが――とても珍妙であった。
そんな二人だったが、カレロフは戦闘能力も高く、雑務に限ると誰よりも優秀であったのでワンオペで魔王軍の参謀をしていた。そんな彼の口癖は「私と同じぐらい優秀な者は増えないのですか?」だった。
「魔王様、準備が出来ましたよ。」
「そうか、では征くとするか。」
「今行くのですか?今は夜なので人狼の方が有利ですよ?」
「準備ができたのでは無いのか?」
「出来ましたけど今すぐ行くべきとは言ってないですよ」
「なんだ…待っただけ損じゃないか。今日は寝るとしよう。どうだ?一緒に寝るか?」
「お断りします。その体重で潰されては起き上がることも出来ませんので。それに私も魔王様も睡眠は不必要では?」
「人が太ってるみたいな言い方をするな!まぁ寝る必要は無いんだが、いかんせん暇でな…」
「面倒くさがりなのか暇が嫌なのかどちらかにしてくださいよ。」
「善処する!」
「さいですか…」
――魔王が寝たのを確認したカレロフは溜息をついた。
*
起き上がった魔王が見たものとは――
「ふぁ…あ?なんだこれ…」
――地面を埋め尽くす真っ黒な悪魔による五千の大軍だった。
「おいカレロフ!こんなに居るとは思わなかったぞ!自慢じゃないが私に人望がないのは知っているからな。」
そう言いながら魔王は執務室に駆け込んだ。
「私の人望なので心配しないでください。そんなことよりも――「そんなこと!?」――さっさと制圧するなりしてきてください。」
「私は無駄な殺生が嫌いだから時間がかかるかもな。」
「言い訳はいいです。魔王様はお強いので皆殺しにしてしまわないか心配です。あと、人狼は斥候兼遊撃部隊として優秀なのでちゃんと残しておいてくださいね。」
「殺すと後がめんどくさいから大丈夫だ!…とりあえず征ってくる。」
「とっとと行ってきてください。ですが、ご武運を。」
――そうして魔王軍五千あまりは南へ出撃したのだった
読んでいただきありがとうございます。
作者は逃げる癖があるので逃げるな書けと言われると書くめんどくさい生き物です。
清き感想をよろしくお願いします。




