【ニキ】002話:~止まらない【to be continued……】~
広すぎる第1階層をシミター片手に進んだ先、目の前に鎮座する宝箱をじっ……と見つめる。
その宝箱は金と赤の装飾が眩しい、いかにもお宝が入ってますよという空気を醸し出していた。
パカッとな。
~~♪ ~~~~♪ ──to be continued……
宝箱から出てきたのは熱い爆風。
ドキドキして開封する笑顔の僕の顔面に爆風が届くかどうかという絶妙なタイミングで世界は固定され、俯瞰的視点が始まった。
毎回ドアップで僕の顔面映すのはなんなん?
コメント付き配信画面視点まで固定で流すのは女神さまの趣味だろうか、解せぬ。
そして戻る。
目の前には空いたままの宝箱。
時間が戻るのは僕だけだからね、仕方ないね。
なお空いたままの宝箱には【勇敢だったで賞】とかいう骨が1本入ってた。
チクショーこれもう何本目だよ!
〈コメント〉
:また死んだ。今日のノルマは達成済みですよ龍郎ニキ!
:宝箱エンドの切り抜きはもういいって! そろそろ罠コンプしちゃう!
:罠コンプの前に骨の全部位コンプできるかも(笑)
:龍郎ニキはのほほんと見れていいなぁ~。他の攻略者ギスギスしすぎてて見れない……
:そろそろ迷宮潜って15日経過? 他の攻略者も迷宮潜り始めたらもっとギスギス進みそう
:俺は龍郎ニキだけ見てる! あとは知らん! でも雪原ネキも可愛いから見ようかな……
:ていうか第1階層広すぎ! 迷宮ってぽんぽん階層進むもんじゃないんか?
ゲットした骨を女神ちゃんねるのウィンドウに押し込んで迷宮ポイントに変換する。
何気に収集図鑑とかあってそこを埋めることでも迷宮ポイント貰えるから、まぁ無駄ではないな。
これで通算240本目の骨……だが被り多すぎ!
まだ3分の1くらい骨の収集図鑑余ってるよ!
死に方図鑑も少しずつ埋まってるけどこっちはまるで終わりが見えん。
なんだ女神の好奇心で殺されるエンドって、ちょっと気になるじゃないか。
~~♪ ~~~~♪ ──to be continued……
そして死にました。
俯瞰的視点で背後から近寄ったゴブリンが罠を踏んで飛び出した槍がまさかの僕のほうへと流れたのを確認。
ふざけんな。
戻ってくると同時に生意気にも槍を躱したゴブリンとの戦闘を開始した。
~~♪ ~~~~♪ ──to be continued……
そうなんだよなぁ!
強いんだよなぁこいつら!
ゴブリンとか最弱魔物の代表格だろとか舐めてかかると死ぬから気を付けろと誰かに言いたい!
視聴者にはもう言ったけどね!
シミターを振るって何度も死んでは戻り、僕は18回目の死闘の末ようやくゴブリンの頭に刃を叩きこむことに成功した。
いやこれでも成長したよ僕は。
最初に遭遇したときとか余裕で100回コースだったからな。
「他の攻略者たちはこのゴブリンに勝てるのか……? いや僕の【固有】が戦闘系じゃないのもあるから余裕?」
〈コメント〉
:他の攻略者なら既に何組か迷宮入って戦闘してたな
:マジで死闘、って感じだった。いや龍郎ニキの死闘とは違うで
:確かに戦闘系の【固有】は強いけど、メンタルは地球人ですからね
:それより罠で死ぬ奴が多い印象だな。目に見えて警戒できる魔物よりあっちが厄介だ
:今日から潜り始めた雪原ネキも落とし穴を松明片手に慎重に避けてるとこだぞ
:雪原ネキ可愛いから好き。生き残ってほしいなぁ、ハラハラしすぎて見れんのだけど
僕の独り言にコメント欄が返事をくれる。
いや返事をくれたコメントを女神さまが抜粋してるのか。
ふーん、やっぱり戦闘系の【固有】はゴブリンで100回も死ぬことはないんだな。
罠のことも正直めっちゃわかる、僕もそれでここまで進むルートの罠はコンプしちまったことを収集図鑑で知ったくらいだ。
その雪原ネキ? という人にも最初の洗礼ということであの落とし穴には気を付けてほしいところですね。
〈コメント〉
:女神さまこれ抜粋して? ゴブリンで1回でも死んだ奴に次はない、って
:ゴブリンで100回死ぬこと自体あり得ないからね?
:だんだん龍郎ニキの思考が表情と無言の時間で読めるようになってきた(笑)
:いや実際龍郎ニキの死に芸コンプは助かってるよ。だってそのルートの罠全部把握済みだもん
:先駆者っていうか先死者っていうか
:応援してるぞ龍郎ニキ! マジであんたなら迷宮攻略あり得るって!
視聴者が遂に僕の心の声と会話し始めた。
すごいな、今時の配信ってこんな進化してるのか、病院生活長すぎて知らんかった。
ゴブリンの返り血で汚れた村人Aの服を迷宮ポイントで綺麗にしながら、僕はまた第1階層を進む。
さっきコメントにもあったけど、本当にこの迷宮は1つの階層が驚くほどに広いらしい。
15日間進み続けて1階層も進めないとかどうなってんだ。
こりゃ他の攻略者も僕と同じで迷宮暮らしコースまっしぐらだな……と、その後また罠とゴブリンとの戦闘のせいで100メートル進むのに1時間かかった。
もしやこれが迷宮が広く感じる原因では?
おのれゴブリン!
そんな悪態を胸の内で吐く僕だが……ようやくだな。
目の前には通路の先で存在を主張する大きな扉。
大きなと言っても巨人が通れるほどでもないが、それでも大きかった。
ボス戦の空気がビンビンする。
「──行くか」
右手に持ったシミターに一度視線をやり、僕はその大きな扉を開いて中に入った。
そして──。
~~♪ ~~~~♪ ──to be continued……
〈コメント〉
:い つ も の
:さぁてこっから長いな
:命懸けの情報提供に敬礼!
:次回へ続く!?




