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マスコットを作ろう(2)

「あああああああ!!!」


ここ数日恒例となったエリスの叫び声が、今日もノワールに響き渡った。


「エリス、たまには休んだ方がいいんじゃないか?」

「ふふ、ふふふ……いえ、大丈夫です、まだまだこれから……」


魔王城で書類仕事に追われていた時のような虚ろな目をしながら、エリスはうわ言のように呟く。


「あわわ……ボクが無茶言ったから……」


そんなエリスの様子を見て、エルメナまで顔を青くしていた。


というのも、エリスはエルメナがマスコットを作ろうと提案して以降、ずっと人工精霊の製作に挑み続けていたのだ。

しかも、何度作ろうともうまくいかず、失敗に失敗を積み重ねていた。


「いえ、まだ私はやれるはずです。大丈夫、私はできる子……!」


自己暗示を始めたエリスをみて、ゾルはいよいよだめだなコレはとため息をつく。


「ほら、店は俺とエルメナさんでどうにかするから一旦休め」


ゾルにそう促され、そうですねとエリスが立ち上がった時だった。

ふらっ、とエリスの身体が傾き、地面へと倒れこむ。


「ウィンドホールド」


だが地面に叩きつけられる直前に、ゾルの魔法に受け止められた。


「ほら言わんこっちゃない。……というか、エリスお前魔力切れ起こしてるのか?」

「あはは……。お恥ずかしながら。魔力切れなんていつぶりでしょうかね」


エリスは青い顔をしながら、ゆっくりと身を起こす。


「これはダメですね。本格的に迷惑をかける前に少し休むとします」


少し回復するのをまって、ふらふらとエリスが居住スペースに引き上げていく。


「エリスさん、大丈夫でしょうか」


その様子を見送ったエルメナが不安そうに呟く。


「あぁ、おそらく魔力切れと疲労が原因だろうからな。少し休めば回復するだろ」


膨大な魔力をもつエリスが魔力切れなんて起こすのは相当珍しいが、今やっていることを考えれば不思議な事ではない。


「人工精霊の製作には、莫大な魔力を消費すると聞いた事がある。それを連日ろくに休みもせずに作って傷んだ。無理もないさ」


それを聞いて、ほっとエルメナは胸をなでおろす。


「ずいぶん無茶な提案をしちゃったみたいですねボク」


すこししょんぼりしているエルメナを、ゾルは気にするなと慰めた。


「魔道具を作るのは趣味のようなものだからな、あれでエリスは楽しんでやってるんだろう。それに、エルメナさんの頼み事なら大体は喜んでやるだろうし」


そんな事をいうゾルに、エルメナはあははと苦笑する。


「師匠は、昔から魔道具を作るのが好きだったんですか?」


エルメナの質問に、ゾルはうーんと少し考える。


「どうだろうな。俺が初めてあいつと会った時は、剣ばっかり振り回してるお転婆娘という印象しかなかったからな」


その言葉に、エルメナは驚きの声をあげた。


「あの師匠が!? なんだか全然想像つかないです」


とはいえ、エルメナもエリスが戦う姿は自分の目で見ているため、きっと本当の事なのだろうと納得する。


「本人曰く、戦うのは飽きたんだそうだ。それで冒険者をやめ、この店を始めたんだよ」


へー、とエルメナは興味深そうにゾルの話をきく。


「ゾルさんは、昔は何をやっていたんですか?」

「俺か? 俺もエリスと同じように冒険者をしてたよ。俺もちょうど引退しようと思っててな、ちょうどよかったからエリスについてきたのさ」


そんな事があったんですね、とゾルの昔話を聞いてエルメナが口にする。


「そういえば、エルメナさんにはあまり俺たちの話をした事がなかったな。どれ、エリスが寝てる今がチャンスだ、知りたい事があれば教えてあげよう」

「本当ですか!? それじゃあいくつか聞きたいんですけど……」


目を輝かせて食いついてきたエルメナに、エリスがその場にいないのをいい事にゾルは有る事無い事吹き込んでいくのだった。

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