表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
PR
36/88

07 文化祭(2)

始めは圧倒されていた観客席も次第に反応し始め、リズムに合わせて身体を動かしたり、拍子を取ったりする人も出てきた。


練習の時だと録音する関係で息を潜めて聴いている私も、今日は周りと同じように聴けるのが嬉しい。


曲が終わりかけから自然と拍手が沸き起こり、音が消えると歓声もあがった。


「すっげーな」


「立派なバンドだ。上手いよ」


「迫力あったねぇ」


もう演奏技術を疑うような人は誰もいない。




次の曲は更にテンポが速くなり、レイ君のドラムソロでは機関銃のような音を叩き出していた。カズ君も初めに比べると表情が柔らかくなって動きも出ている。安住さんは笑みを浮かべる余裕が出始め、荒々しく弾いたりしてギターに負けないで目立っていた。


そしてタカ兄ちゃんは、あちこちから『ボーカルの人カッコイイ』と言われていた。


私はずっと前から知ってたよ。


でも褒められるのは嬉しいけど、女の子が騒いでいるのを見ると……モヤモヤする。



たった2曲だったけどBRAVEの初ライブは大成功だった。


体育館を揺るがすほどの拍手を受けているメンバーは、演奏前と違ってやり遂げた自信のある表情だ。



「美紀ちゃん、どうだった?」


後片付けのために体育館へ戻ると、タカ兄ちゃんがすぐ私に聞いてきた。


「え、えーっと、練習の時よりもっと良かったよ」


カッコ良かった! と答えそうになったけど何とか止めた。


「本当? 美紀ちゃんがそう言ってくれると嬉しいよ。ありがとう」


タカ兄ちゃんはそう言って笑顔になる。しかし私には眩しすぎて、すぐに他へ目を移してしまった。


「どんな風に良かった?」


片付けの手を止めてレイ君が質問する。


「う~ん、解放感かな。それにBRAVEが心から楽しんでいる感じが伝わったから、観客席も盛り上がったんだと思う」


「……そうだな」


いつもの技術的な感想じゃないけど、レイ君は納得してくれた。


「ライブっていいね」


カズ君が言うと、みんな頷いた。




文化祭が終わってから中学校内ではちょっとしたバンドブームが起こった。


BRAVEが演奏した曲を聴く人が増え、バンドを組もうという人が続出したのだ。


だけどボーカルとギターなどは決まってもドラムを出来る人はなかなかいなくて、結局新しいバンドは誕生しなかった。


レイ君は『臨時でいいからドラムを担当して欲しい』とか『ドラムを貸して欲しい』などと、何人も頼まれたという。もちろん全て断ったそうだ。


「ドラムを貸せって、簡単に言ってくれるよな」


そう言ってレイ君は苦笑していた。


「家に来てもらえばいいんじゃない?」


私の提案に「大事なドラムを簡単に触らせられないよ」と口を尖らせる。


「バンド仲間が増えていいと思うけど」


「それとこれとは話が別。それに当分はピアノが最優先だし」


もうすぐコンクールの本選があった。バンドのせいでピアノがダメになった……と言われたくないと、今はピアノの練習に力を注いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ