51 合格発表
予餞会の翌日が合格発表だ。
昨晩なかなか寝付けなかったが、なんとか起きられた。
家を出るとカズ君が待っていてくれた。
「おはよう、美紀ちゃん」
私も気が重いけど、カズ君は更に昨日とのギャップがありすぎて笑顔に全然元気がない。
「おはよう。カズ君、大丈夫?」
「あまり寝られなくて」
「私もだよ。でも頑張って見に行こう」
「そうだね」
私達はゆっくり出発した。
レイ君も合流して高校へ向かう。途中は誰もほとんど口を開かなかった。
校内入ってすぐに人だかりが見える。あれが合格発表の掲示板だろう。
そこに近付くと大喜びしてる人や、肩を落としている人などがいる。その人達の間をぬって、受験番号が見える場所までやってきた。
横目でカズ君を見ると、息をしてないんじゃないかと心配になる位に血の気のない顔をしている。
自己採点では決して悪くなかったけど、合格かどうかは、やはりこの目で確かめるまで分からないのだ。
(……この辺からだ)
順番に番号を追っていく。ところどころ数字が抜けているのを見ると胸が苦しくなる。
(あぁ、みんなで西高に……)
「あ」
三人同時に声がした。
「あった!」
「俺も」
「僕もあったよ! 受かった!」
カズ君は目を丸くして掲示板を指差す。
「やったな!」
その声と同時にレイ君が笑いながらカズ君の首に腕を回し、強く揺さぶる。
番号は誰も抜ける事がなく揃って載っていた。
「よ、よかった~」
泣き笑いのカズ君はレイ君にされるがままだ。
「これで心置きなくバンドが出来るな」
「うん、またいいバンドを作りたいね」
二人は改めて話していた。
私は直接参加する訳ではないけど、すぐ近くで応援出来るなんて最高に嬉しい。
その足で中学校へ合格の報告に行くとすでに何人もいて、今のところ全員志望校へ合格していた。先生はことのほか、夏休みまでギリギリだったカズ君の合格を喜んでいた。
「合格おめでとう」
「ありがとう」
大賀さんに会うと、私たちの合格をとても喜んでくれた。
しかし大賀さんはバスケの強豪高へ推薦入学が決まっていて、私とは進路が違う。小学校からのコンビもとうとう解消で寂しかった。
学校からの帰り道、レイ君とは別れてカズ君と二人になった時だ。
「合格したのはいいけど勉強ついていけるかな」
話しながら歩いているとカズ君は不安げに言った。成績はそこまで悪くないと思うけど、色々忙しくなるだろうし、心配なのだろう。
「大丈夫だよ。でももし心配なら放課後また一緒に勉強しよう」
「いいの?」
「当たり前じゃない」
私の言葉にカズ君は少し考えてから、はにかんだ。
「なんだか放課後一緒に勉強するって……」
「あ、でもお兄ちゃんが教えてくれた方がいいかな。聞いてみるよ」
「へ? そ、そうだね。あはは……」
「……?」
何故かカズ君はぎこちない笑顔だった。
それからの一週間は、慌ただしく過ぎていった。




