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明日のうたが聴こえる  作者: 人見くぐい
第三章 中学生編
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01 中学校入学

入学式の朝、私は洗面台の前で赤いタイを結んでいた。中学校の制服は、よくある紺色のセーラー服だ。


(こんな感じでいいかな)


鏡に向かって色々な角度からチェックする。タイの結び方やスカートの長さ、髪型など厳しく言われるようだ。昨日美容院に行ってきたけど、前髪をちょっと切りすぎたかも。


「美紀、早くしないと遅れるわよ」


鏡の前で少しでも伸びるように前髪を引っ張っていると、お母さんの声がした。


「今、行く!」


もう一度鏡を見てから玄関へ向かった。庭先で写真を撮っているとカズ君も現れた。


「あ、髪切ったね」


「それについてはあまり言わないで」


野球部へ入部を決めていたカズ君も、少し伸び気味だった坊主頭がスッキリしていた。


途中で合流したレイ君も少し髪を切ったようだ。


私達3人は揃って歩き出した。私とカズ君の話しにレイ君が口を挟んだり、音楽の話をしたり…中学校は更に遠くなったけど、話題は尽きる事が無かった。


でも、これからは3人で一緒に登校する機会は少なくなるだろう。


小学校と違って集団登校はないし、私とカズ君は部活で朝が早い。それに特別な事がなければ、レイ君が早起きするとは思えない。




中学校に到着後、私たちは早速体育館前に張り出されているクラスを確認しに行った。


中学校は7クラスあり、私はB組でカズ君とレイ君が同じF組だった。


「あーあ、残念」


本当はかなりショックだったけど、私は明るく言って大きく肩をすくめる。


「僕達は一緒なのにね」


カズ君は何故か申し訳なさそうな顔をしていた。でも教室に行くと顔見知りの人が何人もいて、新学期のスタートに不安はなかった。


入学式は滞りなく無事に終わった。お兄ちゃんが入学した頃はまだ少し荒れた感じの先輩がいたようだけど、今はそうでもないようだ。


教室に戻ってホームルームが終わると、もう下校だった。


朝のうちにレイ君の家へ集まる事を決めていたので、お昼の後に家を出た。




「バンド出来そう?」


はなれに集まると、早速気になっていた事を聞いた。


「まだ分からないよ」


カズ君は苦笑しながら答えた。


「自己紹介の時に言わなかったの?」


「言ったけど、反応なかったんだ」


「そっかぁ……」


私は大げさではなく、本当に肩をガックリと落とした。


「でもボーカルは入るかも」


「え?」


「兄ちゃん」


「タカ兄ちゃん!?」


「楽器は出来ないけど歌ってみたい、って」


「へぇ~」


意外な名前だった。確かにタカ兄ちゃんもロックにハマっているとは聞いてたけど……。


「まだ決定じゃないよ。兄ちゃん今年受験でどれだけ参加出来るか分からないし、高校へ行ったら続けられるかどうか」


私は面白そうだと思うし聴いてみたいけど、カズ君はあまり乗り気ではないようだ。


「レイ君はどう?」


さっきから黙っているレイ君にも聞いてみた。


「いいんじゃない?」


それにしてはレイ君もそれほど喜んでいるようには見えない。


結局この日、バンド結成に進展はみられなかった。

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