✒ 誠意ある善意 1
ディアス
「 セキチェ、《 キャンプ地 》に着いたらキノコンと共に《 キャンプ地 》の中へ入るんだ。
《 キャンプ地 》から出ないようにな 」
潟庄智惠
「 う…うん!
分かりました 」
キノコン
「 御主人様の安全はキノコンが衛りますエリ。
御主人様には指1本、触れさせませんエリ! 」
潟庄智惠
「 キノコン(////)
頼もしくてカッコいいよ! 」
──*──*──*── キャンプ地
アストン
「 コラコラぁ~~お前等、他人様の《 キャンプ地 》の前で何をしてるんだ? 」
アストンさんは敵意を感じさせない陽気な声で冒険者達へ話し掛ける。
アストンさんが冒険者達の気を引いている内に、キノコンは私を《 キャンプ地 》へ誘導してくれる。
ディアスさんは私とキノコンが《 キャンプ地 》へ入ったのを確認すると冒険者達へ近付いて行く。
ディアス
「 散れ、ザコ共。
目障りだ 」
冒険者
「 な゛っ!?
何だ、テメェはぁ!! 」
ディアス
「 『 何だ 』は此方の台詞だ。
切り捨てられたくなければ散れ 」
アストン
「 おい、ディアス!
態々喧嘩を売るような事を言うなって! 」
ディアス
「 弱者に喧嘩等売るか。
今なら “ 見逃してやる ” と言ってるんだが? 」
アストン
「 喧嘩を売ってるようにしか聞こえないんだよ!
──あぁと、実弟が御免なぁ~~。
コイツ、剣士だから血の気が多くてさぁ~~。
それでぇ~~、俺達の《 キャンプ地 》に何の用かな? 」
冒険者
「 それは── 」
ディアス
「 大方、誰も居ないのを見て、悪さでもしようとしたのだろう 」
アストン
「 ディアス!
事情を聞きもしないで決め付けるなよ 」
ディアス
「 聞かなくても見れば分かるだろう 」
アストン
「 あのなぁ、ディアス……見た目で判断するのは良くないぞ。
セキチェが真似をしたら責任を取れるのか? 」
ディアス
「 お前の目は節穴か 」
アストン
「 “ お前 ” ってなぁ──。
俺が兄貴だって事、忘れてないよな? 」
ディアス
「 《 キャンプ地 》には悪意を持つ輩の侵入を防ぐ為、防犯魔法を掛けてある。
侵入しようとすれば、防犯魔法が発動するようになっている。
《 キャンプ地 》に足を踏み入れた途端、仲間の姿が忽然と消えて驚いていたのだろう 」
アストン
「 えっ?
防犯魔法なんて掛けてたのかよ? 」
ディアス
「 当たり前だ。
戻って来て、《 キャンプ地 》が荒らされていたらセキチェが驚くだろうが── 」
アストン
「 抜け目が無いな。
ディアスが過保護だ…… 」
ディアス
「 冒険者なら自分の《 キャンプ地 》を襲われないよう手を打つのは当然だろう 」
アストン
「 いやいや、防犯魔法なんて並みの冒険者には使えないって! 」
──*──*──*── キャンプ地・中
ディアスさん,アストンさんが冒険者達の前でコントを披露してるように見える。
潟庄智惠
「 キノコン、《 キャンプ地 》を防犯魔法で守る事って珍しいの? 」
キノコン
「 防犯魔法は高度な魔法ですエリ。
人間が使う事は難しいですエリ 」
潟庄智惠
「 そうなの?
じゃあ《 キャンプ地 》に知らない人が入れないようにする事は出来ないの? 」
キノコン
「 現時点では “ 見張りを残す ” 程度ですエリ。
“ 暗黙のルール ” で他人様の《 キャンプ地 》に侵入しない事にはなってますエリ。
だからと言って律儀に “ 暗黙のルール ” を守る冒険者ばかりでは無いですエリ。
“ 暗黙のルールを破ってナンボ ” な冒険者も普通に居ますエリ。
とんでもない非常識な冒険者達から《 キャンプ地 》を守る為に、キノコンは《 キャンプ地 》に防犯魔法を掛けていますエリ 」
潟庄智惠
「 そうなんだ。
因みにどんな防犯魔法を掛けてるの?
悪意の有る人が《 キャンプ地 》に足を踏み入れたら、どうなっちゃうの? 」
キノコン
「 転移されますエリ 」
潟庄智惠
「 転移? 」
キノコン
「 何処に転移するか分からない “ ランダム転移 ” ですエリ 」
潟庄智惠
「 ラ…ランダム転移……。
それって…転移される人と転移されない人が居るって事? 」
キノコン
「 悪意──邪な心を抱いていれば、確実に転移しますエリ。
ランダムは何処に転移をされるか分かりませんエリ。
上空に転移する場合も有れば、海中に転移する場合も有りますエリ。
灼熱の火山,極寒の雪山,炎天下の砂漠,他国の領地,怪物の住処──色々ですエリ 」
潟庄智惠
「 ………………怖い防犯魔法だね…… 」
キノコン
「 常習犯が他人様の《 キャンプ地 》で悪さを仕出かす前に防ぐ防犯魔法は必要ですエリ。
此方は《 キャンプ地 》を守る為の自衛をしただけですエリ。
此方に非は無いですエリ。
明らかに冒険者達の自業自得ですエリ 」
潟庄智惠
「 う…うん……そうだよね。
他人の様の《 キャンプ地 》で悪さをしたら駄目だよね! 」
キノコン
「 冒険者の皮を被った犯罪者に、キツい御灸を据えてあげるのが誠意ある善意ですエリ 」
潟庄智惠
「 ???
誠意ある善意って、どんな感じなの?? 」
キノコン
「 悪さをしても反省しない悪戯小僧に対して、常識と良識を兼ね備えた大人が “ めっ ” して道徳で諭す事ですエリ 」
潟庄智惠
「 それが “ 誠意ある善意 ” なの?? 」
キノコン
「 外を見てくださいエリ。
ディアスとアストンが “ 誠意ある善意 ” を実行中ですエリ 」
潟庄智惠
「 えっ?? 」
確かにディアスさん,アストンさんが明らかに悪さをしてるっぽい冒険者達を《 キャンプ地 》に向けて蹴り飛ばしていた。
無表情で蹴りを入れるディアスさん、こわぁ……。
アストンさんは楽しそうに蹴りを入れている。
武装してて肉体の大きな冒険者達を軽々と蹴れるなんて、大精霊って脚力有るんだ。
ディアスさん,アストンさんに蹴られた冒険者達は、《 キャンプ地 》に入って来る事はなくて──、次々に姿が消えて行く。
潟庄智惠
「 これがランダム転移なんだ…… 」
冒険者達は何処に飛ばされちゃうんだろう……。




