25. お金落としたあぁぁぁぁぁ
チューブワームの討伐成功に意気揚々と帰り、ギルド会館に隣接された倉庫にたどりつく。
ギルドの魔物解体担当のガンツじいさんが、しわの刻まれた顔をいぶかしげにゆがめる。
「なんだ、ライル。そんなににやにやして。狩って来た獲物がいるならはやく出さんかい」
「いいのか? 本当にだしちまうぞ」
空間魔術を起動し亜空間からチューブワームを排出し、その巨体が横たわる。
大型の魔物を格納できるスペースを、巨大なワームの体がほぼ占拠している状態となった。
ガンツじいさんが目を見開きながら驚いた顔をしていた。10年以上の付き合いだが、こんな表情をみたのは初めてで、それだけに達成感があった。
「……おまえさん、こいつを一人でやっちまったのか」
「ふふん、まあな……といいたいところだが、オレひとりじゃ無理だ」
「はぁ、これは解体に手間取りそうだな……。ほれ、討伐証明書だ。さっさとギルド会館に報告にいってこい」
ため息をつくガンツじいさんから証明書を渡され、受付のリリーから報酬を受け取ろうとしたのだが、何ともいえない複雑な顔をされてしまった。
「チューブワーム、本当に討伐したのですね、3人で……。ただの下見かと思っていたのですが……」
「報酬はいつもどおりギルド預かりで頼むよ」
冒険者ギルドでは報酬をすぐに受け取らず、預かってもらうことができた。無駄に現金を持ち歩くこともなく安心なため、預けておくものは多かった。
セレナも同じようにギルド預かりにしたが、オルニスだけは違った。
「ちょうだい、すぐにちょうだい!」
金貨のみっしりと詰まった革袋の中身を食い入るように見つめるオルニス。山吹色の輝きにだらしない笑みを浮かべていた。
「うへへ、これだけあれば、上質な魔石が買えるわね。いや、まだ余裕もありそうだし、この際、新しい実験道具も買っちゃおうかしら」
いきなり大金を手に入れた子供のようで不安になってきた。大丈夫か、この子。
「あまり無駄遣いするなよ」
「子供扱いしないでもらえるかしら!」
叫ぶオルニス。しかし、その顔は翌日になると泣き顔になっていた。
「お金落としたあぁぁぁぁぁ」
とある昼下がり、少女の涙交じりの声が響いていた。




