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三人のその後


 エリスがギルドでヴァンやユリアと話をしていた頃。

ノワールでは、エルメナも休暇から復帰したということで、あの時魔物と戦っていた三人が集まっていた。


「いやぁ、それにしてもみんな無事で本当によかったよね……」


 ゾルが入れてくれた紅茶を飲みながら、リーンはしみじみと呟く。

そんな彼女に同意するように、二人もこくこくと頷いた。


「正直、足をやられた時は、ボク死んだな……って思いました」


 エルメナはあの時のことを思い出し、少し青い顔でうつむく。


「まぁ、なにはともあれ三人とも無事でよかったな」

「エリスさんのおかげですね。あの人が来てくれなかったら、今頃ここにはいないかもしれません」

「あの時の師匠は本当にかっこよかったです。まさにピンチの時に現れるヒーローって感じで」


 エルメナが目を輝かせ、エリスが助けに入った時のことを熱がこもった声で話す。


「というか、そもそもエリスさんはなんであそこにいたんだろうね?」


 リーンが何気なくそんなことを呟くと、ゾルは少し困ったような顔をした。


「あぁ私もそれは気になる。ゾルさん、何か知ってませんか?」

「……野生の勘だとおもうぞ」


 適当な事をのたまうゾルを、三人はなにも言わずじーっと見つめる。


「わかった、教えるからそんな目で見るな。魔道具を使ったんだよ」


 そういってゾルは、エリスが魔王城から持ってきた魔道具を保管している場所から、全知の水晶を取り出した。


「それって、私が杖を買った時につかった水晶ですか?」


 そうだといって三人に水晶を見せる。

もっとも、エリスがいなければ起動もできないのだが。


「これでエルメナさんが危ない目にあってないか見てたんだよ。三人があのヤバそうなのに襲われてるときのエリスの慌てっぷりはそりゃあ凄かったぞ」

「え、どんな風だったんです?」


 リーンが興味深げにゾルに尋ねる。


「どうしましょうどうしましょうと言いながらぐるぐる回り、棚の角に足をぶつけて、蹲ってるところに上から商品が頭の上に落っこちてきてたな。あれは見事な流れだった」


 その様子を想像した三人は、エリスならありえそうだと軽く吹き出す。


「それにしても、すごい魔道具ですよねそれ。離れたところの物を見れる魔道具なんて聞いた事ないですよ」


 ミラの言葉に、ゾーンはギクリと体を硬直させた。

ここ最近で、一番頭を使い、脳みそをフル回転させてどう言い逃れるかを考える。


「……その辺の魔道具はエリスが持ってきた物だからな、詳しく知りたいならエリスに聞いてみてくれ」


 結果、ゾルの脳はエリスに全てぶん投げるという結論をはじき出した。

一応三人とも納得したようで、あとでエリスに聞いてみようという話になっていた。

ゾルは心の中で、エリスの健闘を祈る。


「エリスさんといえば、あの人も謎が多いですよね。あんな強力な魔法使えるなんて、元々凄腕の冒険者だったんでしょうか」

「あぁ、俺はそう聞いてる。冒険者時代の繋がりでギルド長とも交流があるらしいぞ」

「それで直接ギルド長に話をもっていけたんですね、なるほど」


 こちらは恐らく聞かれるだろうと、エリスと事前に少し話を合わせておいたため、ゾルはすぐに答えを返す。


「それならあの強さも納得。いやーすごかったよね、本気のエリスさん、正直私怖かったもん」

「ある意味あの魔物より迫力あったよね」


 リーンとミラが、キレたエリスの姿を思い出して、ぶるりと体を震わせた。


「あんなに恐ろしい魔物を一方的に倒しちゃったし、たしかにちょっと怖かったけど、やっぱりかっこよかったです師匠!」

「あはは、もうエルメナちゃんは完全にエリスさんの虜だね」


 ちょっと危ない目をしているエルメナをみて、リーンはつい苦笑する。


「俺としては、エルメナさんが冒険にトラウマを負ってないかが気になってたんだが、その様子だと大丈夫そうかな?」

「……正直、怖くなかったかといえば嘘になります。やっぱり、冒険者は厳しいんだなっていうのは実感しました」


 ゾルの質問に、エルメナはちょっと俯いてこたえた。

その様子に、リーンとミラも少し寂しそうな顔をする。


「でも、やっぱり憧れていた冒険はすごく刺激的でした。魔道具師としても、もっと私に実力があればとすこし後悔もあります」


 そういって、エルメナはぐっと顔をあげると、力強い眼差しでリーン達をみた。


「だから、冒険にはまた行ってみたいと思ってます。……その時は、お二人とまた一緒に、なんて」


 そこまでいうと、自分の言った言葉が恥ずかしかったのか、耳まで赤くしてまた俯いてしまう。

そんなエルメナに、リーンは後ろからがばっと抱きついた。


「もう! エルメナちゃんは可愛いなぁ! もちろん私たちは大歓迎だよ!」

「エリスさんもそうだけど、エルメナちゃんがいなかったら私たちだってただじゃすまなかったもん。もし一緒に冒険してくれるなら、これ以上心強い仲間はいないと思う」


 二人とも窮地をエルメナの機転に救われているため、彼女の実力は十分認めている。

そんなエルメナが二人との冒険をまた望んでくれることは、とても嬉しいことだった。


「色々大変だったとは思うが、それでも今回のエルメナさんの冒険は一応成功だったのかね」


 ゾルの言葉に、エルメナはいまだ顔を赤くしつつも、はい! と満面の笑みで微笑んだ。


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