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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
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03 バンド初練習(1)

BRAVEが再び集まったのは、名前を決めてから1ヶ月以上も経ってからだった。


メンバーがそれぞれ部活動や塾などあり、更にレイ君のピアノコンクールもあって時間が合わなかったのだ。


私も部活動などで忙しかったしメンバーでもないけれど、今日はカズ君が声を掛けてくれたので顔を出す事にした。


私がはなれに行くとまだ他に誰も来ていなくて、レイ君が一人でピアノを弾いていた。


久しぶりに聴くレイ君のピアノは心地よく、曲が終わるまで静かに聴いていた。


「今年の課題曲? 素敵。良いね」


「当然だろ」


「去年のより難しそうだけど、余裕を感じる。レイ君、この曲好きでしょ?」


「え……」


レイ君は一瞬目を大きく見開いて私の顔を見た。だけどすぐに視線を鍵盤に戻す。


「確かに去年より難易度は高いけど、好きな作曲家の曲だ」


「そっかぁ、やっぱり」


「耳が良いのか、自分の腕がまだまだなのか……」


レイ君は首を傾げながら、呟いていた。



この後もレイ君のピアノを聴いていると、他のメンバーが次々に集まってきた。


「初めまして、安住です。実は俺サッカー部なんで、吉山先輩を知ってるんだ」


「ええっ、そうなんですか?!」


初めて安住さんに会ったけど、そう言われて驚いてしまった。だから、お兄ちゃんは高校でもサッカー部で元気に活動していると伝えたら、安住さんはとても喜んでいた。


そんな話を軽くした後、早速それぞれ自分の楽器のセッティングを始める。


私はみんなが演奏を録音したいというのでラジカセの準備をしていた。ついでに録音ボタンのスイッチ係も任される。


「じゃあ鳴海君、音を出してみてくれる?」


「はい」


レイ君のドラムを聴きながら安住さんはベースの音量を調節する。次にギターの音量、最後にマイクの音量を調節していた。安住さんはとても手馴れている。もしかして、バンドをやった事があるのだろうか?


しばらくしてみんなの準備が整ったようだ。


「演奏してみようか。まずは通しで」


安住さんが声を掛けると、他のみんなは一斉に緊張した顔になる。


「吉山さん、録音お願いね」


そう言われると何故か私まで緊張してしまい、まだ録音ボタンを押す前なのに音を立てないようにしてラジカセへ近付く。録音ボタンのカチリという音が静かな部屋に響くと、レイ君はみんなを見回しカウントをとった。


BRAVEの演奏が始まった。やはり二人だけの演奏とは違う迫力だ。


レイ君のドラムはしっかりとしていてレコードとあまり変わらない。カズ君は少し間違えた部分もあったけど、頑張って弾いている。


ベースもドラムやギターにかき消される事無く、きちんと聴こえる。それどころか、曲をしっかり引っ張っているようだ。


そしてタカ兄ちゃんのボーカル。声はカズ君のように綺麗という感じではない。だけど力があって引き込まれる歌だった。


初めは心配だったけど、すぐに楽しんで聴く事が出来た。

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