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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
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06 文化祭(1)

BRAVEが文化祭のステージに立つのは、2日目のステージ発表の時間だ。


出番は午後なのだが朝のHR前までに一通りの準備をしなくてはならない。私も「マネージャーもよろしく」と人手に入っていて、みんなと一緒に朝早く登校する事になった。


今日はレイ君のお父さんに軽トラックを出してもらい、ドラムなどの機材を体育館に運び入れる。床に機材の位置をガムテープで印をつけたり音量の調節をしたりしていると、時間はどんどん過ぎていく。


最後のリハーサルが終わると、HRの時間ギリギリだった。


「客席で楽しみにしてるから」


演奏者ではない私が手伝えるのはここまでだ。リハーサルを聴く限り問題はない。


「ありがとう。頑張るよ」


カズ君は笑顔で答えてくれたけど、どこかぎこちない。もう緊張しているみたいだ。タカ兄ちゃんと安住さんもどこかソワソワしている。


ただ一人レイ君はコンクールで慣れているのか、あまり変わりなかった。



ステージ発表は午前中に吹奏楽部、午後からは音楽系の必修クラブと有志グループ……という順番だった。


ただ有志グループといっても毎年参加するのは先生方の合唱ぐらいで、生徒のバンドは初めてだという。


そのためにBRAVEが参加を申し込んだ時は『中学生がロックバンドとはいかがなものか』と頭の固い先生の意見があって、参加できなくなりそうだった。


だけどメンバー全員の生活態度に問題は無く、むしろレイ君は常に学年で10番以内の成績だったり他の3人は部活で活躍していたりと優秀な生徒ばかりだったので、無事に参加できることになった。


必修クラブの合唱やリコーダー、大正琴などが次々と発表を終えると、いよいよBRAVEの出番となった。


中学校始まって以来のバンドという事で注目度は高く、また元々先生方の合唱も人気があるので、ほとんどの生徒が体育館に集まっている。


メンバーは楽器や機材を、もう一度セッティングしなおしていた。


「へぇ~ちゃんとドラムもあるよ」


「演奏出来るのかねぇ」


「カッコだけじゃないの?」


注目は集めていたけど、ヒソヒソとそんな会話も聞こえてくる。


(聴いたらビックリするよ!)


その人達に言ってやりたかったけど、グッとこらえた。私が言葉を尽くすより、実際に聴けば分かるから。



「次は有志バンド『BRAVE』による演奏です」


ざわついていた体育館もバンド紹介のアナウンスが入ると、段々静かになっていく。メンバーの緊張感が伝わるが悪い感じではない。


レイ君がカウントをとって曲が始まった。


一曲目は初めてバンドで演奏した曲。イントロ部分で少しぎこちなさがあったものの、歌が入る頃にはもう安定感を取り戻していた。


レイ君の正確なドラムに、安住さんの強いベースが音を支える。タカ兄ちゃんの力強い歌声が曲を引っ張り、カズ君のギターが勢いよく駆け抜けた。


ステージから放たれる音は攻撃的だけど不快さは感じなくて、むしろ爽快だ。

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