↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
101/183

王都は危険っ!!……例えば緑

声変わりを終えたのか低くて、でも明るくて可愛い声音で「イリアさまっ」と呼んだのは求婚者の一人、王子の側近くん。イリアより一つ上だけど、天使のような笑顔のせいか弟みたいな気がして『くん』付けしたくなる……マッチョだけど、ね。

相手が南の次男坊(王子の護衛)とはいえ、一人の食事が落ち着かなかったイリアは嬉々として王子の側近に椅子を勧めた。

王子の側近もにこにことその椅子に座る。しかし、座った途端に困惑顔になって店の受付を一瞬睨んだ後、明るく無い低い声を出した


「デートですか?」

「ま、ま、ま、まさかぁっ」


口には何も入っていない。良かった……何時もの如く、吹いてしまうところであった。

しかし、デートに見えてしまったとは、困る。

イリアは努めて冷静に。


「お詫びに奢ってくれただけですわ」

「詫びっ!?なっ何かされたのですか!?」


冷静になりたいのに、王子の側近が青ざめて慌てふためくから、こちらまで落ち着かなくなる。

しかし、何かされたって何。

されたと言えば、されたが。

それを口にするのは憚れる。

イリアの羞恥の為にっ!


「彼の名誉の為に言えませんわっ!」

「――!そ、そんな酷い事を……?」


彼は驚愕に目を見開いて、大きな声を上げたが最後の方には萎んでいく。


「酷い事などされていませんわ」


酷い事って何なのか。

彼は何を考えているのか、知りたいような知りたくないような。

だが、一つ。これだけは変えようもない思いだ。



――話題、変えたい。



「それで、貴方は買い物、ですの?」


イリアは先程から気になっていた大きな包をちらりと見やった。

その目線に気付いて王子の側近が花を咲かしたようにキラキラと笑う。


「流石、イリアさまっ!お目が高いです」


そう言って彼が包の中から取り出したのは三種類の茶葉だった。

茶色いのと茶色いのと……渋い、緑色?


「僕は最近出来た店に茶葉を買いに来たんです!見てください、コレ。珍しいですよね」


言って指差したのは、緑色の茶葉。

そう、この国では見たことの無い茶葉の色。

コレは……。


「ウドウリエルから仕入れた物らしくて」


ウド……独活?ウリエル……天使の名前だっただろうか。

ウドウリエルとは何だろうか、イリアは首を傾げる。

王子の側近は珍しい茶葉の説明でイリアの様子に気付いてはいない。


「――緑茶、と言うんですよ」


ふふと王子の側近が微笑んで、イリアも現実に引き戻されて微笑み返した。

首から上だけ眼福である。

それから、聞き間違えようもない、その名前。


「緑茶、ですね。淹れ方はご存じですの?」


コレが日本茶と同じ緑茶ならば、紅茶とは違う淹れ方になる筈だ。

王子の側近が苦笑して、包からカチャカチャと音を発てながらそれを取り出した。


「もしかして、イリアさま。ご存じだったんですかぁ?僕恥ずかしいなぁ」


王子の側近、大いに照れる。可愛い。

それは、そうとて。

彼の手にあるのはどう見ても急須であった。



緑は緑茶です。

お茶が美味しい季節ですねぇ。

クリスマスですが……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。