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魔王と聖女の共同戦線(2)

「さぁエルメナさん、お仕事ですよお仕事!」


 ヴァンたちとの会合を終えたエリスは、なぜか嬉しそうに帰ってきた。


「え、えっと、こないだの事をギルド長のところへ報告に行ってたんですよね?」


 いまいち事情が飲み込めていない様子のエルメナに、エリスはそうですと答える。


「実は、ユリアさんに頼まれごとをしてしまいまして! 私、実は前々から彼女にちょっと嫌われてるのではないかと思ってたんですが、まさか頼ってくれるとは! これは張り切らないわけにはいきませんよ!」

「いや、あいつはエリスのこと嫌いだと思うぞ、多分」


 ユリアの愚痴をしょっちゅう聞かされているゾルはぼそっとエリスに呟くが、彼女はテンションがあがっているからか気づいていないようだ。


「あの、ユリアって、フォルナ教のユリア様ですか?」


 いまだに何がなんだか理解していないエルメナが、エリスへ尋ねる。


「そうですよ、聖女様です。彼女に魔道具を作って欲しいと頼まれまして」

「聖女様から依頼!? ここの魔道具店ってそんなすごい人から依頼されるような所だったんですか!?」


 エリスやゾルにしてみればユリアはただの友人なので依頼を受けるのは当然だが、エルメナにしてみれば王国に住む人なら誰でもしってる有名人が依頼に来たなど大事件だ。


「魔道具店自体は大した事ないさ。相変わらずそんなに客もこないしな。ユリアは俺やエリスと個人的に交流があるんだよ」


 ゾルの言葉に、エルメナは目を輝かせてエリスを見た。


「師匠って、すごい魔道具も作れるし、魔法も強いし、すごい人たちと知り合いだし、本当に格好いいですよね……」


 エルメナは羨望の眼差しでエリスを見つめる。

エリスに救われたあの一件以降、エルメナのエリスへの好感度は急上昇していた。


「エルメナさん、あまり期待しすぎるとそのうちとても失望する事になるからほどほどにな」


 そんなエルメナを過去の自分自身と重ね、ゾルはそう忠告する。

かつてはこの人こそ自分が仕えるに相応しい、王となるべき器だなんて思ったものだが、どこをどうまちがったのか今ではこの有様だ。

 まぁこれはこれで楽しいから後悔はしていないのだが。


「というか、師匠達と聖女様はどういった関係なのですか?」


 エルメナの質問にエリスはふむ、と考え込む。

まさか魔王とそれを討伐しにきた勇者パーティとは言えない。


「お互いの望む未来をかけて、拳を交えた中、でしょうか」

「本当に物は言いようだな」


 なんだかわからないけど深そうな仲に、エルメナはふおぉ! とか言って目を輝かせている。

ゾルはだんだん賢かったエルメナがエリスに汚染されてきているような気がして、本当にここに置いておいていいのか少し不安になってきた。


「それで、ユリアからは何を頼まれたんだ?」

「あぁ、なんでも、音を伝える事をできる魔道具が欲しいそうです。調査に使うんだそうで」


 それを聞いて、ゾルは少し眉をしかめる。


「そんなものが必要になるという事は、やっぱり黒だったのか」

「えぇ、ユリアさんから裏付けもとれました。間違いないでしょう」


 そんな二人の会話に、エルメナは頭の上にはてなマークを浮かばせながら首を傾げていた。


「さて、そういうわけなのでエルメナさん! 復帰したてで申し訳ありませんが、また魔道具を作るお手伝いをしてもらっていいですか?」


 エリスがエルメナにそう頼み込むと、彼女ははい! と元気良く頷く。


「もう完全復活しましたしね! それに、こないだの件でボクは自分の力不足を痛感しました。もうみんなに迷惑をかけないように、頑張るって決めたんです!」


 そう決意を口にするエルメナを、エリスはニコニコしながら撫でる。


「その意気ですよエルメナさん! さぁそれでは頑張りましょうか!」


そう言って二人は、再び魔道具の製作場へとこもり始めた。

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