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第36章―12

 尚、このキール軍港におけるドイツ海軍の艦艇の行動だが、カナリス提督なりに筋を通した結果といえるものだった。


 カナリス提督は、どうのこうの言ってもドイツ海軍の軍人だった。

 それ故に、戦況がドイツにとって悪化して以降、少しでもドイツ海軍の意地を最後まで貫かせた上で、この世界の第二次世界大戦の結末を迎えよう、とカナリス提督は苦心していたのだ。


 とはいえ、ノルウェー侵攻作戦の失敗は、ドイツ海軍の事実上の解散を引き起こしており、それこそ戦利品になる筈だった交戦各国の海軍艦艇にしても、何とかポーランド海軍の艦艇は、ほぼ史実通りの結果を迎えることが出来たが、ノルウェー、オランダ、ベルギー海軍の艦艇は、史実と異なり、殆ど連合軍側に奔る事態が引き起こされることになった。


 そして、デンマーク海軍にしても、ノルウェーが連合軍とドイツ軍に分断され、スウェーデンが親連合国の中立を執ったことから、ほぼ全ての艦艇が、ノルウェーやスウェーデンに逃亡する事態が起きた。

 尚、このことに激怒したヒトラー総統率いるドイツ政府は、史実と異なり、デンマーク本土を直接占領下におくことになったのだ。


(更に、その波及効果として、デンマーク領であるグリーンランドやアイスランド、フェロー諸島は、連合国政府、具体的には英国政府を頼って、いわゆる保障占領下におかれる事態が起きて。

 それによって引き起こされたバタフライ効果から、第二次世界大戦終結後にアイスランドは独立国となり、グリーンランドやフェロー諸島は自治領になるのだが。

 メタい話をすれば、それは本編では語られない話になる)


 とはいえ、このことはデンマーク国民の多くを反ドイツ主義に奔らせた。

 最も、デンマーク本土の地勢上、更にはドイツ本土に近いこともあって、デンマーク国民の殆どが、ドイツ政府に対して面従腹背の態度を執るに止まり、デンマーク本土における武装抵抗運動は、1942年に日本海兵隊やユダヤ人部隊が接近するまで、ほぼ起きないことにはなった。


 だが、その一方で、このことは第二次世界大戦勃発時にデンマーク本土にいた約8000人のユダヤ人のほぼ9割が、デンマーク人の協力によって、ノルウェーやスウェーデンに亡命して生き延びることができる事態を引き起こしたのだ。


 そして、そのことが、ユダヤ人部隊が、デンマーク本土解放の為に進撃した際に、デンマークを占領して、軍政下においていたドイツ軍の抵抗を困難にする一方で、ユダヤ人部隊のデンマーク市民に対する対応を穏やかにする事態を引き起こすことになったのだが。


 話が逸れすぎたので、この世界のカナリス提督の行動について、改めて述べると。

 そうしたこの世界なりの事情まで把握していたカナリス提督は、ノルウェー侵攻作戦の失敗によって海軍総司令官から罷免されていたレーダー提督の後任になっていたデーニッツ提督と、それなりの協力関係を結ぶ事態が起きていた。


 そして、英仏日等の連合軍がドイツ本土への侵攻作戦を展開するようになり、ドイツ海軍の艦艇の最後の安住の地であったキール軍港に、連合軍の将兵、それもユダヤ人部隊が迫りつつある事態が起きたことから、ドイツ海軍の生き残っている艦艇をどうすべきか、両提督は話し合った末に。


 キール軍港の沖合で、生き残っている全艦艇を自沈させる決断を、デーニッツ提督が下す事態が起きた次第だった。

 更には、キール軍港に居た海軍軍人の殆どが、その決断を支持して、又、自分の内心にある何かを護ろうとする事態が起きることにもなったのだ。


 そして、このことは、周囲からは色々言われたが、ドイツ海軍の軍人にしてみれば、最後の誇りを保った行動だったのだ。

 話中に出て来るデンマークとユダヤ人の話ですが、史実でもデンマーク在住のユダヤ人の多くが救われたのを、この世界なりにアレンジして使わせて貰いました。


 そして、ドイツ海軍の艦艇が自沈を決断したのは、ドイツ海軍の最後の意地というべきもので、史実の第二次世界大戦でも、フランス海軍やデンマーク海軍が行っています。


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― 新着の感想 ―
デンマーク国民とユダヤ人の関係性は良いようですね。良かった。 あっちの国民もこっちの国民もユダヤ人ホロコーストにズブズブ関与していたらユダヤ人全部が闇落ちしてしまう。(もうなっているか?)
 国費を掛けて作られた艦船は国家に帰属する意味以上に「国民の財産」と考えてしまう金具素屯には、たとえ国の命令や軍の指示でも「本来必要とされた事に使われず無為に沈められたのでは財を負担した国民への重い裏…
誇りは守られたが別の現物賠償が増えるでしょうね。史実よりドイツへの再教育が強まるかも。
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