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第36章―4

 最もこのようなチトー率いるパルチザンに、英仏日等の連合国政府が援助を行なったのは、もう少し複雑な理由があった。


 それはドイツとの戦争が終わった後を見据えた動きだった。

 英仏日等の連合国政府だが、ドイツ政府を打倒すれば、それで、世界大戦を終えるという訳には行かない、と考えていた。

 何故なら、ソ連がドイツと手を組んで、バルト三国やポーランド東部等を領土化していたからである。


 このソ連政府の動きについて、既述だが、英仏日等の連合国政府は、激しく反発している。

 ソ連政府に言わせれば、住民がソ連への帰属を希望したことから、それを受け入れただけだ。

 実際に、住民投票ではほぼ100%の住民、有権者はソ連への帰属を希望した、とも主張している。


 だが、その実態はと言えば、まともな住民投票は行われておらず、それこそソ連政府の併合に他ならない、というのが英仏日等の連合国政府の諜報活動による見解と言えた。

 そして、その諜報活動に依れば、ソ連に併合された土地の住民の多くがソ連からの解放を求めている。


 こうした現実に鑑みて、英仏日等の連合国政府の最上層部は、こういった反ソ意思を持つ住民に対して、武器等の援助を行い、ソ連に対する武装抵抗運動を奨励しよう、と密かに考えるようになっていた。


(時代が完全に違う話になるが)それこそネズミを捕ってくれる、ソ連を打倒できるのならば、黒猫でも白猫でも構わない、というのが、英国政府の考えでアリ。

 又、日本政府も満蒙、朝鮮半島へのソ連の軍事圧力の軽減の為に、バルト三国やポーランド東部等で、ソ連に対する武装抵抗運動が起こることを望んでいたのだ。


 更に言えば、ポーランド亡命政府を筆頭にして、本来の領土の回復を望む面々もいた。

 又、ソ連の領土内には、それなり以上のユダヤ人がおり、スターリンの「大粛清」の標的に彼らがなっているという情報が漏れ聞こえており、ドイツ政府に続けて、ソ連政府も打倒すべきだというユダヤ人の声も高まっていた。


(後、このユダヤ人の動きの裏には、英国政府最上層部の暗躍もあった。

 それこそ完全な空手形の振り出しにも程があったが、ユダヤ人外人部隊に参加すれば、英領パレスチナの永住権を付与する旨を言って、英国政府はユダヤ人を集めていた。


 史実では行われなかった、このようなユダヤ人部隊編制の裏には、「上海事件」の結果として、多くのユダヤ人が赴くようになった日本の政府の働きかけもあった。


 そして、ドイツとの戦争が終わったら、ユダヤ人外人部隊の面々を、基本的に除隊させる必要が生じ、更には英領パレスチナに熟練したユダヤ人の将兵が赴き、文字通りに血の河ができるようになることを、英国政府最上層部は懸念することになった。


 そんなことから、ドイツとの戦争が終わったから、といって、速やかに除隊して英領パレスチナに行こうと考えるべきではない、まだ、ソ連という敵が控えているとささやくことで、少しでも長い間、英領パレスチナの低位安定を維持しよう、と英国政府最上層部としては図ることになったのだ)


 そういったことから、英仏日等の連合国政府の多くの要人が、ソ連政府内で倒そうとしているのは、スターリンを筆頭とする反ユダヤ主義者であって、共産主義者だけということで敵視しているのではない、実際にチトー率いるパルチザンは、共産主義者ではあるが、英仏日等の連合国政府は支持している、というアリバイ作りもあって、チトー率いるパルチザンを支援する事態が起きていた。


(尚、チトー以下のパルチザン幹部も、そういった思惑は重々承知していたが、まずは目の前の敵、ドイツ等を倒す必要性から、一点共闘の路を歩むことになっていた)

 すみませんが、もう1話がこの辺りの裏説明には、結果的に掛かることになりました。

 裏が多い話で、本当にすみません。


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― 新着の感想 ―
>住民がソ連への帰属を希望したことから、それを受け入れただけだ。 ナチの方がまだ正直で、スターリンの方が遥かに悪辣。 >黒猫でも白猫でも構わない、 勿論、赤猫でも構わない。チトーはバリバリの共産…
 大きなくくりとして共産主義思想と対立しているのでは無くナチスドイツと同様に不当なユダヤ人への弾圧を推し進めるソヴィエト指導部を敵視する連合国となら手を結べるとのロジックを導き出す徹底的にリアリストな…
チトーへの連合国陣営の支援はソ連への当て付けというのは面白いです。それにユダヤ人への迫害を事実ソ連はこの世界ではしてるわけですから共産主義への攻撃とも宣伝し難いのも流石イギリスと言えますね。 ドイツ…
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