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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
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02 新しい生活~バンド結成~

入学式の翌日、『対面式』が行われた。全校生徒が体育館に集まり、在校生代表と新入生代表が挨拶の交換をする。


その後にそれぞれ部活の紹介があったのだけど、野球部の番で私は思わず声を上げそうになった。それはユニフォームを着たタカ兄ちゃんが現われたからだ。


タカ兄ちゃんが野球チームを卒団してからは、さすがに中学の部活を見に行く勇気はなくて野球をする姿を全く見なくなっていた。


久し振りに見たユニフォーム姿と投球する様子はとてもかっこよく、胸がドキドキしてしまった。


そしてその時、やっぱりバンドにタカ兄ちゃんが入ってくれたら良いのに……と思った。


放課後になって、A組の大賀さんが教室をのぞかせた。


「吉山さん、体育館に行く?」


「もちろん」


クラスは離れてしまったけど、また一緒に部活が出来るのは嬉しい。


体育館に行くと同じ小学校だった他の元ミニバス部員や、大会の時に会った他校のミニバス部員も見学に来ていた。




大きく変わった学校生活だったけど、徐々に慣れていった。


バスケ部は4月の終わりに本入部し、本格的に活動が始まった。カズ君も野球部で毎日練習に励んでいるようだ。


結局バンドメンバーは同級生で見つからず、タカ兄ちゃんがボーカルとして入った。同時にタカ兄ちゃんはお友達で安住(あずみ)スバルさん、というベースを弾ける人を連れてきたのだ。これには一時はバンド結成を諦めてかけていただけに、二人共ものすごく喜んでいた。


だけどなかなか都合が合わず、全員が揃ったのは5月の中間テスト後だった。


その日私は顔を出さなかったので、次の日の朝カズ君に話を聞いた。


まずはバンドの名前をみんなで考えていたという。


「英和辞書をか片っ端から調べて、色々な単語をあげていったんだ」


「やっぱり英語なの?」


「うん」


「それでどう決まったの?」


私の質問にカズ君は一呼吸おいて「BRAVE」と答えた。


「ブレイブ?」


「勇敢な、だよ」


「カッコイイじゃない」


「そうでしょ?でもレイ君は『VENOMOUS』とか『BLOOD RED』とかあげてた」


「ベネモスって?」


「『有毒な、悪意に満ちた』だって」


「へ、へぇ……なんだかヘビメタっぽいね。でもBRAVEで良かったかな」


「そうかもね」


とにかくバンドが出来たのだ。自分が参加する訳じゃないけど、とても嬉しい。


しかし早く演奏を聴いてみたいのに、当分はレイ君の家で音を出すだけだという。考えてみたらこんな小さな田舎町では演奏を披露する場所なんてないし、その機会もなかった。


「せっかくバンドを組んだのに、どうするの?」


「兄ちゃんが言うには、文化祭で発表できそうだよ」


「10月の文化祭ね」


「体育館でクラブや部活の発表会があるけど、有志でも受付けているって」


「ロックバンドって出られるの?」


「一応『文化』の一つだからOKじゃない?」


そう言って、カズ君は笑った。

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