05 バンド初練習(3)
「今日、前半はミスだらけで……もっと練習しなきゃなって思ってた。このままだと、みんなの足手まといになる」
カズ君は今日の出来具合に落ち込んでいるようだ。
「確かに初めはミスもあったけど後半は出来てた。足手まといなんかになってないよ」
「確かに練習不足だ。バンド練習は全体を仕上げる為であって個人練習の場所じゃない。しっかりしてくれないと困る」
私とレイ君は同時に話したのに内容は全く違っていた。
「ちょっと、そんな言い方ないでしょ」
「だってそうだろ」
「カズ君が家で練習するギターは違うんだもん。初めは慣れてなかっただけだよ」
「本番のミスにそんな言い訳通らない」
レイ君の言っている事は正しい。だけど、もう少し言い方ってのがあるはずだ。ついムキになってしまった。
「ハイ、そこまで」
安住さんが私達の間に入った。
「美紀ちゃんは当然の答え方しただけよ」
タカ兄ちゃんもそうかばってくれる。
「美紀ちゃん、励ましてくれてありがとう」
「私、余計な事言ってゴメンね」
「そんな事無いよ」
自分は落ち込んでいても他の人に気を使うカズ君は優しい。誰かさんとは大違いだ。
「でもレイ君の言う事は厳しいけど、練習不足は本当さ。気をつけるよ」
カズ君はレイ君に向かって言うと、レイ君は「そうしてくれ」と小さい声で返事をした。
「安住さんは、バンドをやったことあるんですか?」
私は片付けが終わった後に安住さんへ質問した。準備の手際良さといい、練習の進め方などがとても慣れていたから気になっていたのだ。
「自分でやるのは初めてだけど親父がバンドマンで、よく練習やライブに連れて行ってくれたんだ」
「そうなんですか」
答えを聞いて納得した。それならこれから先もとても頼りになる。
「次、期末前には一度集まろう」
安住さんがそう言うと、みんなは一斉に頷いた。
「出来れば吉山さんもね」
それから安住さんは、私に向かって言った。
「私もですか?」
「まぁ、言ってみればマネージャーみたいな感じかな」
「マネージャー……」
「ちょっとした事なんだけど、録音を手伝ってくれたり感想を言ってくれたりするのは結構助かるんだ」
安住さんはそう言ってくれるけど、他の人はどうなんだろう……特にレイ君は。
「いいね。お願いするよ」
「次は初めから褒めてもらえるように頑張るよ」
タカ兄ちゃんとカズ君は全く問題ないようだ。
レイ君は何も言わなかったけど、不機嫌そうな表情でもないので反対ではないらしい。
「じゃあ、また来ます」
「よろしくね」
私自身は楽器を弾いたり歌ったりする訳じゃないのに、意外な形でBRAVEに参加できてとても嬉しかった。
それからBRAVEはメンバーがそれぞれ忙しいなかでも、何度も集まって練習をした。
演奏できる曲も少し増えて、徐々にバンドらしくなっていく。
夏休みの終わりには文化祭へ向けて曲を選び、練習にもっと熱が入っていた。




