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第38章―8

 尚、話がどうしても前後してしまうが。


(この世界の)ドイツ軍が、英仏日等の連合国軍が、上陸可能な海岸地帯に防御陣地を築いて、上陸作戦を展開した部隊に対して、海岸地帯で積極的な攻撃を行ない、それによって上陸作戦を失敗に終わらせるという作戦を展開しなかった理由だが。


 そもそも上陸可能な海岸地帯に防御陣地を築くだけの物資、資材が乏しかった、という事情があるが。

 それ以上に(この世界の)第二次上海事変から「上海事件」に至るまでの(結果的に誤ったといえる)「戦訓」が、それこそ世界中に広まっており、ドイツ陸軍がそれを最も信奉していたのも大きかった。


 そして、その「戦訓」の内容だが、この当時、結果的にドイツ陸軍において、事実上の最高司令官を務めていたルントシュテット元帥が語った内容で述べるならば。

「沿岸部(海岸地帯)ではなく、内陸部に主力となる部隊を配置して上陸作戦を阻止するのが当然だ。

 我が国の海軍は事実上存在しておらず、我が国の空軍にしても、最早、航空優勢を確保できるだけの戦力を有していない。

 そうした状況下で、沿岸部(海岸地帯)に主力部隊を配置しては、上陸作戦前の艦砲射撃や爆撃によって、主力部隊が壊滅するのが当然ではないか。

 そうなっては、上陸作戦後の侵攻作戦を阻止するのは不可能だ。


 だから、艦砲射撃が届かない内陸部に主力部隊を隠蔽して置いておき、上陸作戦が始まったら、速やかに沿岸部(海岸地帯)に主力部隊を向かわせて、上陸部隊と雌雄を決する決戦を行なうのだ。

 実際に中国での戦いにおいて、上陸作戦を行なった日本軍は、ドイツから派遣された軍事顧問団の指導による中国国民党軍主力が迅速に行った攻撃の際に、味方撃ちを怖れる余りに海空からの支援、艦砲射撃や空爆が行われることが乏しい事態が生じ、結果的に上海への進撃に失敗している。

 この戦訓からして、沿岸部(海岸地帯)ではなく、内陸部に主力部隊は配置されて、上陸作戦阻止は図られるのが当然だ」


 上記のような「戦訓」の内容が、世界中で広まっていたと言えるのだが。

 実はこの当時から、この「戦訓」には懐疑的な目が、一部の軍人からは向けられていた。


 例えば、ベルリン陥落時のベルリン防衛軍集団司令官を務めたロンメル将軍の主張によれば、

「ルントシュテット元帥の主張だが、確かに一理あるが、私としては、沿岸部(海岸地帯)に主力部隊を配置すべきで、更に防衛陣地も築くべきだ、と考えており、周囲にもそう訴えていた。

(実際の一次資料でも、当時のロンメル将軍が、そう訴えていたのが遺されている)

 何故かと言えば、航空優勢が失われた中で、内陸部に配置された主力部隊が、沿岸部(海岸地帯)に戦力を保って駆けつける等、絵空事だからだ」


 実際、(この世界の)対ドイツの第二次世界大戦末期に行われたダンツィヒ(グダニスク)近郊への上陸作戦に起きたのは、ロンメル将軍の主張通りの事態だった。


 内陸部に配置されていたドイツ軍主力部隊(最も、そうは言っても良質の徒歩歩兵師団の集団に過ぎなかった)は、日本軍がダンツィヒ(グダニスク)近郊に上陸して来た、との急報を受けて、日本軍を海に追い落とそう、と沿岸部(海岸地帯)に急行したのだが。


 沿岸部(海岸地帯)にたどり着く前に、連合軍航空隊の熾烈な航空攻撃を受ける事態が生じて、昼間移動を強行したある歩兵師団に至っては、日本海兵隊と接敵するまでに1個歩兵連隊以下の戦力に低下した、と公式の報告書に書かれる損害を被ってしまった。


 かといって、夜間移動を行なおうとしても、日本海兵隊が上陸作戦を展開したこの時期は、満月期と言って良く、夜間移動も困難なのが現実だったのだ。

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― 新着の感想 ―
中国で日本陸軍を上陸後に完膚なきまでに叩き潰したのですから内陸部に機動戦力を置いて上陸後に叩くことが常道になるのは理解できるし、ルントシュテット元帥が発言力を武功で上げる様は当然でしょうね。ただ徒歩歩…
この世界だとルントシュテット元帥の方が発言力大きいからこうなったのですね。まあ、ロンメル将軍の意見を取り入れたとしても後方のポーランド側戦力では大していないでしょうが。
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