3/15
幕間1
深夜白猫は部屋の片隅から、疲労困憊で泥のように眠る部屋の主を物憂げに見つめていた。傷ついていた身体は既に癒え、白い体毛は月明かりで銀のように煌めいていた。
「……迷い込んだ? 何も知らない人が? それに昼間のやり取り……やっぱりおかしい。ねぇ明は一体だれの声を聞いの」
コタロウは訝しげな声色で小さく明へ問う。その瞳は真剣で、けれども明は眠り続けたままで起きるけはないど微塵もない。
「そもそも私はずっと1人でやってきたにゃん。明を見た時腰を抜かすくらいに驚いたにゃん。そんな私が誰か助けを求めるかにゃん?」
ありえないとでも言うようにコタロウは首を振る。
「足りない。あまりにも情報が足りない。……あの様子、嘘をついている感じじゃない。あまり関わりすぎるのは得策じゃない?」
すやすやと眠る明の顔を凝視しながらコタロウは呟く。明はその声に答えない。
「けれど、私の旅になにか進展がある可能性もある。ひとまず、明で色々試してみましょう」
コタロウのしっぽがゆらゆらと揺れる。チシャ猫のような笑みを浮かべ明を見つめる。その様子はある種の神聖さと恐ろしさを共存させていた。




