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スワンの戦術

次期騎士団長フレイムのおかげでなんとか騎士団長殺害の疑いは晴れたが、俺はこの街に居づらくなっていた

「スワン!どこに行きますか!?」

「なんでそんな楽しそうなんだ?」

クリスはすごく楽しそうだった

「なんか冒険みたいで楽しいじゃないですか!早く行きましょう!」

「わかったよ!」

こいつはずっと家に居たから外の世界をほとんど知らないんだろうな

「スワン!あれはなんですか?」

クリスが指差す方には屋台があった

「あれは屋台だ、この街で買い物するなら屋台で買うのが普通だが買い物したこと無いのか?」

「無いです」

「じゃあ何か買うか」

「はい!見てきます!」

クリスは屋台に向かって走って行った

「お!いらっしゃい!」

屋台のおじさんに話かけられてクリスは黙ってしまった

「クリス、それがほしいのか?」

「はい...」

人と話すのに慣れてない感じだな

「すみません、この果物をください!」

「はいよ!って!あんた漆黒の騎士じゃねーか!聞いたぞまた村を救ったとか、よし!今日はサービスしてやる!好きなだけ持ってきな!」

「いや、これだけでいいですよ!村を守るのも俺達の仕事ですから」

「そうか、まあ、頑張れよ!」

「はい!ありがとうございます!」

俺は果物をクリスに渡した

「あの、ありがとうございます...」

「お前俺としゃべる時みたいにできないのか?」

「スワンとは普通にしゃべれるのになぜか他の人の前に行くと言葉が出なくなるんです...」

「まあ、家からほとんど出なかったならしょうがないな」

「スワンは有名なんですね、さっきのおじさんも知ってましたし」

「ランキング3位までは有名だな」

騎士団ランキング3位までに入った者は団長から直接大きな仕事をまかされることが多い、この街では英雄扱いをされることも度々ある

「だが、俺からしたらお前の方が有名だと思うけどな、この世界で終焉の音色を知らないやつはそうそういないぞ」

「だから私の命を狙う人も増えて来たんですね」

「俺はそこがどうも気がかりだ...なぜ世界を終わらせたいやつがいるんだ?」

よく考えてみればおかしい、なぜ今になってクリスを狙うやつが増えて来たんだ?そして、このタイミングの団長の殺害、この街では何かが動き始めているのか?

「おーい!スワン!」

遠くから俺を呼ぶ声がした、振り向くとそこにはフレイムがいた

「どうしたんだ?」

「聞いたぞ、お前らこの街から出て行くらしいな」

「ああ、そのつもりだが」

「もう疑いは晴れたんだぞ?他の街に行けばクリスの危険性も増すんじゃないか?」

「どっちにしろここに居ても危険だ、それに俺達の心配より自分の心配をしろよ、お前は騎士団長になったがお前をよく思ってない奴らもかなりいるようだ、気をつけろよ」

「お前より強いんだ、心配はいらないさ」

その通りだな、俺より強いやつを心配するなんて俺は余裕だな。

「もしかしたらこの街にはもう2度と戻って来れないかもしれないがクリス、お前はその覚悟はあるか?」

「はい!スワンと一緒なら大丈夫です!」

俺の評価もかなり変わったな

「じゃあ行くぞ!」

「はい!」

俺達は行き先も決めずにとりあえず街を出ることにした

「これからどこに行くんですか?」

「まだ決めていないが、とりあえずまずは安全な街に行きたい所ではあるな」

俺の実力がどこまで通用するかもまだわからないこの状況では妥当な判断だろう

「わかりました!では行きましょう!」

クリスは1人でどんどん行ってしまった

「おい!待て!」

次の瞬間クリスの頭上を矢が通り抜けて行った

「クリス!大丈夫か!?」

「はい、危ない所でした...」

「クリスはその辺に隠れてろ!」

「はい!」

俺の考えた戦術はクリスを隠れさせて俺が戦うという実にシンプルな物だ

「さて、出てこいよ!隠れても無駄だ!俺も遠距離攻撃は得意なんでな」

俺の呼ぶかけに答えるように弓を持った奴らが3人出てきた

「お前の武器は剣なのか?じゃあさっきのはハッタリだな!ははは!」

「俺の武器は剣だが、魔法を使えば遠距離攻撃も可能だろ?」

「つまりお前は魔導師なのに剣を使っているのか!?」

「いや、俺はただの騎士だ、どっちかと言えば剣士に入るかな」

「バカな奴だな!騎士が魔法を使えるわけないだろ!」

「やってみないとわからないことだろ?それとも俺と戦うのが恐いか?」

「まあ、いいだろう、お前の魔法を見せてみろよ!」

そう言って3人はそれぞれの配置を決めていたのか特定の場所に移動した

「じゃあ行くぞ!ダークネスレイン!」

頭上から黒い槍のような物が降ってきて3人に突き刺さった

「な、なんだこれ!?うわぁー!!」

「だから言っただろ?遠距離攻撃も得意だって、今度俺が遠距離攻撃のテクニックってやつを教えてやるよ!あ、すまん、死んでるのか」

はぁ、こんな技使ってるから漆黒の騎士なんて呼ばれるんだな...

「スワンはすごく強いんですね!」

「おい、俺が行くまで出てくるなよ!」

「あ、すみません...」

はぁ、こいつはやっぱり終焉の音色としての意識が足りなすぎるな!

「クリス、今から俺の言うことをよく聞いてこれからは俺の言ったことを守れよ?」

「わかりました」

「戦闘に入ったら俺の指示した以外の行動は取るな、1人で行動をしない、俺のプリンは食わない、いいな?」

「あの、最後のはどう考えても関係ないですよね?」

「とにかくちゃんと俺の言うことは聞けよ!」

「はいはい、わかりました」

こいつ本当にわかっているのか?

「なぁ、クリスの両親のことを聞いてもいいか?」

「はい」

「お前の両親はどんな人だったんだ?」

「お父さんはいつも自分のことより人のことを考えるとてもいい人でした、お母さんは私のことをすごく大事にしてくれたけど怒るとものすごく恐い人でした、思い出すだけで震えます」

「いい両親だったんだな」

「はい!スワンの両親はどんな人だったんですか?」

「幼い頃であまり記憶には無いが父親はいつも俺を強い男にしようと鍛えさせて来る厄介なやつだったよ」

「なんですかそれ、お母さんはどうだったんですか?」

「母親とはほとんど会話をしたことがないんだ、最期に「お前は強くなる」と言われたことだけが記憶に残っているな」

「少し変わった両親だったんですね」

「おかげで騎士になったばかりの時はよくバカにされたよ」

それにしても今思うと父親は本当に死んだのかわからない、あの時母親を殺したやつが逃げて行くとき見覚えのある剣が見えた、そして父親も死んだとは聞かされたが死体を見てはいない

「まあ、私達は似た者同士ってことですかね?両親を亡くして、ってあれ!?スワン!なぜ泣いてるんですか!?」

俺は無意識に泣いていた

「すまん、過去のことを思い出したらなぜか涙が...」

「スワン、今は泣いてください、私は見なかったことにします」

「クリス...」

まさか子供に励まされる時が来るとはな、ははは...

「子供、しかも女の子の前で泣くなんて、そんな風に育てた覚えは無いぞ?スワンブロードよ」

突如頭上から声がした

「誰ですか!」

俺には見覚えがある男だった

「親父!?なぜここにいるんだ!死んだはずだろ!」

「おいおい、父親との感動の再開だと言うのにひどいことを言うじゃないか、どうせお前のことだ、俺が母親を殺したとでも考えていたんだろ?」

「あの日母親の近くを走って逃げて行くやつが持っていた剣があんたの物と似ていたと思っただけだ」

「良いことを教えてやるよ、まず母親の件についてだがもちろん犯人は俺だ、そしてもう1つ騎士団長の件だが」

「やはりお前だったのか!」

「俺はお前のために殺してあげたんだぞ?あんなお前のことをほっとくようなくそ女は死んで当然だ!」

こいつ本気で言っているのか?

「そして騎士団長だが、殺したのは俺だ!ははは!」

「なぜそんなことを!騎士団長にはあんたも世話になっていただろ!」

「前々からあいつは邪魔だと思ってたんだよ」

「ふざけるな!お前それでも騎士か!」

「まあ、そんなことはどうでもいい、もうお前に用はない!用があるのはそこの終焉の音色だ、スワン、そいつを渡せ」

こいつクリスを狙っていたのか

「はぁ、お前みたいな父親を持ったことを恨みたいぐらいだ、クリスを渡すつもりは無い!騎士ならほしい物は剣で奪え!」

「生意気なガキだな!だがお前は私に勝てるのか?」

「あんたが消えてからどれだけ経ってると思ってるんだ?俺はあんたより強くなった!」

「そうかよ、じゃあ来てみろ」

親父の実力は騎士団長レベルだ、今の俺に勝てるのか?いや、勝つしかない!俺はクリスを守ることを誓ったんだ!

「クリス!下がってろ!」

「はい!スワン!気をつけてください!」

「大丈夫だ!すぐに終わらせる!」

「あらあら、女の子の前だからって格好つけちゃって!」

「俺が騎士団を代表してお前に罪を償わせてやる!」

「スワン、言っとくけど俺はかなり強いぞ?お前のその力でどこまでやれるかな?」

「そんなことはわかってるさ、だがあんたは俺を怒らせた、これだけであんたをためらうこと無く殺せる」

「じゃあやってみろ!ガキのくせに大人に歯向かってんじゃねーぞ!」

心に乱れが生じる時がチャンス、これは騎士団長、あなたが最初に教えてくれたことでしたね。

「ブラックスラッシュ!」

俺の一撃は親父の片腕を吹き飛ばした

「ぐあっ!やるじゃねぇか!くそガキが!死ね死ね死ね!」

あんたは冷静じゃない、やみくもに剣を振ったって当たることは無い

「くそ!なぜ当たらん!お前ごときに俺の剣が見えるはずがないだろ!」

「あんたの動きなど見なくてもわかる」

すると親父は動きを止めた

「スワン、俺が間違っていたよ!こんな俺でも許してくれ!」

今更許せるわけがない...

「ふざけるな!お前がやったことは到底許されることでは無い!」

「スワン、聞いてくれ、全てはお前のためだったんだぞ?騎士団長はお前の急成長する姿を見ていつか自分が抜かされると思いわざとお前のランキングが上がらないようにしていた!そんなやつ死んだほうがいい?違うか?」

「あんたは騎士団長を悪者にして自分が正しいと思いたいだけだろ?そうしないと今まで自分がやって来たことは何なのかわからなくなる、実際お前自信も今わからなくなっているんだろ!だから今日終焉の音色を響かせてすべてを終わらせようと考えていた」

「ははは!やはり私の息子はすごいな!すべて正解だ!結局すべて見透かされてたってわけか...私の負けだ」

「いや、正直あんたに勝てるとは思っていなかった」

「そうか、スワン、最後に1つだけ頼んでもいいか?」

「なんだ?」

「私を殺してくれ」

まあ、そうなるよな...

「わかった」

俺は父親を殺した

「スワン...」

「おい、勝手に出てくるなよ...」

「すみません...」

クリスは俺を気遣ってかその後は何もしゃべらなかった

「すまんな親子喧嘩に巻き込んじまって」

「いえ、気にしないでください」

俺は少し後悔していた、あそこで親父を殺さずに済む方法があったんじゃないかと

「あの、スワンはもしかしてまた自分を責めていますか?」

「いや、これは親父の自業自得だ」

「そうですか、なら良かったです!」

そう言ってクリスは俺に抱きついてきた

「おい!何をしてんだ!」

「スワンが落ち込んでいるので励ましているんです!」

「落ち込んでなどいない!早く離れろ!」

「落ち込んでます!だから放しません!」

親父、俺はあんたのことを本当は大好きだったんだ、こんな再開の仕方じゃ無ければもっと話したいことはたくさんあったんだ、そして母さんも聞いてくれ、俺はランキング2位になったぜ!

「そういえばクリス!お前俺との約束破りやがったな!また勝手に出て来やがって!」

「そんな約束知りません~」

「なんだと!お前そこに1回座れ!」

「はーい」

俺とクリスの旅はまだ始まったばかりだ

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