✒ 誠意ある善意 2
──*──*──*── キャンプ地・外
ディアス
「 此処を離れる気が無いなら逝け! 」
ディアスは《 キャンプ地 》から離れる気配が全く無い冒険者を容赦無く蹴り飛ばす。
ディアスに尻を蹴られた冒険者の1人は、《 キャンプ地 》に掛けられている防犯魔法の犠牲者となった。
見えない壁にぶつかった冒険者の姿は忽然と消えてしまう。
その光景を目の当たりにした冒険者達は、次々に見えない壁にぶつかって行く。
ディアス,アストンに尻を蹴られているのだ。
冒険者達は次々にランダム転移の犠牲となる。
最後の1人の姿が消える。
ディアス
「 片付いたな 」
アストン
「 人間にも容赦無いよな、お前って── 」
ディアス
「 斬り殺しても良かったんだがな。
手間を省けた 」
アストン
「 セキチェの前で、殺る訳にはいかないもんな 」
ディアス
「 怪物は血を流さないからな。
セキチェには、同族が斬られる光景は刺激が強いだろう 」
アストン
「 優しいねぇ~~。
──と、何だ? 」
アストンの身体にトン──と軽く何かがぶつかる。
ディアス
「 子供だな 」
アストン
「 さっきの奴等の仲間──って訳じゃなさそうだな 」
ディアス
「 冒険者が奴隷を連れ歩くのは珍しくないが、子供を連れ歩いていたとはな 」
アストン
「 おっ──!
確かにな。
お粗末だが、奴隷紋が刻まれてるな。
人間は奴隷紋もマトモに使えない低能なんだな~~ 」
ディアス
「 劣化版の奴隷紋か。
人間の程度が知れるな 」
アストン
「 確実に衰退してるな。
どれどれ、奴隷紋を解除してやろう 」
ディアス
「 アストン、奴隷紋を強制解除すると術師の寿命が削られる事は知ってるのか 」
アストン
「 別に構わないだろ。
人間の生死なんて俺達には関係無い話さ。
大体、顔も名前も知らない術師の寿命が減ったって、俺達が困る訳じゃないしな 」
ディアス
「 解除するならお前が面倒を見ろ 」
アストン
「 冷たい奴だなぁ~~。
精霊魔法を使えるエルフ族だぞ。
セキチェにも同性の友達は必要だろ★ 」
ディアス
「 ………………セキチェに危害を加えないよう躾ろ。
危害を加えた場合は容赦無く斬り捨てるからな 」
アストン
「 それは俺も同じさ。
キノコンにセキチェの隷属にしてもらえば良いんじゃないか。
それなら危害を加えるなんて事は出来ないだろ 」
ディアス
「 お前、隷属の役目を知ってて言ってるのか? 」
アストン
「 同性だから関係無いだろ 」
ディアス
「 同性でも隷属は駄目だ 」
アストン
「 まぁ~~独占欲でも出ちゃったのかねぇ~~ 」
ディアス
「 黙れ!
解除するなら、さっさと済ませろ 」
アストン
「 はいはいっと──。
πσιυτёйлпёчы──ほらよ、解除が出来たぞ 」
エルフ族の少女の首に刻まれていた奴隷紋がアストンの手により、甚も簡単に解除される。
奴隷紋が消えた事で、エルフ族の少女は話せるようになった。
封じられていた声を出せるようになり、エルフ族の少女は大粒の涙を流しながらワンワンと泣き出した。
アストン
「 ははは。
エルフ族は綺麗な声してるなぁ。
この声が有るから精霊魔法を使えるんだよな 」
ディアス
「 《 キャンプ地 》に入るぞ 」
アストン
「 ほら、手を繋ぐぞ。
今日から俺とディアスが、お前の兄様だからな 」
ディアス
「 勝手に妹にするな 」
アストン
「 良いじゃないか。
エルフが居れば、≪ エルフの里 ≫に入れるだろ★ 」
ディアス
「 ≪ エルフの里 ≫に行くつもりか? 」
アストン
「 良いだろ。
セキチェだって≪ エルフの里 ≫に興味あるかも知れないだろ 」
ディアス
「 どうなる事やらだな…… 」
「 やれやれ…… 」と溜め息を吐きながらディアスは《 キャンプ地 》の中へ入る。
アストンもエルフ族の少女の手を引き、《 キャンプ地 》の中へ入った。
──*──*──*── 安全地帯
セキチェはテントの近くでキノコンが用意したサンドイッチを食べていた。
キノコン
「 遅いエリ。
ザコ相手に手間取ったエリ? 」
アストン
「 軟弱な人間相手に苦戦する訳ないだろ。
ディアスと喋ってたんだ 」
キノコン
「 そう言う事にしといてやるエリ 」
ディアス
「 キノコン、エルフ族の娘を保護した 」
キノコン
「 ディアス、おめぇ…御主人様の夫で有りながらエルフの小娘に浮気したエリ? 」
ディアス
「 誰がするか!
冒険者が連れ回していた奴隷だ。
アストンが奴隷紋を強制解除した 」
アストン
「 キノコン、メンゴな★
エルフが居れば≪ エルフの里 ≫に行けるじゃんか。
セキチェの見聞を広げる為に良いかな~~って思ってさ★ 」
キノコン
「 しょうがねぇ奴エリ。
アストン、おめぇの妻って事で、この件は勘弁してやるエリ 」
アストン
「 え゛っ!?
妻!?
妻は一寸な~~。
異母妹じゃ駄目かな? 」
キノコン
「 駄目に決まってるエリ。
面倒な設定は無しエリ。
おめぇが責任持って、エルフの小娘を躾るエリ 」
アストン
「 マジかよ…… 」
キノコン
「 実弟が結婚してるのに、実兄が独身なんて笑い話エリ。
話のネタにされ兼ねないエリ 」
アストン
「 分かったよ。
俺、ロリコンじゃないんだけどなぁ…… 」
キノコン
「 エルフ族は長命種エリ。
短命種の人間を妻にするより都合が良いエリ。
パーティにエルフ族が居れば、箔が付くエリ 」
アストン
「 分かりましたよ。
この子は今から俺の妻って事ね 」
ディアス
「 良かったな 」
アストン
「 お前、面白がってるだろ! 」
キノコン
「 エルフの小娘、おめぇの名前を教えるエリ 」
エルフの少女
「 エリナンティゼ……です 」
キノコン
「 なら、おめぇは今から “ リンゼ ” と名乗るエリ。
おめぇは今からアストンと夫婦になるエリ 」
エリナンティゼ
「 ………………この人と夫婦?? 」
キノコン
「 そうエリ。
アストンの妻エリ。
確り躾てもらうエリ 」
エリナンティゼ
「 ………………あの人は駄目なのですか? 」
キノコン
「 ディアスは既婚者エリ。
キノコンの御主人様が妻エリ。
ディアスは御主人様の夫エリ。
誘惑したら容赦無くブチ殺して殺るから覚悟するエリ 」
アストン
「 このパーティで1番偉いのは、キノコンの御主人様だからな。
セキチェに悪意,敵意,殺意を向けたらアウト。
危害を加えてもアウトだ。
肝に命じて生きろよ 」
エリナンティゼ
「 ……………………はい… 」
エリナンティゼはセキチェと話しているディアスの後ろ姿を見詰めながら返事をする。
アストン
「 “ 俺にしとけ ” とは言わないけどな、ディアスは止めとけ。
あれは両想いだからな 」
エリナンティゼ
「 ………………はい…… 」
エリナンティゼは両目に涙を溜めながら声を絞り出す。
一目惚れした相手には既に妻が居て、その妻はパーティで1番偉いと言う。
あんな子供が何故が偉いのか──。
容姿端麗で美麗な自分よりも、パッとしないあんな子供が良いなんて──、屈辱的でしかない。
エリナンティゼの心に小さな黒い痼が生まれた瞬間だった。
エリナンティゼ
「 アストン様、今から宜しく御願い致します……。
私に色々と御教示してください…… 」
アストン
「 畏まり過ぎだぞ。
もっと気楽にな★ 」
エリナンティゼ
「 はい……。
( 私は負けない!
必ずディアス様を私に振り向かせて見せるんだから!
私の方がディアス様の妻に相応しいって事を思い知らせてあげるんだから!! )」
アストン
「( ありりゃ~~。
リンゼはディアスにゾッコンか。
セキチェからディアスを略奪する気満々だなぁ~~。
こりゃ退屈しなくて済みそうだ♥️ )」
アストンはセキチェ,ディアス,エリナンティゼを交互に見ながら1人でニヤニヤするのだった。
◎ 訂正しました。
強制解除したんだ 」 ー→ 強制解除した 」




