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マスコットを作ろう(1)

「なぁエリス、少し相談があるんだが」


魔物関連のごたごたをユリアとヴァンにぶんなげ、再びいつも通りの穏やかな日常に戻ったエリス達。

いつも通り、たまにくるお客さんを相手にする以外はぼーっとしている生活を送っていると、改まってゾルがそんな事を言ってきた。


「珍しいですね、ゾルさんが私に相談なんて。どうしました?」

「いやな、うちは一応看板としては魔道具喫茶店という事になっているだろう?」


 ゾルの言葉にそうですね、とエリスは頷く。


「だが実際は、魔道具店と喫茶店が同じ店で経営されてるだけで、中身は別々だ」

「まぁ確かに。とはいえそれは仕方なくないですか?」


 エリスの言葉に、あぁとゾルは頷く。


「とはいえせっかく魔道具喫茶店と銘打っているのだから、なにかこう、もっとそれらしい雰囲気というか、新規の客にも魔道具店と喫茶店両方をアピールできる要素がないかと考えていてな」

「うーん……。店内にそこら中魔道具がある喫茶店というのもなかなか珍しいと思いますが、それだけだと推しが弱いんですかね」


 一応、喫茶店には魔道具である食器洗浄機が導入されてるし、魔道具っぽさはあるとは思うんですけどねぇ、とエリスが続ける。


「あの、ボクちょっと提案があるんですけど」


 そんな二人の話を聞きていたエルメナが、遠慮がちに声をかけてきた。


「お、ぜひ教えてください。ずっとお店にいる私とゾルさんは、なかなか新しいアイディアというのが生まれないですからね」


 それなら、とエルメナが口を開く。


「マスコットキャラを作るのはどうでしょう? 魔道具と喫茶店、両方の要素を含んだ」


 マスコット? と首をかしげるエリスに、はい、といってエルメナが自分の構想を詳しく説明し始めた。

 

「この間、聖女様の依頼で人工精霊を使ったじゃないですか。確か、人工精霊には自我を持たせる事も出来るんですよね?」


 エルメナの質問に、エリスはこくりと頷く。


「そこで思いついたんですけど、ウェイトレスの格好をさせたぷちエリスさん人形を作るんです。それで、その人形を人工精霊の依り代にして、喫茶店の動くマスコットキャラにする! なんてのはどうでしょう」


 エルメナの提案に、ゾルはほう、と感心する。


「いいんじゃないか。喫茶店のイメージキャラクターにもなるし、魔道具っぽさも全面的に押し出されていて」


 賛成意見を口にするゾルとは対照的に、エリスは難しい顔をしてうなる。


「うーん、確かに面白そうではありますね。とはいえ簡単にはできないと思います。そこまで高性能な人工精霊はさすがに手元にないので、一から作る事になるでしょうからね」


 エリスの答えに、難しいですか、とエルメナは肩を落とす。


「難しいです、が! 私はこれでも結構な腕の魔道具開発者です。その誇りにかけて、挑戦するだけ挑戦してみましょうか」


 エリスのその言葉をきいて、エルメナはぱぁっと目を輝かせる。


「あ、でも依り代に人形を使うのはいいと思いますけど、何も私をモデルにしなくてもいいのでは」


 だがエルメナはいつになく真面目な顔をして、首を横にふった。


「だめです、そこは発案者として譲れません」

「そ、そうですか……。わかりました」


 そんなエルメナの様子を見て、ゾルはぼそりと呟く。


「エルメナさん、まさかお店のためという口実で、動くエリス人形が欲しいだけとかじゃないよな?」

「お店のためです」


 有無を言わせないエルメナの口調に、ゾルはそれ以上何かをいうのを諦めた。

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