第36章―7
ともかく、そうした背景から、航空優勢を自分達、日本海兵隊とユダヤ人部隊が確保しているということは、進撃を極めて容易にすることになった。
勿論、少しでも打撃を与えようとして、ドイツ空軍が日本海兵隊とユダヤ人部隊に対する空襲等を行なうことはあった。
だが、それは極めて小規模なことになることが、様々な事情から多発したのだ。
それこそ日本海兵隊等に、大規模な空爆を浴びせて、大打撃を与えようとするならば、ドイツ空軍側もそれなり以上の規模の航空隊を集めて攻撃を浴びせざるを得ないが。
そういった大規模な航空隊を集めるとなると、それこそ航空優勢が欠けていることから、必然的に英仏日等の連合国の空軍、航空隊に、そういった動きがどうしても掴まれてしまう。
更には、その事前準備段階で、機先を制した連合国の空軍、航空隊による攻撃が行われる事態が多発するということになるのだ。
それならば、小規模な空爆を多発させればよい、と言われるだろうが。
それはそれで、連合国の空軍、航空隊の各個撃破の好餌になる事態を引き起こしかねないのだ。
この辺り、ドイツ空軍にしてみれば、深刻なジレンマに陥っていた、といっても過言では無かった。
大規模な攻撃を行なおうとすれば、事前準備段階で察知されて、先制攻撃を受けてしまう。
かといって、小規模な攻撃を行なっては、各個撃破の好餌になってしまうのだ。
更にドイツ空軍の苦悩を深めていたのが、連合国の空軍、航空隊の戦闘爆撃機の増加だった。
この辺りは諸説あるのだが、最有力説に基づいて述べれば、英空軍のハリケーン戦闘爆撃機が、そのはしりといえる存在だった。
更には、米国から供与されたP38戦闘機が、更なる戦闘爆撃機としての活躍を行なった。
(尚、P39戦闘機も戦闘爆撃機として使われていた、という少数有力説があるが、通説では否定されているのが現実である。
実際にカテリーナ・メンデス等の証言でも、P39戦闘機は基本的に戦闘機として使われており、戦闘爆撃機としての任務は基本的に余技としか、言いようが無かったようである)
ともかく、連合国の空軍、航空隊の戦闘爆撃機の増大は、ドイツ空軍上層部、更に現場にしてみれば、苦悩のタネとしか言いようが無かった。
これまでというか、(この世界の)第二次世界大戦前半、1941年前半頃まではエンジン等の問題から、戦闘機と爆撃機は別の存在と言えるもので、地上攻撃を行なう爆撃機には、別途、それを護衛する戦闘機が、敵戦闘機に対処するために必要不可欠といえたのだが。
この頃になると、戦闘爆撃機が増大していて、それこそ地上攻撃を行なった後は、戦闘機として戦えるし、最悪の場合には爆弾を捨てて、敵戦闘機と積極的に戦える機種、ハリケーンやP38が戦場で羽振りを利かせるようになっていたのだ。
(尚、ドイツ空軍にしても、そういった戦闘爆撃機が皆無だった訳ではない。
例えば、Fw190は一般的には戦闘機として名高いが、戦闘爆撃機としても運用されている。
又、日本陸海軍にしても、実際に前線配備されたのは、何とも皮肉なことに第二次世界大戦終結後になるが、紫電を戦闘爆撃機として開発、運用する事態が起きている)
ともかく、連合国の空軍、航空隊の戦闘爆撃機の増大は、ドイツ陸軍にしてみれば、地上攻撃の威力増大に他ならず、それこそ大規模な地上部隊の昼間の移動を、ドイツ本国内にも関わらず、完全に躊躇わせる事態を引き起こす程のものだった。
更に言えば、其処までに至っては、地上戦で連合国の空軍、航空隊の支援に苦しめられるのは、よくあることと言えた。
そして、後方の補給部隊等への攻撃が頻発するのも、よくあることだった。
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